研究分野別一覧

推論・問題解決

  • OS06-5
    公募発表
    榎本美香 (東京工科大学)
    人が物理法則を上手く利用する身体技法を習得する方法を考察する.水泳を例に,コーチが水の操作方法を言葉や身体的手本として表象したものを,学習者が自身の身体運動と水との関係性として脱表象化する過程を分析する.その中で,身体各部の連動と物的世界の関係性を一度手放す認知の脱構造化が生じることをみる.そして,様々な表象の相互連関性,身体各部の運動の連動性と物的世界の様々な物理法則との関連性に学習者が開悟する有り方をモデル化する.
  • OS09-2
    公募発表
    井上直紀 (静岡大学)
    森田純哉 (静岡大学情報学部)
    本研究では,ジレンマ環境での新規なコミュニケーションシステムの成立と変化について,ゲームを用いて実験的に検討した.ゲームでは,利益を独占する行動と二者間でやり取りされるメッセージの曖昧さに相互関係があると想定された.ゲームを用いた予備的な実験の結果から,曖昧な意味付けを含むコミュニケーションの生起の可能性が示された.その上で集団実験を行い,生起したコミュニケーションに多様性があることが確認された.
  • OS09-3
    公募発表
    浅野旬吾 (電気通信大学)
    伊藤毅志 (電気通信大学)
    本報告では,正体隠匿型の多人数ゲーム「DREAMS」を紹介する.本ゲームの特質について述べ,このゲームでは,非言語的コミュニケーションにおける解釈や相互理解が必要なゲームであることを説明する.そして,このゲームをコンピュータ上で対戦するために現在開発中のデジタルプラットフォームについて説明し,このゲームを用いて考えうる認知科学的研究について説明する.
  • O1-4
    清水大地 (東京大学大学院教育学研究科)
    岡田猛 (東京大学大学院教育学研究科)
    上演芸術では,他者と豊かな関わり合いが営まれ魅力的な表現が披露される.本研究では、同期理論を用いてこの関わり合いを検討する枠組みの構築を目指した.ブレイクダンスのバトルを対象とし、ダンサー間・ダンサーとDJ間の振る舞いの対応関係を検証したところ,単純な同期を超えた多様な部位間の複雑な対応関係が見られ、時間経過によるそれらの動的な変化が示された.上演芸術のインタラクション理解には,以上の関係性を捉える同期理論の拡張が必要と考えられる.
  • O2-3
    小田切史士 (青山学院大学 社会情報学研究科)
    鈴木宏昭 (青山学院大学 教育人間科学部)
    洞察問題のヒント情報を閾下呈示することで,解決が促進されることが知られている。しかし先行研究では画像を複数のステップに分割して閾下呈示すると、効果が得られなくなることが示されている。本研究では分割したヒント画像に線運動錯視を用いることで動的な情報として呈示した場合、個々の画像を統合活用できるのかを検討した。その結果,解決者数の増加は有意ではなかったものの,その行為には動的な情報によって潜在情報を統合した影響が見られた.
  • O3-2
    鳥居拓馬 (北陸先端科学技術大学院大学)
    日髙昇平 (北陸先端科学技術大学院大学)
    小林瞭 (北陸先端科学技術大学院大学)
    人はある課題を解くために獲得した知識を新しい課題を解くのに転用できる.こうした知識の転移を解明すべく,地図未知な意味グラフ上の案内課題を用い,この新奇課題に対して参加者が「常識」(概念の関係)を転移させるときの行動データを分析した.強化学習を用いたモデルベースの行動分析から,案内課題が終盤に向かうにつれ,参加者は転移元の「常識」が新奇課題にうまく適合したかように行動することが示唆された.
  • P1-11
    山川真由 (名古屋大学・日本学術振興会)
    清河幸子 (名古屋大学大学院教育発達科学研究科)
    本研究では,物事に対する固定的な見方を解消する方法として「関連性の低い2つの対象間の共通点探索」に着目した。関連性の低い2つの対象間に共通点を発見するためには,対象がもつ顕在的でない特徴への着目が重要であると想定し,このプロセスを共有すると考えられるカテゴリ列挙との関連を検討した。その結果,共通点探索課題とカテゴリ列挙課題の成績には正の相関関係が認められ,「対象の顕在的でない特徴への着目」という共通するプロセスを有することが示唆された。
  • P1-18
    堀田拓海 (静岡大学大学院総合科学技術研究科)
    遠山紗矢香 (静岡大学)
    竹内勇剛 (静岡大学創造科学技術大学院)
    創造的思考場面において,当初とは異なる使い道や目的を発見することで,より重要な発明品や概念を生み出すというアプローチは有用であるが,固着が生じることでそのアプローチを発見しづらくなると考えられる.本研究では,エージェントとインタラクションを行う創造的思考場面において,エージェントに対し帰属する価値観が,エージェントの行動に対する解釈と,固着の解消・創造的思考プロセスの転換に影響するという仮説を,実験により検証する.
  • P1-37
    服部郁子 (立命館大学総合心理学部)
    服部雅史 (立命館大学総合心理学部)
    認知資源は認知機能の遂行にとって重要であり,認知資源と推論との間の重要な関連性は古くから認識されてきた.認知資源によって課される制約は,しばしばあいまいなで膨大な情報を扱うための重要なメカニズムである.本研究では,近年の様々な領域の研究を概観し,二種類の思考の制御に関してワーキングメモリーが二つの役割を担っていることを論じる.
  • P1-38
    白砂大 (東京大学)
    本田秀仁 (安田女子大学心理学部)
    松香敏彦 (千葉大学)
    植田一博 (東京大学大学院総合文化研究科)
    本研究では、日常場面(商品選択)に着目して、なじみ深さの類似性に基づくヒューリスティック「familiarity-matching (FM)」の利用を検証した。「商品Xを買うなら? A社製 B社製」という課題に対し、FMによる予測が、実験参加者の選択パターンとどの程度一致するかを算出した。結果として、予測の一致率がチャンスレベルを上回ったことから、人が日常場面においても、FMのような選択方略を行っていることが示唆された。
  • P1-39
    辻泰輝 (千葉工業大学 大学院)
    山崎治 (千葉工業大学)
    本研究の目的は,事前の目的設定の有無がデータ分析の過程や結果の洞察に及ぼす影響を調査することである.実験では「目的あり群/なし群」に分けた参加者を2人ずつの組にし,仮想的な店舗の売り上げデータに基づいた複数のグラフを提示した上でデータ分析を行わせた.分析過程について参照されるグラフの推移を整理した結果,両群の間に目的の有無が及ぼした差として,データを示すグラフの閲覧・利用の仕方に違いが現れることがわかった.
  • P1-40
    森下浩平 (大阪経済法科大学)
    基礎情報処理クラスの受講生を対象に,アクティブ・ラーニングについてのアンケートを行ったところ,アクティブ・ラーニングのニーズが少なからずあることが分かった.本調査では,基礎情報処理クラスの中で,実践的な問題解決型の小テストを実施し,小テストに関するアンケートの結果を中心に,その効果についてまとめた.
  • P1-41
    大貫祐大郎 (東京大学)
    本田秀仁 (安田女子大学心理学部)
    植田一博 (東京大学大学院総合文化研究科)
    従来の研究では、数値プライミング、または意味プライミングのどちらがアンカリング効果を発生させるのかに関して議論してきた。本研究の結果から、アンカリング効果の発生には、数値に単位を付けて提示する必要性が高いこと、数値を提示しない意味プライミングだけではアンカリング効果が発生しないことが確認された。本研究の結果は、アンカリング効果の発生メカニズムを解明するために、2つのプライミングモデルを組み合わせることが重要であることを示唆している。
  • P1-42
    笠原臣 (東京電機大学大学院 理工学研究科)
    柏舘敬 (東京電機大学大学院 理工学研究科)
    小林春美 (東京電機大学大学院理工学研究科)
    本研究では、指さしの解釈の方法について注目し、対象物を指し示す際の指さしの遠近、文脈の有無によって、指さしの対象特定における文脈の効果を検討した。例として、実験者が風邪を引いていて何かを飲みたいという文脈において「それを取ってください」と発言しながら指さしを行うと、実験参加者は指さしの先にあるジュースではなく指先から逸れた位置にある風邪薬であると解釈した。また、対象からの距離が近い指さしであっても、文脈を優先した解釈をする結果となった。
  • P1-43
    二宮由樹 (名古屋大学)
    寺井仁 (近畿大学)
    三輪和久 (名古屋大学)
    誤った表象からの転換には潜在的処理の関与が見られることが多くの洞察研究で示されてきた.しかし,次善解から最善解への転換のような,初期表象による課題の解決が可能な状況における転換に関する議論は進んでいない.本研究では,次善解から最善解への転換における潜在的処理の関与を眼球運動計測を用いて検討した.その結果,言語報告と乖離した固着の緩和が,転換に先行して観察された.これは,次善解から最善解への転換における潜在的処理の関与を示唆する.
  • P1-44
    石黒千晶 (金沢工業大学情報フロンティア学部心理科学科)
    高岸治人 (玉川大学脳科学研究所)
    佐藤由紀 (玉川大学リベラルアーツ学部)
    加藤悦子 (玉川大学芸術学部)
    髙橋愛 (玉川大学芸術学部)
    阿部祐子 (玉川大学芸術学部)
    岡田浩之 (玉川大学工学部・脳科学研究所)
    創造性はアイディア生成能力やプロダクト生成能力,社会的実績の観点から研究されてきたが,各創造性の関係については明らかになっていない。本研究はアイディア生成能力,創造的実績に焦点を当て,2つの創造性の関係を検討した。88名の大学生を対象に,アイディア生成能力と創造的実績を測る実験を行った。その結果,アイディア生成能力と創造的実績の間に有意な正の相関が見られた。今後は、プロダクト生成能力も含めて多様な観点から創造性を検討する必要がある。
  • P1-45
    坂田顕庸 (東京工業大学)
    坂平文博 (株式会社構造計画研究所)
    國上真章 (東京工業大学)
    吉川厚 (東京工業大学)
    山村雅幸 (東京工業大学)
    寺野隆雄 (千葉商科大学)
    本研究の目的は,同期タッピング課題における音刺激に対するボタン押しの同期のズレの発生の原因を確かめることである.実験では,まず,実験参加者に対して特定の方策をとるよう指示すると,刺激の周期に関わらず,指示した方策に対応したタイミングでボタン押しが起きることを確かめた.次に,予測的なタッピングの発生率と反応的なタッピングの発生率が,刺激の周期が長くなるに従って低下することを確かめた.結果は発表の場で報告する.
  • P1-46
    佐藤信之介 (千葉工業大学大学院 情報科学研究科 情報科学専攻)
    山崎治 (千葉工業大学)
    本研究では,モデル構築による推定作業を促進する要因として課題遂行中の役割における等質性と異質性に着目した.等質性と異質性を操作するために2種類の役割を用意し,参加者に異なる役割を与える条件と,同じ役割を与える条件を用意し,課題遂行中の役割が等質性・異質性としてグループ形成に及ぼす効果を検討した.実験の結果,課題遂行中の役割を分けて与えた条件でモデルの構築が促進される可能性が示唆された.
  • P1-67
    古藤陽 (東京大学大学院学際情報学府)
    清水大地 (東京大学大学院教育学研究科)
    岡田猛 (東京大学大学院教育学研究科・情報学環)
    美術創作や鑑賞といった活動においては,しばしば日常とは異なる特殊なものの見方が生じており,その一つの要因として「美的態度」と呼ばれる認知的な構えが存在することが先行研究により示唆されている.本研究は,美的態度をもって非美術の対象を解釈する活動の中で生じる解釈の変化の過程を探索的に検討することを目指す.これにより,美術活動全般に関わる「対象を美的に見る」という力を養うための美術教育手法の開発に寄与することができると考えている.
  • P2-5
    吉沢栄貴 (東京電機大学 大学院)
    高橋達二 (東京電機大学 理工学部)
    「pならばq」という形式をとる条件文を人間が解釈する際,論理学上の古典的な定義と人間の直感的解釈に相違があることが知られており,加えて近年新たなアプローチの真理値表としてJeffrey tableが提唱されている.また条件文の確率的判断についての先行研究ではOver らによる研究がある.この研究での実験を参考に日本語条件文で実験を行い,日本語での条件文の確率的解釈の分析および, Jeffrey tableの妥当性を検証を行なった.
  • P2-6
    佐藤彩子 (東京電機大学)
    吉沢栄貴 (東京電機大学 大学院)
    高橋達二 (東京電機大学 理工学部)
    「pならばq」という形式をとる条件文の真理値について人間が解釈する際,「真」,「偽」だけでなく「不確実」をとることが知られている.この「不確実」の取りうる値について, Jeffreyは真を1,偽を0としたとき0から1の確率値P(q|p)をとるとし, Wang & Zhuがその検証を行った.しかし実験の設計や方法には議論の余地も見られた.そこで本研究ではWang & Zhuの実験を改善して日本語での追試を実施し,結果の比較を行なった.
  • P2-43
    清河幸子 (名古屋大学大学院教育発達科学研究科)
    Zoltan Dienes (University of Sussex)
    本研究では,言語化の宛て先を考慮した上で,思考の言語化が洞察問題解決に及ぼす影響を検討した.具体的には,「他者に向けた言語化を行う際には,メタ認知的モニタリングが促進される」との仮説に基づき,自分自身に向けた言語化を行う場合に比較して,他者に向けた言語化を行った場合に洞察問題解決の成績が高くなると予測した.しかし,言語化の宛て先によって解決成績に差は認められず,仮説を支持する結果は得られなかった.
  • P2-53
    村越真 (静岡大学教育学部)
    南極地域観測隊を対象に、氷河のリスクに対するイメージについて、南極滞在の前後で活動時の写真を使った聞き取りを行った。また、氷河上で活動する研究者からの聞き取りをおこなった。その結果、滞在前後でリスク評価が低減する傾向に見られたが、その背後にはリスク要因に関する体験的知識や科学的知識の獲得が推測された。リスクに対する認知バイアスの問題について、知識や推論の点からアプローチする重要性が指摘された。
  • P2-55
    佐藤有理 (京都大学文学研究科)
    唐沢かおり (東京大学人文社会系研究科)
    橋本剛明 (東京大学人文社会系研究科)
    出口康夫 (京都大学文学研究科)
    認識概念の特性を解明するため、認識態度動詞を含む様々な推論課題を用いた実験を実施した。knowを含む人々の推論は、S4-D体系(叙実性のため公理Dを様相論理体系S4から除外)に合致していた。believeとseeとunderstandの人々の推論パターンは、knowといくつかの推論タイプで異なっていた。一方で、be-informedとbe-awareとrememberは、knowとの違いが本実験では検出されなかった。
  • P2-56
    福永征夫 (アブダクション研究会)
    デカルトは難問を,できるだけ多くの小部分に分割することを説いて,要素還元主義という領域学の方法論を確立したが,分割した部分を全体としてまとめる広域学の方法を見出すには至らなかった. 近現代を通じて乗り越えることのできなかったアポリアに挑む道は, 自然や生命・社会の系が相補的なベクトルを持つことに立脚して, 領域学による知識・行動と広域学による知識・行動を,より普遍的な知識・行動に融合する知の統合基盤を確立することである.
  • P2-65
    田中吉史 (金沢工業大学)
    中野裕太 (金沢工業大学)
    後藤優佳 (金沢工業大学)
    本研究では創造的思考課題の一種であるUnusual Use Test(UUT)に対して、実験参加者のMW傾向と、UUTと同時に実行する副課題が与える影響について検討した。実験の結果、流暢性と独自性に対して、MW傾向、副課題とも影響が見られなかった。柔軟性に関してはMW傾向の高い参加者の方が高い傾向が見られたが、副課題の効果は見られなかった。
  • P2-66
    下條朝也 (名古屋大学)
    三輪和久 (名古屋大学)
    寺井仁 (近畿大学)
    我々はどのような説明を良いと感じるのか.近年,心理学では,科学哲学における「人間は,説明の起こりやすさの推定に,その説明の美しさを用いる」という主張に基づき,様々な実証研究がなされている.特に,説明の美しさの要素であると考えられる「説明の単純さ」や「未観測の事象の数」が説明の選好や事後確率推定に与える効果を独立に検討したものが主である.本研究では,上記2要因を同時に操作することで,効果の程度の比較と,それらの交互作用の有無を検討する.
  • P2-67
    中野良樹 (秋田大学教育文化学部)
    タングラムとはパズルゲームの一種で,解決には定型的な思考を脱し発想を転換する洞察問題である.複数のタングラム課題をくり返し,課題間での難易度の違いや,くり返しに伴う主観的自信度の変化と視線移動などの特徴を検討した.50名が実験に参加し,3つの課題に取り組んだ.自信度,眼球運動,ピース操作のデータから,問題解決に優れた作業者は広範囲に問題空間を検索し,主観的な自信度は低下しても,着実に解へと向かっていることが明らかになった.
  • P2-68
    太田博三 (放送大学 教養学部)
    昨今,ディープラーニングの進展が急速に高まりを見せながらも,人間関係を配慮した対話ではなくなっている。自然な発話だけでなく、対人配慮した会話は、生活する上で必要不可欠である。この中で,本稿は,従来の制御文により対話応答文生成のアプローチを言語学の語用論の視点、とりわけポライトネスと敬語を主とした配慮表現とを用いたものである。縦断的対話データも含め、配慮表現コーパスを作成し、分析手法も提示したものである。

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