研究分野

デザイン

  • OS-2-2-3
    公募発表
    長田 尚子 (立命館大学)
    本研究は,絵画教室で色鉛筆による植物の写実的描画を始めた入門者による一人称研究である.入門者が自らの作品と指導者のコメントをまとめていた制作メモにもとづくエスノグラフィから,描画実践を通じて立ち上がってくる意味と指導者が持つ創造性について理解を深める過程を考察する.芸術分野で行われてきた制約の緩和や創造促進的効果等に関する先行研究の知見を補完できるものとして,当事者の視点が持つ可能性を議論する.
  • OS-3-4-2
    公募発表
    阿部 廣二 (東京都立大学)
    大山 星馬 (青山学院大学大学院)
    本報告では、虫屋の採集道具とそのデザインの事例を通して、脱人間中心主義的な観点から、人間性中心デザインについて考察することを目的とした。事例では、虫屋の採集道具が、虫の形態や生態、採集環境や自身の身体に合わせてデザインされ、しばしば他文化からの流用されることが示された。これらの事例を元に、脱人間中心主義的立場の人類学者であるGellの議論を参照しながら、ヒトと環境の結びつきを変化させる道具やそのデザインのあり方について考察を行った。
  • OS-3-4-3
    公募発表
    元木 環 (公立はこだて未来大学)
    現在特に美術的なデザイン実践にはさまざまなツールがあり,デザインプロセスを進める各種手法に関しても簡単に情報を得ることができる.本発表は,このようなデザイン教育の現場において,人間中心から人間「性」中心デザインへの転換をどのように捉え,これからデザイン実践の経験を積んでいく人に向けて,どのように具体的に伝えうるのかということについて事例を交えて話題提供する.
  • P-1-5
    廣田 章光 (近畿大学 経営学部/デザイン・クリエイティブ研究所)
    空間近接、遠方探索、対話促進の要件を備えた場を設定し、その場が「遠方探索」が実現することを確認した。そして対話によって生成される情報について、「今まで気づかなかった」5タイプの情報に対して、①有用情報の獲得との関連、②有用情報の獲得にする開発者の対話時の「態度」、「状況」との関連について調査を実施した。その結果、開発者がそれまで気づかなかった(プロトタイプの)「価値」および、「提案先」の創造について有効であることが確認された。
  • P-1-19
    牧野 遼作 (早稲田大学人間科学学術院)
    山本 敦 (早稲田大学人間科学学術院)
    友野 貴之 (札幌学院大学 心理学部)
    古山 宣洋 (早稲田大学人間科学学術院)
    花田 愛 (株式会社オカムラ ワークデザイン研究所)
    オフィスで生起する「事前に予定されていない会話」の開始場面について3つの事例に対して、身体動作と発話開始箇所について定性的検討を行った。分析の結果から、話者は聞き手候補のコミュニケーション意図のない振る舞いから、他者の関与状態を推察し,話しかけ方を調整や話しかける相手の選択をしている可能性が示唆された.
  • P-1-47A
    大貫 祐大郎 (一橋大学)
    大瀧 友里奈 (一橋大学)
    植田 一博 (東京大学)
    Visual Analog Scale (VAS) の回答開始位置が, 回答 (今月, 目標にしたい電気使用量kWh) に与える影響を検討した. 回答を左端 (0kWh) から始める左群, 中央 (138kWh) から始める中央群, VASを使用しない自由回答群の3群で実験を実施した. その結果, 中央群や自由回答群よりも左群の方が, 回答は有意に左端に偏った. この結果は, VASの回答開始位置が回答に影響を与えることを示している.
  • P-1-53A
    安久 絵里子 (筑波大学)
    原田 悦子 (筑波大学,株式会社イデアラボ)
    澤田 知恭 (筑波大学大学院心理学学位プログラム)
    生活圏で利用されるロボットにきものを着せることにより,ユーザがロボットに対して抱く印象にどのような影響があるかを検討するため,オンラインによるビデオ評価実験を行った.その結果,きもの着装ロボットは通常ロボットに比べて踊りが上手であると評価された.またSD法による印象評価では,きもの着装ロボットは通常ロボットよりも幼いと評価されており,きもの自体の作り方によってロボットの見え方が変化する可能性も示唆された.
  • P-2-3A
    緒方 思源 (兵庫教育大学)
    田和辻 可昌 (東京大学)
    松居 辰則 (早稲田大学)
    本研究では,絵画のスタイル典型度を計測する実験方法を提案し,ゴッホとゴーギャンの風景画を実験刺激として実験を実施した.また,ドリフト拡散モデル(DDM)を利用することで,この方法の認知科学的妥当性を一定の程度検証できた.具体的には,各絵画に対して,参加者のスタイル分類タスクでの回答と応答時間を用いてDDMのドリフト率を推定した.ドリフト率の絶対値が分類の容易さを意味し,本実験で計測されたスタイル典型度との間に正の相関が認められた.
  • P-2-35
    佐々木 亮太 (公立はこだて未来大学大学院)
    元木 環 (公立はこだて未来大学)
    佐々木は,自身のイラスト制作過程を対象に起こった知覚や思考,行為を一人称で捉え記述し,これを分析,考察することで自身が創作の過程で働かせている技術以外の知に迫るという研究を行っている.本発表では,佐々木が研究のために始めた一人称記述について,やってみたことで,開始した当初には誰に(どこに)向かって何を書くべきか理解できなかった状態を認識できるようになった事例をあげ,初学者が一人称記述を行う際に理解できなかったことの一端を示す.
  • P-2-57
    横溝 賢 (札幌市立大学)
    三上 晴可 (有限会社ありんこ)
    第二著者の三上は,「より善くあろう」とする志しでグループワークに取り組んできたが,「何のために頑張っているのか」がわからなくなり,利他性と利己性の葛藤に直面した.筆者らは,三上のウェルビーイングの回復を図るために飲食店での食経験を基にした〈ものづくり〉を試み,その結果,三上は利己的な〈ものづくり〉を通じて店主との間に利他的な関係を築くことができた.本稿では,中動態のものづくりによって生まれる相互性の知のはたらきを明らかにする.
  • P-2-58A
    岩根 榛花 (筑波大学,日本学術振興会)
    椎葉 黎 (筑波大学)
    原田 悦子 (筑波大学,株式会社イデアラボ)
    現状のオンラインストアでは,カテゴリラベルを用いた探索が求められ,実店舗の商品探索と異なる体験がもたらされる.この体験の異なりは,買い物の楽しさを変化させ,高齢者における商品探索の障壁となりえる.そこで本研究では,実店舗の商品探索に近い買い物体験のために,店舗の俯瞰地図型のオンラインストアを考案し,有効性について検討した.その結果,地図型の有効性は必ずしも確認されなかったが,実店舗での商品探索に類似した行動が観察された.
  • P-3-5
    森 順平 (北陸先端科学技術大学院大学)
    髙宗 楓 (北陸先端科学技術大学院大学)
    西本 一志 (北陸先端科学技術大学院大学)
    定性調査やユーザビリティテストで用いられているRetrospective Think-Aloud法には,十分な発話量が得られなかったり記憶の正確な想起が難しかったりするなどの問題がある.本研究ではこれらの問題を解決するために,Retrospective Think-Aloud法の実施時に提示するタスク遂行時の記録情報に誤情報を混入する方法を提案する.これにより,発話量の増加やより効果的な記憶の想起の実現を目指す.
  • P-3-8
    林 賢吾 (明治大学)
    小松 孝徳 (明治大学総合数理学部)
    山中 祥太 (LINEヤフー株式会社)
    コンピュータの処理時間におけるユーザの心理的負担を軽減するために、待機画面に表示するUI要素を変化させることで体感時間を操作する研究が行われている。しかし、先行研究の実験ではUI要素が実際に使用される環境における実験は行われていなかった。そこで本研究では、UI要素がページ遷移の間に表示されるウェブサイトを再現し、ユーザの体感時間への影響を調査した。その結果、UI要素を表示させる環境が異なると、体感時間も異なるということを明らかにした。
  • P-3-13
    福田 大年 (札幌市立大学)
    本稿は,風景から動物を連想する「見立て観察」とその観察結果を他者に向けて表現する「仕立て作業」を組み合わせ開発したアイデア生成学習プログラム「まちなか動物園」の実践を解説する.まちなか動物園を複数回体験したデザイン初学者らの作品の特徴とその特徴の変化を概観し,デザイン初学者向け学習プログラムとしての可能性を考察した.その結果まちなか動物園は,既存の要素の収集と再構成の経験的な学習過程になる可能性が示唆された.
  • P-3-22A
    澤田 和輝 (京都大学)
    石黒 千晶 (聖心女子大学)
    本研究では,科学博物館と美術館の2種のミュージアムで,メタ認知に焦点を当てたワークショップを企画し,参加者にどのような学びが生まれるかを検討した.その結果,参加者は自らの鑑賞を俯瞰し,その特徴や方法を理解し,鑑賞方法を制御する,いわば鑑賞のメタ認知を働かせ,多様な触発を経験していたことが示された.これらの結果は,複数のミュージアムを往還する経験が自らの鑑賞のあり方をメタ的に考える機会となり,触発を促す可能性を示唆している.
  • P-3-39A
    鎌田 昂明 (東京電機大学大学院理工学研究科情報学専攻)
    小林 春美 (東京電機大学理工学部理工学科情報システムデザイン学系)
    安田 哲也 (東京大学大学院総合文化研究科)
    本研究では,集中線が球の運動速度の予測に与える影響,加えて,集中線が示唆する方向と球の方向の差による影響の差を調べた.参加者は刺激を見て,絵に描かれた球の運動速度を予測し,球が障害物にぶつかるまでの時間をボタン押しにより答えた.結果として,集中線が付加された場合に運動速度が速く知覚されること,集中線が示唆する方向と物体の運動方向が一致する場合はより速く知覚されることが示唆された.
  • P-3-63
    浅川 仁都 (中京大学)
    宮田 義郎 (中京大学 工学部)
    これまで私たちは、廃棄食材堆肥化を中心に、食資源の循環につながる取り組みをおこない、様々な立場の人々とコラボレーションしてきた。これらの活動が持つ意味を、『よりよい世界のためのデザイン』(Norman.2023)で取り上げられているキーワード、経路依存、アフォーダンスを中心に考察した。その結果、生態的経路という同じ経路の共有によって、それぞれの抱える想いを実現するというアフォーダンスの認識につながっていることがわかった。