研究分野
文化人類学
-
OS-2-2-4公募発表音楽に関する態度や行動が、音楽への関与の深化に伴ってどのように変化するかを、音楽への関与度が様々な10人に対する面接により検討した。低関与群では、音楽を環境音の一部や好きなコンテンツの要素の一つとしてとらえる傾向があること、中関与群では気分や感情への影響など、音楽聴取に伴う内面的変化に着目すること、高関与群では、自立したコンテンツとして、音楽を作り手からのメッセージとして捉え、人生において重要な位置づけを行うことが示唆された。
-
OS-3-4-2公募発表本報告では、虫屋の採集道具とそのデザインの事例を通して、脱人間中心主義的な観点から、人間性中心デザインについて考察することを目的とした。事例では、虫屋の採集道具が、虫の形態や生態、採集環境や自身の身体に合わせてデザインされ、しばしば他文化からの流用されることが示された。これらの事例を元に、脱人間中心主義的立場の人類学者であるGellの議論を参照しながら、ヒトと環境の結びつきを変化させる道具やそのデザインのあり方について考察を行った。
-
P-1-56A中分・佐藤・五十里(2022)に続き,儀礼的行為における系列長さの効果を検討するための実験を行った.2種類の行動からなる長さ5までの刺激系列を用意し,実験参加者に儀式としての効能や複雑性といった側面を評価させた.結果は,系列の長さは効能・重要度・複雑性に強く影響を与えており,ランレングス長はすべての側面に影響を与えていた.回文や反復といった特徴は複雑性や規則性の評価に関連していた.現実の儀式の分析への応用可能性について議論する.
-
P-2-48A半導体プロセスエンジニアにおける暗黙知、および、その習得・継承のプロセスの解明を目的とした予備的インタビュー調査について報告する。哲学や文化人類学の理論に基づいて、半導体プロセスエンジニアの暗黙知に関する仮説を「ドレイファスのモデルにおける規則としての物理的知識」、「モノが学習のための行為を形作る」、「様々な要素の影響を受けて形成されるモデル」という三つの論点に分けて提案する。
-
P-2-57第二著者の三上は,「より善くあろう」とする志しでグループワークに取り組んできたが,「何のために頑張っているのか」がわからなくなり,利他性と利己性の葛藤に直面した.筆者らは,三上のウェルビーイングの回復を図るために飲食店での食経験を基にした〈ものづくり〉を試み,その結果,三上は利己的な〈ものづくり〉を通じて店主との間に利他的な関係を築くことができた.本稿では,中動態のものづくりによって生まれる相互性の知のはたらきを明らかにする.