研究分野

意思決定

  • OS05-6
    公募発表
    馬塚 れい子 (理研脳神経研究センター、早稲田大学)
    仲 真紀子 (理化学研究所)
    本稿では,出産や育児に関わる母親達の生きづらさも「当事者」の概念を用いて見える化することで理解を深めることができ, 父親も「当事者」視点から見直してみることで父親としての役割りや, 母親との関係についても理解が深めることができる.又 父親も「妊娠・出産・育児」当事者であるという認識が社会に広まり, 少子化対策の政策や企業の経営方針に反映されるようになれば, 子育てもしやすいインクルーシブな社会につながるのではないかと提案する.
  • P1-008A
    佐藤 幹晃 (岐阜大学)
    寺田 和憲 (岐阜大学)
    グラッチ ジョナサン (南カリフォルニア大学)
    Win-Winな交渉をするためには,事前にコミュニケーションすることで相手について学ぶことが重要である.人-人の交渉において,感情表現は偽りがなく,信頼できる信号だと考えられているが,人-AIエージェントの交渉結果にどのような影響を与えるかは未知であった.そこで本研究では,交渉前のコミュニケーションで感情表現からAIエージェントの選好を学習することが,Win-Winな交渉結果に寄与するか検討した.
  • P1-017
    能城 沙織 (木更津工業高等専門学校)
    國岡 桃子 (JASM(株))
    似た顔の相手を配偶者として選択するのか, 結婚後に夫婦の顔が似ていくのか, という議論に関しては, 両方の面がありうるという説が広く普及してきたが, 近年白人を対象とした研究で後者を否定する結果が示された.本研究では, 日本人を対象に夫婦の顔の類似性の経年変化を調べた結果, 日本人においても同様に夫婦の顔の類似性の経年変化は認められず,この傾向が人種をこえて普遍的にみられるという可能性が示唆された.
  • P1-032A
    森本 優洸聖 (大阪府立大学 人間社会システム科学研究科)
    牧岡 省吾 (大阪公立大学 現代システム科学研究科)
    系列依存性は,直前の情報によって知覚や判断が変化する現象である.本研究は,系列依存性が形の判別において生じるかを追試した.また従来の刺激の主観的等価点での分析に加えて反応時間分析を行い,系列依存性が反応時間に影響するも検討した. その結果,形の判別の系列依存性が確認された.また反応時間においても系列依存性が確認された.これらは過去の刺激の影響が刺激の判別に関する基準点そのものに影響することを示唆している.
  • P1-034
    藤本 和則 (近畿大学)
    田中 優子 (名古屋工業大学)
    犬塚 美輪 (東京学芸大学)
    経時に伴うCOVID-19関連記事の正確さの識別力(真の記事を正しいと、偽の記事を誤りと判断する能力)の変化について分析した結果を報告する。分析には、異なる時期に実施された二つの再現実験のデータを利用した。分析の結果、正確さの識別力は経時とともに低下することを確認した。また、識別力の低下は、COVID-19への関心が薄れたことや、被験者の政治的偏りの変化だけでは十分に説明されないことを確認した。
  • P1-050
    尾関 智恵 (愛知工科大学)
    小笠原 秀美 (中京大学)
    数独はポピュラーなパズルであり,制約充足問題として知られている.これまで問題自体に対する提案は数多くあるが,人がどのように難易度を評価し,解答方略を獲得してパフォーマンスを向上させていく熟達過程に焦点を当てた研究は少ない.本発表では,数独における制約伝播に基づく解決方略を獲得していく過程の追跡をするため,これに適した問題生成とその難易度評価の探索的な試みを報告する.
  • P1-052
    藤木 大介 (広島大学)
    近年,対話形式を模した文章の利用が増えた。しかし,先行研究の知見から,対話型テキストは内容を理解するための形式として適さないようである。そのため,読み手にとって重要な意思決定につながる情報の提示が対話型テキストでなされてよいか検討すべきである。そこで本研究では「アジア病問題」を対話型テキストで提示した場合の判断の仕方について検討した。その結果,選択肢のフレーミングとは独立にリスクテイクする傾向が強まることがわかった。
  • P1-063
    中村 國則 (成城大学)
    確率と価値の負の相関という現象が,言語確率表現についても当てはまるかを検討するため,2つの実証研究を行った.その結果,言語確率表現についても確率が高くなるほどそれに伴う結果の大きさが小さくなることが示され,さらにその結果の大きさは言語確率の持つ方向性という性質とも関連することがあきらかになった.
  • P1-064A
    横須賀 天臣 (東京電機大学)
    石倉 圭悟 (東京電機大学)
    中村 紘子 (日本学術振興会,東京電機大学)
    高橋 達二 (東京電機大学)
    認知的満足化は,行動の結果として見込まれる価値が満足化基準を満たすかによってリスク態度が異なり,意思決定の探索傾向に影響するというモデルである(高橋ら,2016).満足化基準が満たされない場合はリスク志向的になり,探索的な選択をすることが予測される. 本研究はギャンブル選択課題を用いて,意思決定の探索傾向とリスク態度を検証した.その結果,損失が見込まれるほどリスク志向的になり,探索的な選択をしやすいというモデルの予測が支持された.
  • P1-065
    香川 璃奈 (筑波大学)
    本田 秀仁 (追手門学院大学)
    野里 博和 (産業技術総合研究所人工知能研究センター)
    人間が他者からの助言を参照して意思決定を行う際に、助言をそのまま採用するわけではない現象が自己中心的助言割引として知られる。昨今のAIの急速な発展により、AIを助言として人間が意思決定を行う場面が今後増加すると予想される。しかし、AIの精度とAIを利用した人間の意思決定の関係性は明らかでない。本研究ではシミュレーションと行動実験を通じて、AIの予測誤差が小さくなるほど、それを利用した人間の意思決定が正確になるとは限らないことを示した。
  • P1-068A
    南條 啓孝 (自然科学研究機構生理学研究所)
    山本 哲也 (自然科学研究機構生理学研究所)
    David Aguilar-Lleyda (理化学研究所脳神経科学研究センター)
    赤石 れい (理化学研究所脳神経科学研究センター)
    定藤 規弘 (自然科学研究機構生理学研究所)
    本研究は, 機能的磁気共鳴画像法 (fMRI)により, ヒトのメタ認知プロセスの神経基盤を明らかにすることを目的とした. 確信度評定を伴う連続的な知覚意思決定課題を健常成人34名が行い, その間の脳活動を撮像した. その結果, 確信度に応じて前内側前頭前野が, 判断を切り替える制御過程に背側前帯状皮質が関係することを示した. 更に, 前帯状皮質周囲領域に両プロセスに共通する活動が確認でき, メタ認知プロセスに空間的な関連性が示された.
  • P2-003
    田丸 陽稀 (東京大学大学院学際情報学府)
    藤崎 樹 (東北大学大学院情報科学研究科)
    馬場 雪乃 (東京大学大学院総合文化研究科)
    植田 一博 (東京大学)
    人々の意見を適切に集約した結果が時に高い精度を生む現象は集合知と呼ばれ,さまざまな手法が提案されている.中でも,集団内の成績優秀者を推定し,その意見のみを用いる少数選抜は高い精度を誇る.本研究では,少数選抜の一手法であるHyper Questionに注目し,この手法が回答に偏りがある際に精度が落ちることを明らかにした.また,この限界に対し,エントロピーを利用することで回答の偏りを回避する応用手法を提案する.
  • P2-015
    望月 泰博 (早稲田大学)
    マヤンク アガワル (理化学研究所)
    原澤 寛浩 (理化学研究所)
    陳 冲 (山口大学)
    福田 玄明 (一橋大学)
    近年の研究では,ヒトのリスク選択が効用最大化ではなく,適応度最大化に基づく例が報告されている.しかし,この現象は現在のところ特殊な課題下においてのみ確認されている.本研究では従来からリスク選択研究に用いられてきた繰り返し独立な選択を行う課題において,報酬の得やすさを調節した.その結果,実験参加者のリスク選好に適応度最大化から予測される動的変化が現れた.これはヒトの経済行動が適応度最大化の原理に基づくことを示唆している.
  • P2-016
    犬童 健良 (関東学園大学経済学部)
    本論文は心の多様体モデルを提案し,認知過程を場の量に依存する局所座標系間の変換として解釈した.認知的空間は認知的阻止の影響を受けると仮定される.認知的阻止は閉鎖性と創造性の双対性を有し,同時に,自己検出を抑制する再帰性を有する.ねじれた心は,認知的阻止の力による認知空間の曲がりの埋め込みにおける像である.ねじれた心を解釈するため,フレームシステム,ナッシュの埋め込み定理,双行列ゲームに対するラベリングシステムの適用が考察された.
  • P2-030
    大田 琉生 (金沢工業大学)
    橋本 雅生 (金沢工業大学)
    金野 武司 (金沢工業大学)
    人間が発する言葉には字義通りと言外の二重の意味が込められており,この仕組みを解明するために取り組まれた先行研究では,この二重の意味を学習する計算モデルは,1つの記号に異なる意味が割り当てられた状態を解決できないと考えられた.我々は,リーダーシップを調整する方法を考案し,計算機どうしのシミュレーションでは高いパフォーマンスを発揮することができたが,人を相手にした場合にはうまく機能しないことが実験により確認された.
  • P2-034A
    澤田 和輝 (京都大学大学院教育学研究科)
    小池 光 (京都大学大学院教育学研究科)
    村山 新 (京都大学教育学部)
    西田 帆花 (京都大学教育学部)
    野村 理朗 (京都大学大学院教育学研究科)
    本研究は,美しさの知覚,畏敬の念,意味生成の観点から,芸術鑑賞においてどのような感動が触発−創造的活動への高い動機づけ−を引き起こすのかを検討した.その結果,絵画に対する畏敬の念や意味生成から生じる感動が触発を促すこと,また,畏敬の念や意味生成の効果を統制した場合に絵画の美しさは触発と関わらないことが新たに示された.
  • P2-037
    本田 秀仁 (追手門学院大学)
    香川 璃奈 (筑波大学)
    白砂 大 (追手門学院大学)
    本研究では、アンカリングバイアスを活用し、集合知を高める方法を提案する。具体的には、十分に異なる2つのアンカーの影響を受けた推定値を平均値で集約するという方法である。この方法について、計算機シミュレーション、ならびに医師が新型コロナウイルスの新規感染者数を予測するという現実的な場面で実験的に検討したところ、有効な方法であることが理論的、実証的に示された。
  • P2-041
    眞嶋 良全 (北星学園大学社会福祉学部)
    鈴木 凜太朗 (北星学園大学・社会福祉学部)
    市原 実夢 (北星学園大学・社会福祉学部)
    岩間 雅 (北星学園大学・社会福祉学部)
    桑原 彩 (北星学園大学・社会福祉学部)
    本間 大貴 (北星学園大学・社会福祉学部)
    吉田 崚人 (北星学園大学・社会福祉学部)
    本研究では,科学の非専門家が学術研究の成果をどのように評価するかについて,刊行形態と,科学に対する全般的な信頼と思考スタイルの影響を検討した。その結果,プレプリントの位置づけを理解している場合は刊行形態が評価を決めるが,プレプリントと査読論文が区別できていない状況では,科学への信頼,あるいは非分析的思考スタイルが影響し,特にプレプリントの評価は分析的思考スタイルに大きく影響されることが示された。
  • P2-050A
    金子 晶史 (東京電機大学大学院)
    高橋 達二 (東京電機大学)
    中村 紘子 (日本学術振興会,東京電機大学)
    本研究では,タイムプレッシャーの有無と視点(書き手・読み手)を操作し,視点やタイムプレッシャーの有無によって論理的な条件推論が促進されるか,抑制されるかを検討した.実験の結果,書き手の視点から推論する場合は推論の結論を受け入れやすく,書き手は自身の主張に強い確信を持っているという解釈が行われている可能性が示された.一方,タイムプレッシャーの有無による条件推論の受け入れやすさの差は見られなかった.
  • P2-054
    寺田 和憲 (岐阜大学)
    長谷川 智大 (岐阜大学)
    Celso M. de Melo (DEVCOM ARL)
    Francisco C. Santos (Universidade de Lisboa)
    非ゼロ和ゲーム的社会においては,搾取者(悪人)を避けながら協力者(善人)と良好な関係を構築することが重要な課題であるが,その認知計算については未知である.本研究では,人が社会的価値志向性を生成モデルとして用い,観察した相手の行動から相手の性格の善悪をベイズ推論し,新規状況で相手の行動の善悪を予測し,合理的な意思決定ができることを実験(n=372)によって確かめた.
  • P2-055A
    高田 亮介 (東京大学)
    坂本 孝丈 (静岡大学)
    竹内 勇剛 (静岡大学)
    スリルを楽しむといった非合理的な遊び行動は,生物が生きていることを自覚するための重要な要素であると考えられている.本研究では,進化計算によって獲得した"危険を避ける"という生得的な状態価値をベースに,相反する報酬関数を用いて強化学習を行うことで"危険を冒す"という経験的な状態価値を実現する.シミュレーション実験により,相反する報酬関数とスリルを求める度合いが,スリルという非合理的な認知過程をモデル化するうえで有効であることが示唆された.
  • P2-065
    山田 歩 (滋賀県立大学)
    木戸 柚果 (滋賀県立大学)
    古木 一朗 (三菱電機株式会社)
    椿 泰範 (三菱電機株式会社)
    橋口 拓弥 (三菱電機株式会社)
    橘温 希 (三菱電機株式会社)
    歩きスマホは事故やトラブルを招く社会問題となっている.しかし,現状の啓発活動では十分に抑止できていない.本研究はナッジ理論に基づき,歩きスマホを防止するパーソナル・ナッジを開発した.デジタルサイネージを用いて「歩きスマホ者」と「非歩きスマホ者」で異なる内容の映像提示を行う介入実験を現実空間で実施し,大きな抑止効果を確認した.
  • P2-068A
    大貫 祐大郎 (一橋大学)
    大瀧 友里奈 (一橋大学)
    植田 一博 (東京大学)
    先行研究では,自己が所有していない物よりも,自己の所有物の方が,より高い価値があると判断する所有効果が確認されている.しかし, 物を手放すか受け取るか (損失と利得) の交絡を除いた状況における他者の所有物への評価は,十分に検討されていない.そこで,本研究では,所有者の違い(自己と他者)が,物の評価に与える影響を検討した.結果,自己の所有物の価値よりも,他者の所有物の価値の方が高いと予想する「隣の芝生は青い」バイアスの存在を示唆できた.
  • P3-001A
    白砂 大 (追手門学院大学)
    香川 璃奈 (筑波大学)
    本田 秀仁 (追手門学院大学)
    本研究では、判断の正確さを高めるためのシンプルな介入策(ブースト)として、課題冒頭に「1秒待たせる」という手法を提案した。二者択一課題を用いた行動実験の結果、待ち時間がない群と比べて、1秒の待ち時間がある群の方が高い正答率を示した。また、マウストラッキングにより参加者の判断プロセスを検証した結果、待ち時間が衝動的な判断を抑制していることが示唆された。1秒待たせるという介入策は、非常に低コストであり、他の場面への応用可能性も期待される。
  • P3-006
    塚田 瑛介 (静岡大学情報学部)
    西川 純平 (静岡大学)
    長島 一真 (静岡大学創造科学技術大学院)
    森田 純哉 (静岡大学)
    SNS(Social Network Service)の急速な発達に伴い,フェイクニュースやデマの拡散が問題になっている.これらの背景として,先行研究ではユーザの感情的反応が指摘されている.情報伝播において,感情を揺さぶる言葉が含まれるツイートほど,より拡散されやすいとされる.しかし、感情的反応がツイートの拡散に結び付くメカニズムは明らかになっていない.本研究では,ACT-Rを用いた人間の認知プロセスのモデリングによりこれを検討する.
  • P3-013A
    水野 貴行 (京都工芸繊維大学)
    都丸 武宜 (京都工芸繊維大学)
    西山 雄大 (長岡技術科学大学)
    村上 久 (京都工芸繊維大学)
    錯視を用いた実験から, 知覚のための視覚と運動のための視覚は異なるメカニズムによるとする「知覚対運動仮説」が提唱されているが, 依然として反論も多い.本研究では, 運動への錯視の影響を従来より明確に検証可能と考えられる, 「まわし」動作における指の使用本数に着目した実験を行った. 結果として, 錯視による指の使用本数への影響が観察され, 運動のための視覚も錯視の影響を受けている可能性が示唆された.
  • P3-020
    松田 憲 (北九州市立大学)
    杉浦 由奈 (北九州市立大学)
    楠見 孝 (京都大学)
    本研究は,ブーバ/キキ効果におけるブーバ図形とキキ図形を参加者に繰り返し視覚呈示することで,呈示刺激の外見的特徴が単純接触効果の生起に及ぼす影響を検討した.実験の結果,反復呈示によってブーバとキキの両図形への親近性は上昇した一方で危険度は低下しなかった.キキ図形への危険度認知は一貫してブーバ図形よりも高く,安心感の上昇はブーバ図形のみで見られた.視覚刺激の反復呈示による単純接触効果はブーバ図形のみで生じ,キキ図形では生じなかった.
  • P3-027A
    平田 瑞貴 (名古屋大学)
    三輪 和久 (名古屋大学)
    人は問題を解決する際に,減算的な解決策よりも加算的な解決策を用いることが多い.本研究ではこの加算的な解決策と減算的な解決策の関係について,論理的に等価な実験シナリオにおいて,それぞれの解決策の有効性を統制した実験を実施した.その結果,多くの実験条件において加算的な解決策での回答の比率が高くなり,人の加算的な解決策に対する選好は,解決策の有効性に依拠したものではなく,加算,減算といった操作に依拠したものであることが示唆された.
  • P3-038A
    友野 貴之 (札幌学院大学心理学部, 早稲田大学人間総合研究センター)
    栗原 勇人 (早稲田大学人間科学学術院)
    海見 康秀 (早稲田大学人間科学部)
    村野 良太 (早稲田大学人間科学学術院)
    加藤 麻樹 (早稲田大学人間科学学術院)
    自動運転車乗車時の間隙通過場面の動画とオンラインの質問紙を用いた実験を行い,車の車速が間隙の通過判断とその確信度に与える影響について検討した.その結果,間隙幅が車幅の1.6倍の場合,車の速度は間隙の通過可否判断に影響を与えることがわかった.また,間隙幅が車幅の1.9倍の場合は,1.6倍の場合よりも,間隙の通過可否判断に対する確信度が高くなることがわかった.一方で, 速度は通過可能と判断した際の確信度に影響を与えるとは言えなかった.
  • P3-043
    椎久 翔太 (静岡大学)
    竹内 勇剛 (静岡大学)
    本研究は,小集団内の意思決定プロセスにおける複雑で創発的な相互作用をモデリングすることに焦点を当てている.従来の意思決定を取り扱うマルチエージェントシステムでは,このような創造的な側面が十分に反映されていなかった.そこで,成員間の相互作用と満足度を変数として強化学習モデルに組み込み,小集団の意思決定後の成員の態度予測する.結果として,集団が得た結論を各成員がポジティブに受け入れ,意思決定に至るまでの時間が短縮されることを明らかにした.
  • P3-044A
    髙宗 楓 (北陸先端科学技術大学院大学)
    西本 一志 (北陸先端科学技術大学院大学)
    論理的に等価であるにも関わらず,記述表現がポジティブまたはネガティブと異なることによって,後の意思決定が変化する現象は属性フレーミング効果として知られている.本研究では,属性フレーミング効果を誘発する文章表現に対して,数量を表現するジェスチャを追加提示した場合の意思決定への影響について調査を行った.本研究の結果として,一部ジェスチャの追加提示条件において,属性フレーミング効果が強化される可能性が示唆された.
  • P3-054
    鶴島 彰 (セコム株式会社)
    宮野 修平 (セコム株式会社)
    指示方向を動的に変化させる動的避難誘導システム の有効性が議論されている.しかし,人間の避難者が 動的に指示方向を変える標識の指示通りに行動するか については明らかにされていない.本研究は VR 実験 を使って,指示方向を変化させる避難標識の下で被験 者がどのように行動するかを調査した.その結果,指 示方向の頻繁な変化が避難標識の信頼性を毀損し,被 験者が指示通りに行動しなくなることが明らかになっ た.
  • P3-055A
    笹森 なおみ (北陸先端科学技術大学院大学)
    橋本 敬 (北陸先端科学技術大学院大学)
    後悔の情動は,その後の意思決定に影響を与えることから,道徳の実践に内的条件付けとして用いられている可能性がある.本研究では,予期的な後悔が道徳的意思決定に影響を与えているか検証するために,道徳ジレンマ課題中の予期的皮膚コンダクタンス反応(SCR)を計測した.予備実験の結果,予期的後悔が予期的SCRに反映されていることは示せなかった.このことから,道徳的意思決定への予期的後悔の影響を検証できる新たな実験設計が必要とされる.
  • P3-057
    佐々木 健矢 (静岡大学情報学部)
    長島 一真 (静岡大学創造科学技術大学院)
    西川 純平 (静岡大学)
    森田 純哉 (静岡大学)
    自動運転車などの自律した機械を社会実装するためには,機械自体が直面する道徳的問題に対して,人間と整合する判断を行う必要がある.本研究では,人間とコンピュータの価値観のすり合わせを達成するため,二重過程理論に基づく人間の思考システムとしての道徳をモデル化する.この研究のステップとして,言語モデルと認知アーキテクチャACT-Rを組み合わせた事例ベースな道徳判断のプロトタイプモデルを構築し,ケーススタディとしてのトロッコ問題に適用する.