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その他

  • O1-1
    斎藤幹樹 (京都大学大学院博士課程)
    本研究は、下位構文スキーマの定着度が容認性判断に対して与え得る影響を統計的に評価する事を目的とする。下位構文スキーマは「○○先生」のように、部分的にスロットを有するような言語知識である。重回帰分析を主軸とした分析の結果、母語話者に対する容認性判断実験によって得られた各刺激語の評定値の予測に下位構文スキーマの頻度が有意に寄与していた。この事から本論は下位構文スキーマの定着度が容認性判断に影響している可能性があると結論付ける。
  • O2-2
    長井志江 (大阪大学)
    秦世博 (大阪大学)
    熊谷晋一郎 (東京大学)
    綾屋紗月 (東京大学)
    浅田稔 (大阪大学)
    本研究では,ASDの特異な知覚の発生過程を計算論的アプローチから解明することを目的とする.特異な症状が現れる知覚として視覚に注目し,コントラストの強調や不鮮明化,砂嵐状のノイズといった視覚過敏・鈍麻が,環境からのどのような視聴覚刺激によって引き起こされるのかを,構成的手法を導入した認知心理実験によって明らかにする.さらに実験結果をモデル化することで,ASDの視覚世界を再現するヘッドマウントディスプレイ型知覚体験シミュレータを開発する.
  • O3-3
    阿部慶賀 (岐阜聖徳学園大学)
    本研究では重さ刺激の事前提示が後続の価値判断に与える影響を検討した。実験ではジュースの印象評価について、ジュースの品質と量は同じでありながら、コップが重い条件と腕に重りがある条件、追加の重量負荷のない統制条件を設けて比較した。その結果、同じ重さでも評価対象物であるコップが重い方が、腕が重い条件より価値を高く評価することが示された。
  • OS01-2
    苅宿俊文 (青山学院大学社会情報学部)
    石井理恵 (青山学院大学社会情報学部)
    本研究は、逆再生動画表現ツールを利用した芸術表現体験プログラムで行われる作品づくりのプロセスの研究である。特に、ツールが持っている試行誘引性と人間の行動特性がどのようなつながりがあるかについて注目している。研究方法としては、CCEを用いて明らかにした。本研究の対象は、大学のワークショップデザインという授業である。結果としては、4種類の行動特性を持つグループに分けることができ、その特性には省察が深く関わっていることが明らかになった。
  • OS02-2
    大槻美佳 (北海道大学)
    脳損傷患者における言語症状には、一定のパターンがある。このパターンは、言語システムについて、どのような壊れ方はあり得て、どのような壊れ方はあり得ないかという情報をもたらす。これらの情報は、言語機能を知る手掛かりを与える。今回は、言語の障害の中で、意味カテゴリー特異性のある障害、モダリティー特異性のある障害(入力方法に依存する障害)と称されてきた障害パターンに関して、様々な視点で検討し、言語と脳~身体の関わりを考察した。
  • OS02-3
    橋本敬 (北陸先端科学技術大学院大学 知識科学研究科)
    記号の使用に関してコミュニケーションを3つのレベルに分けることができる.それは,構造依存性を持つメッセージによる言語的コミュニケーション,構造依存性を持たない記号メッセージによる記号非言語コミュニケーション,記号によらない感情などの共有である非記号コミュニケーションである.本稿では,この3レベルの関係において,記号の接地と脱接地がどのように行われ得るかを,主に実験記号論アプローチによるコミュニケーション実験により検討する.
  • OS02-4
    今井むつみ (慶應義塾大学)
    語彙の学習はシステムの学習に他ならない.通常システムを創るためには,最初に目的があり,全体像の青写真があって,そこから必要な要素を考えていく.しかし人は語彙の全体像がわからないのに,要素を学習し要素を学習しながらボトムアップにシステムを構築していかなければならない. 本研究では,色語彙システムをテストケースとして,子どもが色の連続体の中でどのように色を分割し色名と対応付け.色語彙のシステムを獲得していくのかを実験データを基に検討した。
  • OS07-1
    齋藤洋典 (名古屋大学大学院情報科学研究科)
    James W. が心理学をマインドの科学と呼んだことに倣い,認知科学を知の科学と呼ぶ.では,その知は我々が高齢化社会に生きるのに何の役に立つのだろうか.高齢化社会での実生活に関する認知科学のまなざしが問われている.本稿は,架空の発表者と査読者を仮定し,認知科学者として高齢化社会で生きる準備へのガイドラインを提起する
  • OS07-2
    制御不能となった現代資本主義社会での生産・消費体制の矛盾が生む過剰生産・過剰消費状態に晒された生活と、同時進行しつつある超高齢社会という現実の中で、本来あるべきモノづくりの姿を地域共同体レベルで考え、それに高齢者がどう関わっていけるのかを考えた。ここでは、地域共同でのモノづくりによる高齢者の認知症防止とコミュニティーでの合意形成にもとづくボトムアップ的生活空間デザインへの参加の可能性について考える。
  • OS08-2
    近藤健次 (北陸先端科学技術大学院大学)
    永井由佳里 (北陸先端科学技術大学院大学)
    創造性は様々な問題の解決のために重要であり,現在,創造性に関連するグループワークがいたるところで行われている.本論文では,ブレインストーミング,創造性の概念,グループワークの概念についての先行研究をレビューし,創造性のレベルおよびグループワークの目的によってグループワークの分類をおこなった.この分類に基づいて,グループワークの創造性に関する今後の研究についてのいくつかの方向性を示す.
  • OS09-6
    山下美穂 (名古屋大学大学院教育発達科学研究科)
    木村友香梨 (名古屋大学教育学部)
    小室弘樹 (名古屋大学教育学部)
    中村優花 (名古屋大学教育学部)
    清河幸子 (名古屋大学大学院教育発達科学研究科)
    中山清香 (名古屋大学教育学部)
    本研究はオブジェクトとの相互作用で得られる情報,特に,視覚的入力が創造的なアイデア生成に及ぼす影響を検討した.大学生64名を対象にプラスチック板の使い道を考える課題を実施した結果,オブジェクトと相互作用出来る場合に創造的なアイデアの生成が促されることが明らかになった.また,オブジェクトと相互作用時に視覚的入力を制限した場合には,触覚的情報に着目したアイデアがより多く生成されることが示された.
  • OS09-8
    縣拓充 (千葉大学コミュニティ再生・ケアセンター)
    神野真吾 (千葉大学教育学部)
    筆者らは千葉大学の一般教養の科目の中で,アーティストとの協働によるアート・プロジェクトへの参加を通じた,創造性の育成のための実践を行っている.本発表では,この実践の背後にある創造性の考え方やモデル,授業のカリキュラム,そしてインタビューや観察に基づく学生の体験を紹介する.現時点では,実証的な効果の検証は不十分と言わざるを得ないが,多様な創造性の捉え方を比較したり,創造性の育成方法を議論する上での,一つの材料を提供できたらと考えている.
  • OS11-1
    小川有希子 (法政大学社会学部)
    昨今は,表現の自由を主張することによって「表現すること」の敷居が低くなり,いわゆるアートというものが大衆化してきている一方で,真にプロフェッショナルな表現者たちは,素人の追随を許さない表現の高みに舞い昇っていくという,両極化した状況が広がっている.本セッションでは,後者に該当する淘汰されない異彩を放つ表現を「前衛表現」と呼び,「真の芸とは何か」,「人を魅了し豊かにする芸とは何か」を議論する.
  • OS11-2
    阿部明典 (千葉大学)
    本OSでは、「前衛」を「異彩を放つ・際立つ、表現の受け手の知識構造や情動が極めて大きく揺り動かされる」と定義している。その定義に従って、「前衛」としての書きことばに就いて議論を行う。特に、小説や、詩、広告などに於いて、どのように書きことばが洗錬されているか、どう受容されるか等に就いて議論を行い、更に、「前衛」としての書きことばの機械的生成に就いても議論したいと思う。
  • OS11-3
    高橋範行 (愛知県立大学)
    社会的ステータスの象徴性や認知上の適度な複雑性などを失った前衛音楽は、徐々に終焉へ向かっているように思われる.これからの前衛音楽では、過去の語法の新規な組み合わせや他の領域とのコラボなどによる未知なる体験の提供が、その主たる目的となっていくと予想される.また、前衛音楽の終焉は“調性”や“拍節”のもつ強い魅力に対する疑問を呈示する.この議論において認知科学が果たす役割は大きいと考えられる.
  • OS11-4
    安藤花恵 (西南学院大学)
    即興劇においてはセリフもストーリーも決まっておらず,俳優は共演者の演技が提示された後,その演技に呼応した演技を即座におこなわなければならない。相手の演技やその裏の意図に敏感な感性,相手の演技に即座に反応できる柔軟性,創造性,協調性といった能力を駆使し,俳優たちは本人たちにも先のわからないストーリーをその場で創造していく。この能力は,脚本に基づいた劇を演じる際や,私たちが日常生活を送る際にも共通する,普遍的な能力であると考えられる。
  • OS11-6
    小方孝 (岩手県立大学ソフトウェア情報学部)
    筆者が平成22(2010)年2月に歌舞伎座で観た,十八代目中村勘三郎と五代目坂東玉三郎の共演による,三世河竹新七作『籠釣瓶花街酔醒』の舞台を題材として取り上げる.歌舞伎の特徴が,過去を賛美することにあり,過去からの多重構造の縛めと柵に好んで従属することにあると考え,それを反/非・前衛的,後衛的な芸術(芸能)と捉える.筆者が研究する物語生成システムは,歌舞伎的な多重構造に基づく仕組みを手本とする.
  • OS12-1
    諏訪正樹 (慶應義塾大学環境情報学部)
    伝康晴 (千葉大学)
    藤井晴行 (東京工業大学)
     
  • OS12-2
    高嶋由布子 (日本学術振興会/東京学芸大学)
    日本手話を心理言語学的な方法で調査するとき,2つの問題があった.生まれながらに聞こえない「見る文化」のろう者の知覚の問題と,社会言語学的な問題,すなわち言語のパワーバランスや規範の問題である.これらの問題は,日本手話を第一言語にする聞こえない人,すなわち「ろう者」と共に,実験準備から実施,分析まで行うことで解決した.これを通して,実験環境という人工的な場を作る営みには,多くの知見を要し,それ自体に分析する価値があることを示す.
  • OS12-5
    篠崎健一 (日本大学)
    藤井晴行 (東京工業大学)
    片岡菜苗子 (日本大学)
    加藤絵理 (日本大学)
    福田隼登 (東京工業大学)
    空間図式の身体的な原型(prototype)を,私たちの空間の経験を通して探究し明らかにするこころみである. 実在のフィールドにおいて実際に生活することを通して見いだされるものごとの断片を写真と言語によって表現し,それらの断片を合議しながら組織化することによって,表現,断片の組織化を方向づける空間図式を明らかにする. そして,そのこころみの意義を考察する.
  • OS12-6
    坊農真弓 (国立情報学研究所コンテンツ科学研究系・総合研究大学院大学複合科学研究科)
    本講演では2012年から継続して行っているロボット演劇フィールドワークで得た知見を紹介する.この知見を通し,ロボット研究者がロボットを携えてフィールドへ出て行く姿勢の問題点について指摘する.具体的に本研究は,実証実験などによりロボットをコミュニケーション(≒井戸端会議)の中心に据えるといった,従来のロボット研究のフィールドへの出方を批判し,ロボットが会話の周辺から井戸端会議に参加する様子をロボット演劇創作場面でのやりとりから観察・記述することを試みている.本研究がとる「研究者がフィールドにいるいないに関わらず実世界に存在する現象」に対するアプローチは,ロボット研究者による「ロボットの中心性」 を排除することに成功している.しかしながら,社会における「ロボットの異質性」をむしろ浮き彫りとする結果を得ることになった.本研究の成果を通し,ロボットと人の共在のあり方について議論したい.
  • OS12-7
    牧野遼作 (総合研究大学院大学複合科学研究科)
    古山宣洋 (早稲田大学人間科学学術院)
    坊農真弓 (国立情報学研究所コンテンツ科学研究系・総合研究大学院大学複合科学研究科)
    本稿では,実験環境会話データとフィールド環境会話データと分類されうる2種類の会話データの収録冒頭部分の比較検討を行った.参与者たちが自発的に環境を構築し,研究者の介在がなくても会話を行ったのかという観点から,実験/フィールド環境は区別されている.しかし,この環境の差異に関わらず,参与者はそれぞれの環境中で適切な参与者として振る舞うことをしている点では,同様のデータとして扱うことができることを示す
  • OS12-9
    松香敏彦 (千葉大学文学部)
    小谷慎吾 (千葉大学)
    伝康晴 (千葉大学)
    牛谷智一 (千葉大学)
    本研究では、フィールド調査で得た知見をコンピュータ上にモデル化し、現実の条件とは異なる条件での結果と比較することで、そのフィールドの本質が何であるかにせまることを試みる。具体的には、小谷(2002, 2010)のフィールドデータのエッセンスを反映したコンピュータシミュレーションを用いて、無作為な作付け行動がまさにこのフィールドにおける文化的回復力の源となっていることを示す
  • OS13-4
    水原啓暁 (京都大学)
    リズムの協調現象はさまざまな場面でみられる現象であり,脳の情報処理の観点からも注目を集めている.脳内でのリズムの協調は,複数の脳部位間の結合を状況に応じて切り替える役割を担っており,このことで柔軟な情報処理を実現している.さらに同様のリズムの協調現象が,コミュニケーションの場面においても脳と脳の間で観察される.講演では脳部位間の情報伝達と,脳間のコミュニケーションのアナロジーを検証することでリズムの協調の役割を議論する
  • OS13-8
    渡邊克巳 (東京大学先端科学技術研究センター)
    行動と生理状態の同期は社会的相互作用や共感の基礎となると考えられている.今回の講演では,オーガナイズドセッションにおける各発表に対する総評を行った後に,特に社会的相互作用における潜在的な側面の重要性について議論したい.また我々が最近始めた「潜在アンビエント・サーフェス情報の解読と活用による知的情報処理システムの構築」に関する研究プロジェクトについても紹介を行い,その上でフロアも交えて「同調・共感・社会性」というテーマを今後,如何に研究していくのかについての議論を深めたい.
  • P1-1
    竹田陽子 (横浜国立大学・環境情報研究院)
    本研究は、事業企画のデジタルストーリーテリングのワークショップを実践し、作品の構造・内容と視聴者の反応・評価(N=74)の関係を見て効果的な方法を探った。各作品には、主人公が困難に遭うことで問題の所在を暗示し、そこからビジネスの成功要因を分析し、方法を提示するという構造が共通して見られ、物語と分析が過不足なく構造的、内容的に接続されていることが視聴者の高評価につながった。また、物語では、聞き手にも共有された経験を示すことが有効であった。
  • P1-2
    森田均 (長崎県立大学国際情報学部)
    本研究では、パッシブからアクティブへの転換を基本コンセプトとした情報社会論を拡張するためのフィージビリティースタディ(FS)の成果について報告する。このFSの目的は、情報社会論に移動や運搬の手段を安全性経済性と環境に配慮した網(ネットワーク)へと変貌させたITS(Intelligent Transport System)の研究・教育と実践の手法を導入する可能性を検討することである。
  • P1-31
    中野優子 (東京大学大学院学際情報学府)
    岡田猛 (東京大学大学院教育学研究科)
    熟達した振付家・ダンサーの森山開次氏に注目し,コンテンポラリーダンスにおける振付創作過程を,認知プロセスと身体プロセスの関わり合いという観点から検討した.結果,振付創作における認知プロセスは「着想の観点」「具現化の観点」「目的」の観点から捉えられ,これらの内容は,異なる特徴を持つ3つのフェイズを経て移り変わることが明らかになった。更に認知プロセスは,実際の身体運動である身体プロセスと輻輳的に相互作用しながら展開することも明らかになった。
  • P1-32
    清水大地 (東京大学大学院教育学研究科)
    岡田猛 (東京大学大学院教育学研究科)
    本研究では,熟達者の有する即興的な表現方略について,ブレイクダンスを対象とした長期的なフィールドワークを行った.その際,既に獲得している5つの技術を複数回に渡る実践でどのように使用しているか,その使用方法はどのように変化するのかに着目した.結果として,熟達者は,各技術について3つのレベルから変更を加えつつ状況に適応した表現を行うこと,ある程度基本的なパターンを構築しつつ,状況に応じてそれらを変更して利用することが示唆された.
  • P2-1
    山口莉奈 (同志社大学大学院 文化情報学研究科)
    正田悠 (同志社大学文化情報学部・日本学術振興会・Centre for Performance Science, Royal College of Music)
    鈴木紀子 (帝塚山大学 経営学部)
    阪田真己子 (同志社大学文化情報学部)
    平成20年告示の中学校学習指導要領に伴い、従前では選択であった「ダンス」が必修となった。それに伴う様々な問題を解決するためには教員が抱えている不安を明らかにすることが重要であると考えられる。そこで本研究ではリズムダンス研修会に参加している現職教員を対象にアンケート調査を実施することで、教員が抱いているダンス指導不安がいかなる構造をもつのか、また、そのダンス指導不安が指導者の属性によってどのように異なるかを明らかにすることを目的とする。
  • P2-2
    水野りか (中部大学人文学部)
    松井孝雄 (中部大学人文学部)
    筆者らは,日本語母語者が種類や仲間の多い同音異義語を円滑に処理できるのは,日本語が高文脈依存だからではないかと考えた。そして,文脈がある条件とない条件で同音異義語と非同音異義語の語彙判断時間を測定し,文脈がある条件では同音異義語と非同音異義語の語彙判断時間に差がなくなることを確認してこの考え方を検証し,各母語者が母語や文化の特性に応じた処理を行っている可能性を示唆し,それらを再現しうる柔軟かつ包括的モデルの必要性を説いた。
  • P2-4
    小橋康章 (株式会社大化社・成城大学)
    認知科学的観点で高齢化研究の課題を展望し、研究のテーマ、研究の方法論、研究のコミュニティのあり方という3つの角度からJCSSに提案を行う:(1)認知的な諸問題など高齢化に伴う様々な問題や機会を、認知科学の重点テーマの一つと位置付ける。(2)高齢者を実験参加者とする実験研究のほか、高齢者の一人称研究を重点的に奨励する。(3)日本認知科学会にシニア会員制度を導入し、高齢化研究の主役を担ってもらう。
  • P2-5
    児玉謙太郎 (神奈川大学経済学部)
    安田和弘 (早稲田大学理工学術院総合研究所理工学研究所)
    園田耕平 (滋賀大学)
    青山慶 (東京大学大学院教育学研究科)
    樋口貴広 (首都大学東京人間健康科学研究科)
    本研究は、跨ぎ越え動作における知覚と行為の乖離を調べた。その際、行為能力を低下させるため非利き脚に加重による負荷を与え、実験的に知覚と行為の乖離を構成し、加重部位による乖離の現れの違いを調べた。実験の結果、足首条件では、行為能力を過小評価する傾向が見られたのに対し、太もも条件では、過大評価する傾向がみられた。これらの結果について、加重部位と身体特性変化後の探索行為、実験課題として求められる行為の間の複雑な関係から議論する。
  • P2-15
    小島隆次 (滋賀医科大学)
    本研究は、キャラクターの空間位置ステレオタイプに注目し、このステレオタイプが文章読解時のキャラクターの位置関係把握や空間メンタルモデル構築に及ぼす影響について検討した。その結果、文章読解時における空間メンタルモデル構築に対するキャラクターの空間位置ステレオタイプ効果の存在と、キャラクターに関する空間位置ステレオタイプが特に想定されない場合には、文章中におけるキャラクターの登場順が空間メンタルモデル構築に影響を及ぼす可能性が示唆された。
  • P2-29
    石川悟 (北星学園大学文学部)
    嘘を吐く時,「自身の嘘によって相手を騙すことができた」という確信はどのように得られるのか.本研究では,相手の立場に立った思考および自身の振る舞いについてのモニタリングと,自身が吐いた嘘への自身の程度との関係について検討した.その結果,嘘を吐いているときの自身の内的過程に対するメタ認知が不十分なことが,嘘に対する確信を生み出す可能性が示唆された.
  • P3-1
    後藤靖宏 (北星学園大学文学部 心理・応用コミュニケーション学科)
    “デザインがよい”日用品の印象の因子構造を明らかにするため大学生に対して質問紙調査を行った.因子分析の結果,斬新,洗練,機能,スタイリッシュ,および愛着の5因子が抽出された.この結果は,製品の新しさや形状、質感,あるいは色などの構成要因が整合性を持って融合していると認識されたときに“デザインがよい”と評価されるということを示している.また,外観に加え,製品本来の実際的な使われ方もデザインの善し悪しに関与していた.
  • P3-9
    富田瑛智 (筑波大学システム情報系)
    須藤智 (静岡大学 大学教育センター)
    原田悦子 (筑波大学人間系心理学域)
     本研究では,複雑な操作を必要とする日常的な機器として車載エアコンを対象とし,二重課題状況において,認知的な加齢の効果がどのように現れるのか検討した。実験では大学生と高齢者が,車載エアコンの操作課題を行った後,模擬的な運転課題と同時に車載エアコンの操作課題を行った。その結果,高齢者は模擬運転課題とエアコン操作課題を同時に行うことよりも,課題間の切り替えに困難を示している可能性が示された。
  • P3-15
    板垣浩正 (大阪大学大学院言語文化研究科)
    本研究の目的は、英語の中間構文と連結的知覚動詞構文の並行性・連続性を、認知的/概念的な観点から批判検討し補強することである。具体的には、先行研究で指摘された両構文の並行的特性が、部分的にしか保障されず、厳密に見れば連続的であることを示す。 また本稿は、構文現象の考察にあたって感性という概念を導入し、概念上の基礎付けと動機づけを与えることで、一貫性のある解決策を講じており、構文の記述に対する新たな手法を探求している。
  • P3-18
    後藤康志 (新潟大学教育・学生支援機構)
    本研究では,メディア認知をAHPで可視化し,その可視化されたメディア認知を省察するメタ認知的活動(自己分析,他者との対話,再度の自己分析)を行った.上記の処遇を行うことで,メタ認知的知識を提供できたことが示唆された.
  • P3-26
    正田真利恵 ((株)ニコン映像事業部)
    岩根透 ((株)ニコン映像事業部)
    新美亮輔 (東京大学大学院人文社会系研究科)
    本研究では3D映像観察時の眼精疲労が,像面位置と輻輳位置の不一致により生じるか,あるいは何らかの高次な認知処理によって生じるかを検証する。そこで従来の視差付与型の3D映像観察後の眼精疲労と,画面上に被写体と共役となる3D像面を再現する新3D映像を観察した後の眼精疲労を比較した。結果として像面位置と輻輳位置の一致だけでは,3D映像観察後の眼精疲労が決定されず,高次な認知処理も寄与していることが示唆された。
  • P3-29
    餘田尚彦 (明治大学大学院理工学研究科)
    五十嵐隆昭 (明治大学大学院 理工学研究科)
    嶋田総太郎 (明治大学理工学部)
    ラバーハンド錯覚(RHI)は視触覚刺激の時間的同期により生じる身体保持感の錯覚である.本研究では,左半球の側頭頭頂接合部(TPJ)へ経頭蓋直流電気刺激(tDCS)を加えたときのRHIの錯覚強度の変化と統合失調症型パーソナリティの関連性を調査した.その結果,TPJへの陽極刺激によって視触覚刺激が非同期状態でも錯覚を感じやすくなり,統合失調症の陰性症状の傾向が高いほど顕著に出ることが示された.
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