研究分野

神経生理

  • O-6-1A
    宮本 健史 (名古屋大学大学院情報学研究科)
    小野 誠司 (筑波大学体育系)
    移動物体を追跡する眼球運動(smooth pursuit)と物体運動の知覚との間には,部分的に共通したプロセスが関与することが示唆されている.本研究では,標的速度と独立して網膜像運動を操作可能な視覚刺激により,始動局面のsmooth pursuitと移動物体検出の早さとが,個体間と個体内のいずれにおいても高い相関関係にあることを見出した.これらは,少なくとも網膜像運動処理の段階で,両者に共通したプロセスが存在していることを示唆している.
  • P-1-30
    中田 龍三郎 (北星学園大学社会福祉学部)
    森 優花 (北星学園大学社会福祉学部)
    かわいいというポジティブな感情にも痛みの軽減効果が認められるか明らかにすることを目的として、お笑い、かわいい、あるいは中性の映像を見ながら冷水の冷たさをできるだけ我慢する実験を実施した。お笑い条件とかわいい条件は中性条件よりも有意に耐久時間が長かった。先行研究で指摘されたユーモア映像による笑いの鎮痛効果だけでなく、かわいい映像を見ることで生じる温かく癒されるといったポジティブな気分によっても鎮痛効果が生じると推測された。
  • P-1-39
    赤間 啓之 (富山大学 医学部 附属病院 データ科学・AI研究推進センター)
    中谷 大河 (元東京工業大学 生命理工学系 ライフエンジニアリングコース)
    染谷 芳明 (富山大学 医学部 附属病院 データ科学・AI研究推進センター)
    高岡 裕 (富山大学 医学部 附属病院 データ科学・AI研究推進センター)
    岩佐 憲一 (島根大学医学部 内科学講座 内科学第三)
    長井 篤 (島根大学医学部 内科学講座 内科学第三)
    山口 修平 (島根県立中央病院 神経内科)
    高村 真広 (藤田医科大学 IR推進センター)
    小野田  慶一 (追手門学院大学 心理学部心理学科 心理学専攻)
    本研究では安静時fMRIデータにおける脳活動の個人的特徴が、アルツハイマー病の進行に伴いどのように変化するかを検証した。症状の進行レベルの異なる3つの参加者グループを対象に、個人単位の個人差特徴分析、および集団レベルでのネットワーク部分状態の滞留時間解析を行った。結果、いずれも同様な関心領域ネットワークをシェアしていることが明らかになり、fMRIが将来臨床利用される際、こうした解析が個別の診断や治療に活かされる可能性を垣間見させた。
  • P-2-8
    富樫 遥登 (公立はこだて未来大学)
    白川 琉叶 (公立はこだて未来大学)
    寺井 あすか (公立はこだて未来大学)
    本研究では,比喩的思考と創造性の関係を検証することを目的とし,抽象的画像を用いた画像説明課題を用いた実験を実施し,課題遂行中の脳波を測定した.画像説明課題では,提示された抽象的画像の形に関する説明を求める比喩的思考条件と,色についての説明を求める字義通り思考条件を設け,α波に関し条件間で比較した.その結果,創造的思考における前頭葉の関与の左右での違いと比喩的思考の関係が示唆された.
  • P-2-42
    小川 昭利 (順天堂大学)
    小佐野 重利 (東京大学)
    松田 哲也 (玉川大学)
    坂上 雅道 (玉川大学)
    亀田 達也 (明治学院大学)
    イタリア・バロックの画家カラヴァッジョの絵画を鑑賞するとき,独特の情動的高揚が生じることを美術史家は指摘してきた.本研究はその神経基盤を,機能的磁気共鳴画像法を用いて調べた.情動に関連する扁桃体の活動は,カラヴァッジョの絵画を見たときの方が他の絵画を見たときよりも大きかった.一方で,扁桃体と他の活性化した領域との機能的結合は,カラヴァッジョの絵画を見たときの方が他の絵画を見たときよりも低かった.
  • P-2-47A
    鈴木 友美子 (名古屋大学 大学院情報学研究科)
    齋藤 菜月 (名古屋大学 大学院情報学研究科)
    大平 英樹 (名古屋大学 大学院情報学研究科)
    月経前症候群(PMS)は、月経前特異的に、イライラ、抑うつなどの精神諸症状や、特定の身体症状を有し、日常生活に影響が及ぶ状態を指す。ストレスはPMSの増悪因子であり、PMSの女性は、ストレス時に、コルチゾールの反応が減弱する。コルチゾールの反応性は、認知機能と関連しており、本研究で、ストレス回復期のコルチゾール濃度の上昇と認知機能の低下が、PMSスコアの増加に寄与することが示唆された。
  • P-2-66A
    上野 芙優 (明治大学大学院理工学研究科)
    嶋田 総太郎 (明治大学理工学部)
    本研究では, 脳波の時間周波数解析を用いて, 音楽的快感と驚き(予測誤差)の関係性を調査した. その結果, 前頭部におけるβ波帯域およびγ波帯域のパワー値の増加とθ波帯域のパワーの値の減少が, 主観的快感と, 統計的学習モデルを用いて算出した音楽的驚きの情報量と関連していることが示唆された. したがってθ, β,γ波帯域の活動が予測誤差により誘発された音楽的快感の脳メカニズムに深く関与していることが示唆された.
  • P-3-9A
    相馬 あい (関西学院大学大学院 理工学研究科 人間システム工学専攻)
    工藤 卓 (関西学院大学 工学部 知能・機械工学課程)
    我々が昨年に発表した結果では,自己位置感覚は視点位置と強い関係があることが示唆された.また,体外離脱体験に伴って「自己所有感及び自己主体感がある自己像」と「自己位置感覚がある場所」に意識が分離して感じている可能性が示唆された.また,従来研究で,擬似自己対象との同期が無くなると自己主体感が低下するとの研究結果があった.そのため,本研究では自己所有感と自己主体感を伴う自己像の視覚情報と自己の動作との同期と自己位置感覚との関係性を検証した.
  • P-3-29
    大石 充希 (立命館大学大学院人間科学研究科)
    林  勇吾 (立命館大学総合心理学部)
    近年,長期記憶において瞳孔反応が課題に依存することが確認されている.しかし,この課題依存性の原因である検索の違い(ボトムアップとトップダウン)に関する検討は十分でない.本研究では両検索を促すことができるfan課題に着目し,トップダウン検索における情報量の多さに対する瞳孔反応を検討した.結果として,情報量の多さに対する認知負荷により瞳孔が散大した.今後は,ボトムアップ検索で検討された瞳孔散大を本研究手法から調べていく.
  • P-3-48A
    木村 慧一 (名古屋大学大学院情報学研究科)
    川合 伸幸 (名古屋大学大学院 情報学研究科 心理・認知科学専攻, 中部大学 創発学術院, 科学技術振興機構 CREST)
    手袋の着用は,嫌悪を感じさせる対象の直接接触を防ぐ.本研究では,手袋の着用によって,嫌悪画像を見ているときの主観的な嫌悪感や脳波でみられる情動処理が低減するかどうかを検討した.その結果,手袋の着用では主観的な嫌悪感や視覚野から観測される情動処理は低減しないことが示された.その後の予備実験から手袋の着用は,嫌悪画像を見ることではなく,触れることに対する嫌悪感を低減させる可能性が示された.