日程 10月13日(日) 17:00 - 19:00

ポスター2 (P-2)

会場:福武ホールB1 ラーニングスタジオ
  • P-2-1
    青井 孝史 (北陸先端科学技術大学院大学)
    日髙 昇平 (北陸先端科学技術大学院大学)
    人の推論時の心的表象を調べる課題として名辞系列問題があり,特に名辞間の全順序関係がひとつに定まらない問題を不確定名辞系列問題と呼ぶ。不確定名辞系列問題では、名辞間の関係を半順序で表現する心的表象が形成されることが示唆されている。この実験では、対称な名辞が存在しない問題においても名辞を対称だとみなそうとする対称性バイアスも示唆された。本発表では、この実験結果を説明する計算モデルの構築を目指し、その設計方針について議論する。
  • P-2-2A
    菅井 篤 (東京学芸大学大学院連合学校)
    本研究では,高大連携における学びの充実を目指して,高校生と大学生が協働するアクティブ・ラーニング実践に焦点を当てた。本実践では,協働して学び合う場を創り合い,対話活動を通じて相互に学びを深めていくことが目指された.本実践を通じて,学習者が学びのリスクを共に乗り越えながら,行動が変容していき,思考が広がっていったことが確認された.今後もこうした検討を重ねていき,さらに具体的な学習支援方法を探っていくことが目指される.
  • P-2-3A
    緒方 思源 (兵庫教育大学)
    田和辻 可昌 (東京大学)
    松居 辰則 (早稲田大学)
    本研究では,絵画のスタイル典型度を計測する実験方法を提案し,ゴッホとゴーギャンの風景画を実験刺激として実験を実施した.また,ドリフト拡散モデル(DDM)を利用することで,この方法の認知科学的妥当性を一定の程度検証できた.具体的には,各絵画に対して,参加者のスタイル分類タスクでの回答と応答時間を用いてDDMのドリフト率を推定した.ドリフト率の絶対値が分類の容易さを意味し,本実験で計測されたスタイル典型度との間に正の相関が認められた.
  • P-2-4
    多田 幸子 (上田女子短期大学)
    ChatGPTに焦点を当て,成人が,新技術である生成AIにどのような理解を形成するのかを探索的に検討した.複数回の使用の前後で描かれた生成AIをテーマとする線画と自由連想の結果に注目したところ,実際の使用を経て,参加者の理解は個別具体的な体験に基づくようになった.また,生成AIは,人間が操作するツールとして意識される一方で擬人的にも捉えられており,参加者にはヒト性を異投射しうる対象であったことが推察された.
  • P-2-5A
    Kuangzhe Xu (弘前大学)
    本研究ではTemporal segmentationの手法に基づき、時系列データの眼球運動を複数のタイミングに分割して解析するといった新たな動的眼球運動の分析方法を提案した。提案方法の妥当性を検証するために、顔の印象を評価する実験を実施した。その結果、眼球運動は異なるタイミングで異なる観察傾向を示した。この分析方法は、時系列データと固定値データの関係を解析する際に広範な応用が可能であり、将来的に多くの分野で活用されることが期待できる。
  • P-2-6
    木村 真実 (早稲田大学大学院 人間科学研究科)
    野村 亮太 (早稲田大学 人間科学学術院)
    伴 崇弘 (埼玉大学大学院 理工学研究科)
    島田 裕 (埼玉大学大学院 理工学研究科)
    音楽ライブにおいて,観客の身体運動が同期するか否かを検討した.ロック調の楽曲,バラード調の曲調の異なる2楽曲において,小型携帯端末の加速度センサを使用し,音楽ライブ鑑賞中の観客27名の身体運動を計測した.全観客の身体運動時系列平均と観客個人の身体運動時系列平均を比較すると,観客はいずれの楽曲でも,同期傾向を示した.観客は曲調によらず,音楽的特徴に正確かつ即時に応答することで同期する可能性が示された.
  • P-2-7
    本多 明子 (神戸女子大学)
     本研究は,子どもの言語発達について,認知言語学の用法基盤理論,構文文法論の観点から考察を行うものである.子どもが言語を獲得していく過程において,構文とそこに生じる動詞をどのように融合させていくのかについて,データベースCHILDESに基づく調査の結果を提示する.動詞のタイプにより,構文の使用頻度に相違が見られること,またその相違には,構文のもつ意味構造的特性と構文同士の継承関係が関わっていることを指摘する.
  • P-2-8
    富樫 遥登 (公立はこだて未来大学)
    白川 琉叶 (公立はこだて未来大学)
    寺井 あすか (公立はこだて未来大学)
    本研究では,比喩的思考と創造性の関係を検証することを目的とし,抽象的画像を用いた画像説明課題を用いた実験を実施し,課題遂行中の脳波を測定した.画像説明課題では,提示された抽象的画像の形に関する説明を求める比喩的思考条件と,色についての説明を求める字義通り思考条件を設け,α波に関し条件間で比較した.その結果,創造的思考における前頭葉の関与の左右での違いと比喩的思考の関係が示唆された.
  • P-2-9A
    多田 由彦 (中央大学)
    本研究は標準的な状態空間モデルにおいて戦略の突出とフォーカルポイントを定式化する. さらに本稿はプレイヤーたちに与えられる情報集合によってフォーカルポイントの候補が絞られた時, その絞られた中からどれが最も各人の利得を高めるのかについて共有知識となっている場合には, そのフォーカルポイントをプレイすることを証明した.
  • P-2-10A
    大野 俊尚 (早稲田大学)
    三嶋 博之 (早稲田大学)
    「かっこよさ」を評価対象にしているパフォーマンスでは、しばしば観客が歓声を上げることや、「かっこいい」パフォーマーにつられて観客も音楽のリズムをとることがある。これらの行為に自覚があるとは限らないことから、「かっこよさ」とのちに解釈する情報を知覚した段階で、動作レベルの身体反応が起きている可能性を検討する。パフォーマンス動画を視聴する実験参加者の動作を計測したが、現状分析方法に課題が残っている。
  • P-2-11
    粥川 奨 (名古屋大学大学院 情報学研究科 心理・認知科学専攻)
    平田 貴士 (名古屋大学大学院 情報学研究科 心理・認知科学専攻)
    川合 伸幸 (名古屋大学大学院 情報学研究科 心理・認知科学専攻, 中部大学 創発学術院, 科学技術振興機構 CREST)
    ヒトは外界からの視覚情報に基づいて姿勢を制御している. 本研究ではスパイラルオプティックフローを用いて,視覚情報によって生じる頭部傾斜が無意識でも生じるかについて検討した. その結果,頭部は視覚刺激の回転方向と同方向に傾くということが判明した. 頭部傾斜は視覚刺激の回転を知覚していない場合でも生じており,視覚情報が姿勢応答を無意識のうちに引き起こしていることを示唆している.
  • P-2-12
    正田 悠 (京都市立芸術大学)
    安田 晶子 (一橋大学)
    上宮 愛 (金沢大学)
    祐伯 敦史 (立命館大学)
    伊坂 忠夫 (立命館大学)
    人がいかなる出来事に感動するのか,その特徴を探索するため,日本語を母語とする者9,529人分の「人生で最も感動した出来事」に関するエピソード記述を計量的に分析した。トピックモデル(潜在ディリクレ配分法)により,「人生で最も感動した出来事」は,出産や家族,恋愛,仕事など,対人関係に関することから,音楽やスポーツ,自然,受験といった個別の対象を含む,多様なトピックと関わることが示された。
  • P-2-13
    安田 晶子 (一橋大学)
    正田 悠 (京都市立芸術大学)
    上宮 愛 (金沢大学)
    祐伯 敦史 (立命館大学)
    伊坂 忠夫 (立命館大学)
    日本語表現の「感動」は,他の言語・文化圏でも理解されるのか,またその捉え方に違いはあるのか検討するため,日本を含む11カ国で大規模な国際調査を行った.感動反応尺度への回答を求め,どのような出来事に対して最も感動したのか選択させた.結果より,感動反応尺度は11カ国で共通して使用可能であることが確認された.また,ネガティブな事象に対して感動するなど,言語・文化圏による差異も一部で示された.
  • P-2-14
    上宮 愛 (金沢大学)
    正田 悠 (京都市立芸術大学)
    安田 晶子 (一橋大学)
    祐伯 敦史 (立命館大学)
    伊坂 忠夫 (立命館大学)
    本研究では,「感動」の文化的な違いについて検討することを目的とし,日本を含む11カ国での大規模な国際調査を行った。参加者に,感動反応尺度,共感性を測定する「対人反応性指標」,文化差を測定する「文脈依存度を測定する質問紙」,「分析的思考-包括的思考尺度」への回答を求めた。結果より,多くの国で,「共感的関心」と「感動」,そして,「因果性」と「感動」との間に高い相関がみられ,文化の違いを超えて「感動」には共通する要因が含まれることが示された。
  • P-2-15A
    岩城 史享 (東京電機大学)
    高橋 達二 (東京電機大学)
    本研究は,実験を行い収集したデータから感情遷移ネットーワークを作成し,その構造を感情の輪と比較する.さらに,感情の類似性,関連性,遷移ネットワークに3つの埋め込み手法を適用し感情の分散表現を獲得する.そして,基本感情同士の演算で混合感情が表現できるかを検討する.感情遷移ネットワークと感情の輪の構造は大部分での類似性と局所的な相違点が確認できた.また,分散表現の演算により感情同士の関係がモデリングできる可能性が示唆された.
  • P-2-16
    佐々木 康佑 (静岡大学)
    西川 純平 (静岡大学)
    森田 純哉 (静岡大学)
    本研究は,文脈に応じたSynset選択に基づき単語の定量的意味を抽出する手法を検討した.入力単語のカテゴリを区別して定量的意味を抽出し,ロボットのジェスチャーに反映させることで,人間が持つ定量的な軸を抽出することを目指した.ジェスチャーと発話の自然さを評価する実験を行った結果,文脈を考慮したアプローチにおいて,カテゴリだけでなく各単語に着目するなど,さらなる文脈の考慮が必要であることが示された.
  • P-2-17
    藤井 佑実子 (筑波大学)
    森田 ひろみ (筑波大学)
    携帯型情報端末で画像を見る際には画像を動かしながら小さな画面内で断片ごとに見るため、画像内の物体位置を知覚するのが困難になる可能性が考えられる。本研究では心理学実験を用いて、スクロール表示された画像内の物体間の相対位置の符号化特性を明らかにすることを目的とした。実験の結果、スクロール表示による位置の符号化の正確さについて、物体間の方向関係の誤差は全体視に比べて大きいが、距離の誤差は小さいことが示唆された。
  • P-2-18A
    佐々木 一洋 (東京大学)
    清河 幸子 (東京大学大学院教育学研究科)
    本研究では,「歴史」を対象として,知的選好と興味の関連を検討した.自身の知的選好に合致する側面が歴史の学習において重要であると考えているほど,知的選好と歴史への興味の関連が強いと予測した.成人202名が知的選好尺度,歴史興味尺度,歴史特性認知尺度,歴史目標観尺度にオンラインで回答した.階層的重回帰分析の結果,歴史の学習においてメカニズムを重視しているほどメカニズム選好と歴史への興味の関連が強いことが示された.
  • P-2-19
    都丸 武宜 (京都工芸繊維大学)
    竹花 隼 (京都工芸繊維大学)
    西山 雄大 (長岡技術科学大学)
    村上 久 (京都工芸繊維大学)
    動物の運動は身体に備わる固有の器官の運動により実現される. しかし動物の群れ研究おいて, 個体は身体を無視した質点として解析, モデル化されてきた. 我々は最近, 歩行者集団における個々の歩行ステップと肩の回転いう身体パーツレベルの運動に着目し, 集団の空間的構造形成との関係を明らかにした. 本研究では, 肩の回転運動を集団の構造形成の時間発展の観点からより詳細な解析を行い, 構造脆弱性との関係を議論する.
  • P-2-20
    寺井 仁 (近畿大学)
    長岡 飛鳥 (近畿大学・産業理工学部)
    本研究では,値札などで見られる数値の認知において,左端の桁が支配的な役割を果たすleft-digit effectを速度標識に適用し,運転速度に及ぼす影響をタイムプレッシャーの観点から検討した.例えば,速度標識が50 km/hから49 km/hに変わる場合,運転速度の有意な低下が期待される.実験結果から,タイムプレッシャーの有無に関わらず,速度標識によるleft-digit effectが確認された.
  • P-2-21
    瀧澤 純 (宮城学院女子大学 学芸学部)
    修辞判断における正確性を明らかにすることを目的として,話し役がセリフを伝達し,聞き役が修辞判断を行う実験を実施した.結果,本音伝達条件と照れ隠し伝達条件では認知負荷低条件より認知負荷高条件で正確な判断が行われ,嘘伝達条件と嫌み伝達条件では認知負荷による効果はみられなかった.本音や照れ隠しであると判断するまでの停止規則が嘘や嫌みの判断に比べて複雑であるなど,いくつかの可能性を検討した.
  • P-2-22A
    渡邊 智也 (京都大学,ベネッセ教育総合研究所)
    楠見 孝 (京都大学大学院教育学研究科)
    本研究は,物語の登場人物を演じる演劇体験のうち,物語を読んでどのような演技をするのか構想する「演技計画」を行うことの,他者の心的状態を推測する能力や共感への促進効果を検証した.大学生82名を対象とした実験の結果,物語を読んでその内容を要約した戯曲要約群と比較した演技計画の促進効果は見られなかった.一方で,演技計画群が経験した戯曲の物語への移入の強さは,視点取得能力の向上を促進することが示された.
  • P-2-23
    平田 貴士 (名古屋大学大学院 情報学研究科 心理・認知科学専攻)
    川合 伸幸 (名古屋大学大学院 情報学研究科 心理・認知科学専攻, 中部大学 創発学術院, 科学技術振興機構 CREST)
    視覚情報により誘発される自己運動感覚「ベクション」の発生はVR酔いの原因の1つとして考えられており,ベクションの発生を検出することでVR酔いを未然に防げることが期待されている.本研究では,ベクションの発生を検出する指標として眼球運動に着目し,VR映像視聴中の眼球運動とベクションを測定した.その結果,ベクション知覚時の眼球運動の追従精度は,未知覚時に比べて悪いことが示され,眼球運動からベクションの発生を検出できる可能性が示唆された.
  • P-2-24A
    齋藤 五大 (東北大学)
    髙橋 純一 (福島大学)
    安永 大地 (金沢大学)
    坂本 修一 (東北大学)
    アファンタジアとは,自発的な視覚イメージを作り出す能力が著しく低い,もしくは能力自体を欠いている個人を指す。本研究では,心的回転課題を用いてアファンタジアの被験者が心的回転に関する能力を保持するかどうかを検討した。実験の結果は,アファンタジア群と統制群の平均反応時間がどちらも刺激の回転角の増加に従って伸長し,両群間の平均反応時間のパターンが類似することを示した。
  • P-2-25
    脇山 拓也 (電気通信大学)
    鍔木 悠里奈 (国立スポーツ科学センター)
    水村 真由美 (お茶の水女子大学)
    阪口 豊 (電気通信大学)
    ダンサーが音楽の拍に対して身体の動きをどのように合わせているかを明らかにするために,クラシックバレエの4種類の基本動作について,ダンサーの身体動作と音楽の拍(メトロノーム音)との時間的な関係性を分析した.その結果,多くのダンサーに共通して拍音と同期した運動特徴点がある一方で必ずしもすべてのダンサーが同じ特徴点と同期していないこと,動作の違いによって拍音と同期させる特徴点が異なることが明らかになった.
  • P-2-26
    小鷹 研理 (名古屋市立大学大学院芸術工学研究科)
    筆者は, 過去10年強にわたって, 主に大学の授業の受講生を含む3205人を対象に, 個人の属性とともに, 「奇数」と「偶数」の好みを問う簡単なアンケート実験を実施してきた. 解析により, 誕生日の数字の属性が「奇数」と「偶数」の好みに(属性が一致する方向で)強い影響を与えることに加え, 誕生日に関わらず「偶数好き」は男性よりも女性に多いこと, 加齢が「奇数好き」を増大させる効果を持つ等の知見を得たのでこれを報告する.
  • P-2-27
    木村 光来 (日本大学大学院総合基礎科学研究科)
    福田 聡子 (日本大学文理学部)
    大森 隆司 (日本大学文理学部)
    大澤 正彦 (日本大学文理学部)
    本研究では, ロボットの電源オフ状態がユーザーに与えるマイナスの印象を軽減する手法を検討する.初期検討として,停止した状態のエージェントをユーザーに見せないデザインとして,まずはバーチャルエージェントが消失するというデザインの有効性を検証した. 実験では, エージェントが目の前で停止する条件と,停止せずに消失する条件とで比較実験を行った.結果,両者に差は見られなかったが, いくつかの改善点が明らかになった.
  • P-2-28A
    松㟢​ 由莉 (宝塚医療大学)
    後呂 智成 (紀和病院 リハビリテーション部)
    奥田 祥司 (宝塚医療大学)
    作業療法士は対象者を評価する際に観察を用いることが多いが, 動きの中で対象者を観察することは難しい.熟練者の観察場面を見学しても, 熟練者がどこを視ているのかを明確にすることは難しく, 非熟練者にとって観察技術の修得は困難である. 本研究は, 非熟練者と熟練者の着目点の違いを明らかにすることで、熟練した作業療法士の視点をより効率的に修得できる方法を検討することを目的とした.
  • P-2-29A
    青木 直人 (東京電機大学)
    高橋 達二 (東京電機大学)
    中村 紘子 (日本学術振興会, 東京電機大学)
    人は将来の予測において,ポジティブな出来事がより起こりやすいという楽観主義バイアスを示すことが知られている.Garrett&Sharot(2014)は,ポジティブな情報をもとに信念更新を行いやすいという,信念更新の非対称性によって楽観主義が維持される.しかし,信念更新の非対称性の再現については疑問も呈されている.本研究はGarrett&Sharot(2017)の追試を行い,信念更新における非対称性が,日本人参加者でも生じるかを検討する.
  • P-2-30A
    深作 哲貴 (明治大学大学院 理工学研究科)
    林田 一輝 (宝塚医療大学 和歌山保健医療学部)
    乾 康弘 (畿央大学大学院 健康科学研究科)
    温 文 (立教大学 現代心理学部心理学科)
    森岡 周 (畿央大学大学院 健康科学研究科)
    嶋田 総太郎 (明治大学理工学部)
    本研究の目的は,高齢者における運動主体感(以下,SoA)の閾値変容とその関連要因を明らかにすることである.SoAの閾値はドット課題(Wen et al., 2020)を用いて測定し,閾値の分布を相対度数ヒストグラムを用いて検討した.また,閾値と身体機能,活動量,介護量との関連を認知機能で調整した偏相関分析を用いて検討した.実験の結果,高齢者におけるSoAの閾値には高閾値と低閾値の者が存在し,閾値変容には活動量や介護量の関連が示唆された.
  • P-2-31
    能城 沙織 (木更津工業高等専門学校)
    似た顔の相手を配偶者として選択するのか, 結婚後に夫婦の顔が似ていくのか,という議論に関しては,両方の面がありうるという説が広く普及してきたが,近年白人を対象とした研究で 後者を否定する結果が示された.本研究では,日本人を対象に夫婦の顔の類似性の経年変化を調べた結果,類似性の評価方法によって結果に差が生じた.類似性評価方法について,今後はより検討していくことで,この傾向が人種を超えた普遍性を持つものなのかを検証していく必要がある.
  • P-2-32
    草間 肇 (木更津工業高等専門学校専攻科制御情報システム専攻1年)
    能城 沙織 (木更津工業高等専門学校)
    内面的な類似性が友人関係に影響を与えるということが先行研究より示されている一方で,外見の類似性が友人関係に与える影響についてはまだ検証されていない。本研究では,片方の友人の写真とコントロールの写真3枚を並べたものをもう片方の友人の写真に似ている順に順位を付けてもらう形式でアンケート調査を用いて外見の類似性が友人関係に与える影響を検証した。その結果,友人同士での顔の類似は存在するという事が確認された。
  • P-2-33
    本名 貴喜 (北陸先端科学技術大学院大学)
    日髙 昇平 (北陸先端科学技術大学院大学)
    先天的に書字機能に困難を抱える書字障害者は日本国内で最低でも 6%は存在すると想定されている.しかし障害の発生要因や診断基準などは不明確であり症状の明確な定義もなされていない.本研究では漢字「要素」と「構造」ごとの想起を対象に書字障害者の漢字想起のエラー特徴の抽出を行い一群の書字障害の症状の定義の構築を目指す.
  • P-2-34A
    石倉 圭悟 (東京電機大学大学院)
    横須賀 天臣 (東京電機大学大学院)
    中村 紘子 (日本学術振興会, 東京電機大学)
    高橋 達二 (東京電機大学)
    本研究では同期待値で試行回数が異なる選択肢の選好を問う二者択一課題において, 試行回数が人間の選択に与える影響について検討した. 本研究の参加者はスロットマシンの期待値が小さい時は試行回数が少ない選択肢を, 大きい時は試行回数の多い選択肢を選好した. また, 実験結果から RS モデル, Q 学習モデル, IBL モデルのパラメータ推定し, モデルの予測と実験結果の比較を行った.その結果, Q 学習モデルの予測が最も良い結果を示した.
  • P-2-35
    佐々木 亮太 (公立はこだて未来大学大学院)
    元木 環 (公立はこだて未来大学)
    佐々木は,自身のイラスト制作過程を対象に起こった知覚や思考,行為を一人称で捉え記述し,これを分析,考察することで自身が創作の過程で働かせている技術以外の知に迫るという研究を行っている.本発表では,佐々木が研究のために始めた一人称記述について,やってみたことで,開始した当初には誰に(どこに)向かって何を書くべきか理解できなかった状態を認識できるようになった事例をあげ,初学者が一人称記述を行う際に理解できなかったことの一端を示す.
  • P-2-36
    大西 麻佑奈 (立命館大学大学院情報理工学研究科)
    江波戸 傑 (立命館大学大学院情報理工学研究科)
    松室 美紀 (Department of Communication, Cornell University)
    柴田 史久 (立命館大学大学院情報理工学研究科)
    木村 朝子 (立命館大学大学院情報理工学研究科)
    身体の表示位置や大きさを変更させることで,身体に対して前後方向や左右方向において身体表象が変化することが知られている.本研究では,右前腕の表示位置を身体に対して前方向に変化させ,身体表象に与える影響を検討した.その結果,右手の位置知覚が同方向へと変化した.また,2種類のテスト結果の比較より,身体表象の変化は腕の伸長としてではなく,腕の位置のずれにより生じていることが示唆された.
  • P-2-37
    鶴島 彰 (セコム株式会社)
    危険回避行動と同調行動が,火災時の建物内避難における動的避難誘導システムの性能に与える影響について,マルチエージェントシミュレーションを用いて評価する。先行研究において,同調行動が動的避難誘導に否定的に影響することは知られていたが,実際の火災避難においては,平均避難時間の延長と火災被害の分散の拡大という形で現れることが分かった.
  • P-2-38
    光田 基郎 (私立大学 非常勤講師)
    学生に「欺かれた振りで報復」と「誤解」が主題の絵本各1件を画面で読み聞かせ, 2次的誤信念内容の理解技能を示す実験である。その技能として(a)真実と誤信念内容の対比及び真実の抑制,(b)息子が欺かれた振りで「服毒自殺を偽装」の報復を描く絵本の文章構造理解,(c)類推の下位技能となる真実と誤信念内容の対比)(d)作業台となる作業記憶の負荷,特に(e)下記の方法1に示す様に誤信念理解における後知恵に対処する際の情報処理負荷増加を指摘した。
  • P-2-39A
    二宮 由樹 (名古屋大学)
    伊奈垣 伸一 (名古屋大学)
    三輪 和久 (名古屋大学)
    本発表では,既知の解決策よりもより良い代替案の探索と注意を制御する能力であるエフォートフル・コントロールの関係を検討した実験の結果を報告する.実験の結果,不適切な行動を抑制する能力と適切な行動を開始する能力の両方が低い場合と高い場合において,どちらか片方のみが高い場合よりも,既知の解決策に関係ない情報を探索する傾向が示された.このことは注意制御能力の低い場合と高い場合の両方で,代替解法を探索しやすい可能性を示唆している.
  • P-2-40
    関 一樹 (日本大学大学院総合基礎科学研究科)
    大西 俊輝 (日本大学大学院総合基礎科学研究科)
    呉 健朗 (日本大学文理学部)
    木下 峻一 (日本大学大学院総合基礎科学研究科)
    福田 聡子 (日本大学文理学部)
    奥岡 耕平 (日本大学文理学部)
    宮田 章裕 (日本大学文理学部)
    大澤 正彦 (日本大学文理学部)
    本研究の目的は,寄付意思がない対象者に反感を抱かれにくい寄付行動促進エージェントの実現である.先行研究として著者らは,対話者が好意的解釈の傾向がある「準」自然言語に着目し,「準」自然言語エージェントを提案している.本研究では,「準」自然言語エージェントの有用性を検証するため,実際の寄付行動を想定した実空間の実験を行った. 検証の結果,仮説は支持されなかったが,「準」自然言語が持つ曖昧性により広告を注視する等の情報を補う行動を誘発した.
  • P-2-41
    石川 悟 (北星学園大学)
    本研究では,絵文字を用いたメッセージ伝達において,絵文字の「個数」が持つ効果を検討した.場面想定法を用い,「喜び」,「楽しさ(心地よさ)」,「怒り」,「哀しみ(悲しさ)」の4つの感情を伝える文章末に,それぞれの感情に対応する絵文字を1個,または3個付加した「発言」を提示し,その「発言」から受け取った発言者(送信者)の感情を評価させた.その結果,文章に付加する絵文字の個数が1個のときにより強く感情が伝わる,と考えられる結果が得られた.
  • P-2-42
    小川 昭利 (順天堂大学)
    小佐野 重利 (東京大学)
    松田 哲也 (玉川大学)
    坂上 雅道 (玉川大学)
    亀田 達也 (明治学院大学)
    イタリア・バロックの画家カラヴァッジョの絵画を鑑賞するとき,独特の情動的高揚が生じることを美術史家は指摘してきた.本研究はその神経基盤を,機能的磁気共鳴画像法を用いて調べた.情動に関連する扁桃体の活動は,カラヴァッジョの絵画を見たときの方が他の絵画を見たときよりも大きかった.一方で,扁桃体と他の活性化した領域との機能的結合は,カラヴァッジョの絵画を見たときの方が他の絵画を見たときよりも低かった.
  • P-2-43A
    西内 沙恵 (北海道教育大学)
    本研究では「キャパい」など8語の新規的な派生形容詞を題材に,形容詞の言語使用を可能にする文法知識の構造を,使用基盤モデルの枠組みから探究する.題材の語に対する既知の程度及び一項述語文・二重主語文・ソウダ文の容認性評定を,大学生を対象に調べた.調査の結果,既知語では二重主語文に,未知語,また既知語であっても感情形容詞に判別される語では一項述語文に容認性が高く評定されたことから,一項述語の文型からスキーマ拡張が生起していることを分析した.
  • P-2-44A
    土橋 一斗 (日本大学)
    中島 亮一 (京都大学)
    大澤 正彦 (日本大学文理学部)
    聴覚刺激が毎試行出力されている環境下で視覚刺激を判別するタスクにおいて,稀に新奇音が出力されると視覚刺激への反応が遅延する.本研究では音の出力元の外見を変えることにより,新奇音によるタスク遂行への妨害効果が異なるかを調査した.数字の偶奇判断タスクにおいて,ロボットの外見をしたスピーカーの場合では新奇音による妨害効果が引き起こされなかった.このことから,スピーカーの外見により音への印象が変化し,妨害効果の緩和が引き起こされたと考えられる.
  • P-2-45
    中野 陽子 (関西学院大学)
    吉井 雄樹 (関西学院大学大学院言語コミュニケーション文化研究科)
    常 笑 (西安電子科技大学)
    形態的一般化のメカニズムとして,主に規則演算型と連想記憶型が提唱されている.後者は類似性の影響を受けやすい.本研究は,日本語のGroup IIIのサ行変格活用動詞(~する)とGroup Iの動詞のうち,基本形がサ変動詞との類似度が異なる実在動詞と新造動詞を刺激として,その意向形の誘発産出課題を、日本語母語話者と学習者に実施した.その結果,母語話者にも学習者にも類似性の効果は見られず,規則演算型メカニズムの適用が示唆された.
  • P-2-46
    斉藤 有利奈 (成城大学大学院社会イノベーション研究科(修了))
    新垣 紀子 (成城大学)
    遠隔共同作業のパフォーマンス向上を目的とし、ビデオ通話ツールを用いた新しいコミュニケーション方法を検討した。特に、ポジティブな感情が思考に与える影響に着目し、対話者の表情を笑顔に変形させることで創造性や発話量が向上するかを調査した。実験には大学生14名を対象とし、人型3Dアバターを使用して対話実験を実施した。その結果、アバターの表情操作により肯定的感情が高まり、対話課題の成果がわずかに向上することが示唆された。
  • P-2-47A
    鈴木 友美子 (名古屋大学 大学院情報学研究科)
    齋藤 菜月 (名古屋大学 大学院情報学研究科)
    大平 英樹 (名古屋大学 大学院情報学研究科)
    月経前症候群(PMS)は、月経前特異的に、イライラ、抑うつなどの精神諸症状や、特定の身体症状を有し、日常生活に影響が及ぶ状態を指す。ストレスはPMSの増悪因子であり、PMSの女性は、ストレス時に、コルチゾールの反応が減弱する。コルチゾールの反応性は、認知機能と関連しており、本研究で、ストレス回復期のコルチゾール濃度の上昇と認知機能の低下が、PMSスコアの増加に寄与することが示唆された。
  • P-2-48A
    池原 優斗 (北海道大学)
    岡谷 基弘 (東京エレクトロン株式会社)
    宮原 克典 (北海道大学)
    半導体プロセスエンジニアにおける暗黙知、および、その習得・継承のプロセスの解明を目的とした予備的インタビュー調査について報告する。哲学や文化人類学の理論に基づいて、半導体プロセスエンジニアの暗黙知に関する仮説を「ドレイファスのモデルにおける規則としての物理的知識」、「モノが学習のための行為を形作る」、「様々な要素の影響を受けて形成されるモデル」という三つの論点に分けて提案する。
  • P-2-49A
    宮本 真希 (北陸先端科学技術大学院大学)
    日髙 昇平 (北陸先端科学技術大学院大学)
    Decorated characters in comic, which we call “comic ideophone” (or “描き文字” in Japanese) describe a sound, a state, an inner feeling of the object etc. in comic. In this research, we will experimentally investigate the effects of comic ideophones for viewers of the picture including the comic ideophone. We focused on comic ideophones which describe shape, texture and hardness of the object and will create some comic ideophones which have a different shape of the contour and a word sound. In the experiment, we will examine 5 different conditions to find out factors which can be correlated to the impression of ideophones.
  • P-2-50
    川島 大輔 (文教大学大学院 言語文化研究科 言語文化専攻 博士後期課程)
    本研究は, 第二言語としての日本語学習者を対象としたものである. 日本語学習者が日本語漢字単語を視覚的に認知処理する際に, ふりがなが漢字の認知過程に与える影響を検討した. 主な要因はふりがなの有無, ふりがなの位置(上下), ふりがなの表記の種類(ひらがな, カタカナ)であった. その結果, ふりがなを要因とする主効果が認められず, 日本語漢字単語の処理にふりがなは影響がないことが明らかになった.
  • P-2-51A
    西村 茉鈴 (早稲田大学大学院人間科学研究科)
    大道 麻由 (大阪大学大学院基礎工学研究科)
    高橋 英之 (大阪大学/国際電気通信基礎技術研究所)
    吉村 優子 (金沢大学人間社会研究域)
    菊池 英明 (早稲田大学人間科学学術院)
    われわれは日常生活の中で固定観念に縛られることにより,新しい観点から物事を思考できないという経験をすることがある.そこで本研究では,人間が持つ思考の偏りや固着から抜け出す支援を行うことを目的として,大規模言語モデルを用いた対話ロボットのシステム開発を行った.具体的には,対話ロボットがユーザの悩みを聞いた上で,4種類の発話方略に従って回答を生成するシステムである.どの発話方略がユーザの思考の固着を改善するかについて検討を行う.
  • P-2-52
    森 大河 (産業技術総合研究所)
    伝 康晴 (千葉大学)
    Kristiina Jokinen (産業技術総合研究所)
    本研究では,驚きや意外性を表す感情表出系感動詞「えっ」と「ええ」の談話機能を会話コーパスを用いて分析した.その結果,「えっ」は単独で質問として機能し,質問が後続する可能性が高いのに対し,「ええ」は主にフィードバックとして単独で使われやすいことがわかった.これらの結果から,「えっ」は受け取った情報と既存知識との間に不一致があることのみを示すのに対し,「ええ」はその情報が既存知識に組み込まれたことまでもを示すという情報処理モデルを提案した.
  • P-2-53A
    西川 純平 (静岡大学)
    森田 純哉 (静岡大学)
    人間は複数の表現を相補的に処理しコミュニケーションを行う.人間と機械の円滑な対話のためには,機械が状況に応じてこれらの媒体を変換する仕組みを持つことが重要になる.本研究では,記号的表現と身体的表現を接続する仕組みをもつ認知モデルベースロボットが,実世界の社会の人々の活動に及ぼす影響について検討する.ロボットの印象を調査するフィールド実験において,ロボットの発話する単語とジェスチャが同期しているとき,いくつかの項目が高得点となった.
  • P-2-54
    児玉 謙太郎 (東京都立大学)
    桜井 良太 (東京都健康長寿医療センター研究所)
    友野 貴之 (札幌学院大学 心理学部)
    佐藤 和之 (東京都立大学)
    樋口 貴広 (東京都立大学)
    本研究は,環境の複雑さが歩行に及ぼす影響を検討するため,VR内で人混みを再現し実験を行った.参加者はヘッドマウントディスプレイを装着した状態でトレッドミル上を歩くよう求められ,アバターが少ない単純条件,多い複雑条件が比較された.歩行のステップ間隔データのフラクタル性(スケーリング指数α)を評価した結果,複雑条件でαが有意に低く,歩行時の身体自由度が高くなったと解釈され,VR内の人混みの量が歩行の複雑さや自由度に影響する可能性が示された.
  • P-2-55
    中村 太戯留 (武蔵野大学)
    情動知能は,情動の性質を理解して賢く活用する力のことで,非認知能力の下位概念であるが,他の下位概念との関係は必ずしも明らかではない.そこで,情動知能,レジリエンス,そして批判的思考の各尺度を用いて検討した.情動知能の因子は,レジリエンスや批判的思考の因子と相関があり,それぞれクラスターを形成しており,そして4つの成分に整理することができた.すなわち,情動知能を高める手掛かりとして,これらの因子を活用できる可能性が示唆された.
  • P-2-56
    別府 さおり (東京成徳大学)
    石原 章子 (筑波大学大学院)
    奥畑 志帆 (佛教大学)
    井上 知洋 (香港中文大学)
    大柳 俊夫 (札幌医科大学)
    岡崎 慎治 (筑波大学)
    問題解決課題(Crack-the-Code)を用いた実験を行い,プランニングの構成要素に基づく発話カテゴリーを用いて課題遂行中の自発的な動作の機能の特定と分類を試みた.動作は情報の特定や整理,探索空間の制限や評価といった機能を持ち,問題解決の一助となっていることが推察された.解答の正誤との関連は明確には見出されなかった.
  • P-2-57
    横溝 賢 (札幌市立大学)
    三上 晴可 (有限会社ありんこ)
    第二著者の三上は,「より善くあろう」とする志しでグループワークに取り組んできたが,「何のために頑張っているのか」がわからなくなり,利他性と利己性の葛藤に直面した.筆者らは,三上のウェルビーイングの回復を図るために飲食店での食経験を基にした〈ものづくり〉を試み,その結果,三上は利己的な〈ものづくり〉を通じて店主との間に利他的な関係を築くことができた.本稿では,中動態のものづくりによって生まれる相互性の知のはたらきを明らかにする.
  • P-2-58A
    岩根 榛花 (筑波大学,日本学術振興会)
    椎葉 黎 (筑波大学)
    原田 悦子 (筑波大学,株式会社イデアラボ)
    現状のオンラインストアでは,カテゴリラベルを用いた探索が求められ,実店舗の商品探索と異なる体験がもたらされる.この体験の異なりは,買い物の楽しさを変化させ,高齢者における商品探索の障壁となりえる.そこで本研究では,実店舗の商品探索に近い買い物体験のために,店舗の俯瞰地図型のオンラインストアを考案し,有効性について検討した.その結果,地図型の有効性は必ずしも確認されなかったが,実店舗での商品探索に類似した行動が観察された.
  • P-2-59A
    初田 響子 (神戸大学人間発達環境学研究科)
    野中 哲士 (神戸大学)
    清水 大地 (神戸大学)
    熟達ダンサーの美しい動作はどのような動作なのだろうか.本研究は動作軌跡が重視されるラテンダンスを対象に,熟達ダンサーの動作特徴の同定を目的として定量的検討を行った.熟達ダンサーと非熟達ダンサーとの動作を比較した結果,前者はHeelと他の部位を左右方向へ巧みに協調させながら,主要動作部であるHipの軌跡を描いていた.一方,Hipの軌跡の対称性については,熟達者の中でも左右対称/著しく非対称の2方向に分岐する可能性が示唆された.
  • P-2-60
    城 真範 (産総研)
    浅野 健一郎 (産総研)
    少子化の原因を探るためのシミュレーションモデルを提案する。経済的事情ではなく、より精神的な面に焦点を当てる。年齢による価値の変化をロジスティック分布を使って表現する。対数正規分布を仮定した同性同士および異性中心のコミュニティ、またべき分布を仮定する恋愛対象の集団を仮定し、同性コミュニティにおいて自己の能力を磨き、異性コミュニティにおいて多数の異性を知り、恋愛対象の集団におけるマッチングに影響を与えるモデルを提案した。
  • P-2-61
    松井 一樹 (東京工業大学 環境・社会理工学院)
    田岡 祐樹 (東京工業大学 環境・社会理工学院)
    齊藤 滋規 (東京工業大学 環境・社会理工学院)
     本研究の目的は,洞察問題解決におけるひらめきや行き詰まりと生体反応の関係を調査することである.実験では,アイトラッカーや腕装着型センサを使用し,18名の被験者の洞察問題解決における瞳孔径および心拍を計測した.結果,それぞれの思考状態が瞳孔径に違いとして現れ,インパスでは縮瞳し,問題の正答に向かい散瞳する様子が確認できた.これは今後の創造的問題解決に関する手法の発展に貢献する知見となり得る.
  • P-2-62A
    墨 泰我 (日本大学文理学部)
    飯田 愛結 (日本大学文理学部)
    長原 令旺 (日本大学大学院総合基礎科学研究科)
    保阪 靖人 (日本大学文理学部)
    森山 園子 (日本大学文理学部)
    大澤 正彦 (日本大学文理学部)
    著者らは意図を読むことができる大規模言語モデルを実現するために,大規模言語モデルと認知アーキテクチャを統合することを提案し,その有効性を示している.しかし,この研究では,プロンプトが日本語で書かれていたことが大きな影響を与えた可能性がある.本研究では,提案手法において日本語とドイツ語でプロンプトを作成し,結果を比較することで,使用する言語が意図理解に及ぼす影響を調査した.結果,特定の条件において,言語ごとに意図理解の程度に差が見られた.
  • P-2-63A
    楊 文通 (名古屋大学)
    松林 翔太 (名古屋大学)
    三輪 和久 (名古屋大学)
    來山 真也 (株式会社デンソー)
    大塚 まなぶ (株式会社デンソー)
    浜田 康司 (株式会社デンソー)
    近年、先進運転支援システム (ADAS) の普及が加速しており、ドライバーへの情報提供が著しく進化している。ADASは適切なタイミングでアラームを行うことが求められている。本研究では、交通弱者に対して発されたアラームの様々なタイミングの有効さを調査した。結果として、交通弱者が検出されにくいタイミングほど、その有効さはより高く評価された。この知見はADASのアラームシステムの最適化に貢献するものと期待される。
  • P-2-64
    眞崎 光司 (明治大学 国際日本学部)
    本研究は,「独学」で現代音楽の作曲家となったA氏のライフストーリーを分析することで,作曲学習における「独学」の可能性を探索し,長期間にわたって複数の実践・活動への参加と離脱を繰り返すインフォーマル学習としての「独学」の特徴を解明した.結果,A氏の「独学」過程は,作曲の学習とは関係の希薄な既存の物理的環境や既存の実践を次々に利活用・改変することで実現しており,学習環境のブリコラージュとして特徴づけられることが明らかになった.
  • P-2-65
    関根 和生 (早稲田大学人間科学学術院 人間科学部)
    金丸 航太郎 (早稲田大学人間科学部)
    対人会話において,話し手のジェスチャーが共通基盤の形成を促進することが示されてきた.しかし,聞き手のジェスチャーの影響については不明な点が多い.本研究では,聞き手の指さしジェスチャーが共同作業に与える影響を調査した.その結果,聞き手の指さしジェスチャーは課題完了までの時間を有意に短縮することが示された.これらの結果は,聞き手のジェスチャーが共通基盤の形成を促進していることを示唆している.
  • P-2-66A
    上野 芙優 (明治大学大学院理工学研究科)
    嶋田 総太郎 (明治大学理工学部)
    本研究では, 脳波の時間周波数解析を用いて, 音楽的快感と驚き(予測誤差)の関係性を調査した. その結果, 前頭部におけるβ波帯域およびγ波帯域のパワー値の増加とθ波帯域のパワーの値の減少が, 主観的快感と, 統計的学習モデルを用いて算出した音楽的驚きの情報量と関連していることが示唆された. したがってθ, β,γ波帯域の活動が予測誤差により誘発された音楽的快感の脳メカニズムに深く関与していることが示唆された.
  • P-2-67
    片瀬 菜津子 (北陸先端科学技術大学院大学)
    鳥居 拓馬 (東京電機大学)
    日髙 昇平 (北陸先端科学技術大学院大学)
    錯視の一種であり,複数の解釈ができる多義図形に着目し,無意識下で起きている知覚反転の判断基準の定量評価を試みる.多義図形を定量的に評価可能とするために,数学的に表現可能である多義図形を2種類のサイン波を用いて作製し,どのような基準により見え方の優劣が逆転するかを議論する.