研究分野

相互作用

  • OS05-5
    公募発表
    八木 裕子 (東洋大学)
    細馬 宏通 (早稲田大学)
    本研究は,介護関係を通して展開されるホームヘルプサービスにおける認知症高齢者の利用者とヘルパーとの相互行為に着目し,ホームヘルパーの専門性に資する何らかの方法を見つけることを目的とした.その結果,ヘルパーは発話だけでなく,さまざまな身体動作の手がかりを使いながら,注意の分散に関する障害がみられる利用者に対して,特定の対象へと誘導し,それを維持させながら,利用者の主体性の醸成を工夫していることが明らかになった.
  • O1-001A
    市川 淳 (静岡大学)
    筒井 和詩 (名古屋大学)
    藤井 慶輔 (名古屋大学)
    本研究では3者で不均一な役割を分担して集団目標の達成を図る実験タスクを用いて,協調運動で重要な他者を助けて状況の改善を図る役割に着目し,その情報処理についてシミュレーションから検討した.結果,ボトムアップとトップダウン処理に対応する深層強化学習とルールベースから当該役割が行動するモデルでは,ルールベースのみやランダムで行動する場合よりもタスクパフォーマンスが高いことが示された.2種類の処理により,役割が十分に機能する可能性がある.
  • O1-002
    菊地 浩平 (筑波技術大学)
    須永 将史 (小樽商科大学)
    七田 麻美子 (埼玉大学)
    本論文では,企業研修での質疑応答場面を対象とした相互行為を分析する.とくに,質疑応答場面において,参加者からの質問に回答した講師側が,自分がおこなった回答に対して「答えになっていたか」と言及する発言に注目する.このような発言はしばしば,「認識可能な反応の不在」に続けて産出される.この発言によって参与者が何を達成し,質疑応答という場面が成立しているのかを考察する.
  • O1-004
    小林 陽昭 (公立はこだて未来大学)
    坂井田 瑠衣 (公立はこだて未来大学)
    本稿は、一人称研究による自分の生きづらさを解消するプロダクトデザイン実践から得た、日常的に身体的な認知・行動を一人称記述する有用性を報告する。筆者が生活における身体的な認知・行動を私秘的視点と公共的視点により記述した二段階フィールドノートによって、自己完結するプロダクトデザインが自己満足に留まらず、本質的な課題の発見と解決を助ける。また、プロトタイプを構成的に作り変えることで生じる目的の変化を許容できるデザインプロセスとなる。
  • O3-002
    松下 彩夏 (立命館大学大学院情報理工学研究科)
    江波戸 傑 (立命館大学大学院情報理工学研究科)
    小林 晶 (立命館大学大学院情報理工学研究科,現凸版印刷株式会社)
    松室 美紀 (Penn State College of Information Sciences and Technology,立命館大学総合科学技術研究機構)
    柴田 史久 (立命館大学大学院情報理工学研究科)
    木村朝子 (立命館大学大学院情報理工学研究科)
    一部の身体部位の表示位置を視覚的に操作し,対象部位の位置知覚の変化を検討する先行研究は存在する.一方,課題の対象でない部位及び全身を対象とした位置知覚への影響については未だ検討の必要がある.本研究では,いずれかの四肢を実際の位置より外側に表示した状態で課題を行い,全ての四肢を対象としたテストを行うことで,視覚情報の操作が四肢の身体表象に与える影響について検討した.その結果,課題の対象部位だけでなく,他部位にも位置知覚の変化を確認した.
  • P1-001A
    山縣 芽生 (同志社大学)
    高橋 英之 (ATR / 大阪大学)
    本研究では,既存コミュニティの構成員とコミュニティへの新参者の間で,それぞれがそれまでに有してきた異なる規範が同化していく過程を明らかにするため,このような状況を単純化したコンピュータ上でbotと行う課題を作成し,予備的な実験を行った。その結果,この課題を用いることで,既存コミュニティの構成員と新参者の規範が同化していく過程とその多様性が定量的に分析できることが示唆された。
  • P1-002
    齊藤 萌木 (共立女子大学)
    岩城 奈津 (共立女子大学ビジネス学部)
    森 理宇子 (共立女子大学ビジネス学部)
    本稿は,共立女子大学1年生前期科目「リーダーシップ開発入門演習Ⅰ」の学習記録をもとに,Project Based Learningに先行して理論やスキルを学ぶリーダーシップ開発の初期段階の学習効果把握を試みた.「リーダーシップ最小三要素」及び「具体性」の2観点から受講者の提出物を分析した結果,授業をとおして「率先垂範」「相互支援」の二要素について理解が深まること,目標の具体性が向上することが明らかになった.
  • P1-020A
    北川 浩行 (電気通信大学)
    粕谷 美里 (電気通信大学)
    阿部 香澄 (電気通信大学)
    中村 友昭 (電気通信大学)
    鷲尾 宏太 (トヨタ自動車株式会社)
    真鍋 周平 (トヨタ自動車株式会社)
    自動車事故防止のため,運転者の意識に焦点を当てた対策が考えられる.本研究では,運転者に安全運転の持続的な意識付けを促すリアルタイムフィードバックシステムの実現を目指す.その第一段階として,急ブレーキを対象に,危険運転を指摘する画像の印象を検証した.本発表では,脳活動を指標に,複数の画像間で比較検証した結果を報告する.実験の結果,指摘画像の中で脳が不快感を感じづらい可能性のある画像が明らかとなり,運転気質と関連している可能性が示された.
  • P1-026A
    石原 由貴 (金沢工業大学)
    体験者自身の能動的な運動意思が伸縮錯覚の強度にどのような影響を及ぼすのか明らかにするため, 身体部位に対する受動的・能動的伸縮の提示条件を比較した. 結果, 主観評価においては伸縮が能動的/受動的に行われるかどうか, また伸縮を予期させる身体所作による入力であるかに関わらず, 指の伸縮イメージを視覚的に提示することで, 一定程度の伸縮錯覚の誘起が為されることが示唆された.
  • P1-043
    西垣 勇我 (関西大学)
    内川 乃天 (関西大学)
    岡村 敬 (関西大学)
    郭 雯 (九州大学)
    池田 鮎美 (北海道大学)
    高嶋 魁人 (九州大学)
    佐々木 恭志郎 (関西大学)
    山田 祐樹 (九州大学)
    自分と他者の持ち物の間にもパーソナルスペース(personal space: PS)の様なものが存在する(拡張的PS).本研究では手指消毒によって拡張的PSが変調されるかを検討した.実験では,サクラと参加者に長机に荷物を置くように求めた.サクラが参加者の前で手指消毒を行う条件と手指消毒を行わない条件を設けた.荷物間の最短距離を測定したところ,条件間で有意な差は見られなかった.ゆえに,手指消毒が拡張的PSに顕著な影響を与えるとは言えない.
  • P1-051A
    大屋 里佳 (東京大学)
    佐藤 有理 (お茶の水女子大学)
    福田 玄明 (一橋大学)
    植田 一博 (東京大学)
    私たちが話し手の言語表現(感想)からその意味(味)について推定するとき,どうすれば推定が成功しやすいのだろうか.本研究では,二者間で味覚言語表現を手がかりに,相手が飲んだコーヒーを推定する実験を実施した.実験では訓練と推定をおこなうが,訓練時に推定者が相手と同じコーヒーを飲用する条件としない条件を設け,味の意味空間のすり合わせができる飲用条件の方が,非飲用条件よりも推定が成功しやすいのか検討した.本発表では現時点での結果を報告する.
  • P1-054
    山本 博暉 (静岡大学総合科学技術研究科)
    大本 義正 (静岡大学)
    ユーザーの周囲のランドマークを経路案内に組みこみ、行動変容を促さない非決定点においても逐次的に情報提示を行うことによって情報マッチングを行うインタラクションモデルを提案した。実験の結果、「情報整理」や「都市空間の把握」の項目で有意差がみられた。これより、提案手法がマップや音声案内から得られる情報を現実世界に対応付けることを容易にすると考えられ、地理的空間把握が助長され経路探索をスムーズに行えるようになる可能性が示唆された。
  • P1-055A
    杉山 昂平 (東京大学大学院情報学環)
    執行 治平 (東京大学大学院学際情報学府)
    中高生向けの地域居場所施設と大学の連携によってデザインされた,オープンスペースにおいて大学院生と中高生が関わる場の相互作用分析を通して,ある高校生が持つ専門的興味がいかにして顕在化するのかを検討した.その結果,大学院生による専門分野の説明を補足する形で高校生自身も自身の専門知識を披露することができ,その過程で高校生が専門分野に関与してきた痕跡を共同注視できる状況が,興味の顕在化を可能にしていたことが明らかになった.
  • P1-056
    坂井 萌々子 (金沢工業大学)
    伊丸岡 俊秀 (金沢工業大学)
    本研究では,テレプレゼンスロボットの特徴である,動き回れる「身体」を持っていることが,コミュニケーション相手との社会的関係構築に与える影響を明らかにすることを目的とした.実験では,テレプレゼンスロボットまたはビデオ会議システムを用いた10分間の会話後に,会話相手の顔画像を手がかり刺激とした共同注意課題を実施した.その結果,共同注意課題における手がかりの効果は見られたが,デバイスによる違いはなかった.
  • P1-059
    川端 良子 (国立国語研究所)
    松香 敏彦 (千葉大学)
    コソア指示詞の文脈指示用法に関する研究では,指示対象に対する会話参加者の知識がコソアの各系列の使い分けに影響すると考えられてきた。本発表は条件が異なる指示対象へのソ系指示詞の使用傾向を『日本語地図課題対話コーパス』を用いて定量的に分析した結果について報告する。
  • P2-007
    近藤 秀樹 (神田外語大学)
    遠山 紗矢香 (静岡大学)
    大﨑 理乃 (信州大学)
    山田 雅之 (九州工業大学)
    電子掲示板上での記事投稿タイミングを調節する手法によって,仲間から返信を得ることがどの程度期待できるようになるかを調査した.提案手法で記事投稿タイミングが調整された場合,一部のメンバーでは,実際の記事投稿間隔で示された場合よりも自分の投稿に対する返信が得られる期待感をより向上させたが,一部のメンバーには期待した効果が得られなかった.非同期的なコミュニケーションに関する習熟の違いがタイムシフト手法の効果に影響を与えていることが示唆された.
  • P2-009A
    多田 由彦 (中央大学)
    本稿は同時手番のgames with unawareness における discovery process について検討する. 本稿は各プレイヤーが他のプレイヤーたちの直前のプレイに対して最適応答を取るような myopic discovery process を定式化し, プレイヤーたちのプレイがある特定のCURB集合の中に収まることを示した.
  • P2-010A
    松林 翔太 (名古屋大学)
    三輪 和久 (名古屋大学)
    寺井 仁 (近畿大学)
    二宮 由樹 (名古屋大学)
    2名すれ違い時の完了時間・操作量から移動行動における利己・利他の個人差を表現した。実験の結果,その利己・利他性は4名すれ違い時にも保持されることが示唆された。また,利己・利他行動と心配性傾向に関連があることが示された。
  • P2-017
    廣田 章光 (近畿大学)
    本研究は問題発見と解決についてプロトタイプの社会に広く公開することの効果を対話の枠組みで考察をする。そして、開発者のデザイン行動のみならず、社会実験における「非開発者」のデザイン行動の存在と影響を示す。さらに非開発者のデザイン行動を開発者が観察することによって、新たなデザイン行動を生み出す場合があることを示す。この2つのデザイン行動について、開発者の気づかない問題の発見に向けて2つ対話の存在を明らかにした。
  • P2-032
    桑原 光輝 (明治大学大学院理工学研究科)
    嶋田 総太郎 (明治大学理工学部)
    我々は他者と経験や感情を共有することで,信頼関係を構築し,集団生活を送っている.他者との関わりの最中には,他者との間に脳波や瞬時心拍数の変化といった生理信号の同期が確認されている.本研究では,2人でお笑い映像を視聴している時に,喚起される感情および瞬時心拍数の変化の同期現象を検証した.その結果,2人で視聴する方が映像はより面白く感じられること,2人での映像視聴中は2者間の瞬時心拍数変化の同期が高まっていることが示された.
  • P2-033
    岩橋 直人 (岡山県立大学)
    笹倉 晴景 (岡山県立大学)
    古家 祐介 (岡山県立大学)
    樫本 幸八 (岡山県立大学)
    趙 敏廷 (岡山県立大学)
    坂野 純子 (岡山県立大学)
    他者との協力は人間の最も重要な特徴のひとつである.協力参加者のパーソナリティは自身の行動と認知に影響を与え,認知と行動は互いに影響し合い,行動はインタラクションを通して協力相手の行動と認知にも影響を与える.本研究は,著者らが開発した協力の数理モデルとマルチエージェント行動シミュレータRoCoCoを使用することにより,協力行為におけるパーソナリティと認知および行動の個人内および個人間での顕著な作用関係を明らかにした.
  • P2-054
    寺田 和憲 (岐阜大学)
    長谷川 智大 (岐阜大学)
    Celso M. de Melo (DEVCOM ARL)
    Francisco C. Santos (Universidade de Lisboa)
    非ゼロ和ゲーム的社会においては,搾取者(悪人)を避けながら協力者(善人)と良好な関係を構築することが重要な課題であるが,その認知計算については未知である.本研究では,人が社会的価値志向性を生成モデルとして用い,観察した相手の行動から相手の性格の善悪をベイズ推論し,新規状況で相手の行動の善悪を予測し,合理的な意思決定ができることを実験(n=372)によって確かめた.
  • P2-064
    福井 麻紀 (香川大学大学院地域マネジメント研究科)
    西中 美和 (香川大学大学院地域マネジメント研究科)
    幼児教育の現場において知的発達の遅れよりも,落ち着きがない,集団に適応できないなどの行動特徴を持つ「気になる子」が増加し,保育者は対応に困難を抱えている.本研究では,保育現場においてどのような行動特徴を有する子どもを保育者が気になる子と認識し,どのような問題があるのかを明らかにする.それにより,対象児に合った支援策や方向性の契機とし,保育者の悩みの改善,また,早期発見・支援の実現に繋げる.
  • P2-066
    都丸 武宜 (京都工芸繊維大学)
    布施 朋之介 (京都工芸繊維大学)
    西山 雄大 (長岡技術科学大学)
    村上 久 (京都工芸繊維大学)
    他の動物と同様に人の集団での自己組織化も個体間の局所相互作用により駆動される. では, 相互作用の形態は集団のサイズで不変なのだろうか. 本研究では, 一人の歩行者が一人の対向者とすれ違う際に右に避けやすいという選好性が, 対向者が3人になることで消失することを示す. ただし, 視線データ解析から,歩行者は通過方向の選好性を潜在的には有しており, それが歩行軌跡ならびに相互作用に影響している可能性が示唆された.
  • P3-003A
    下條 志厳 (立命館大学大学院人間科学研究科)
    林 勇吾 (立命館大学総合心理学部)
    Erroneous worked-out example(EWoE)は事前知識に影響を受ける.本研究では,コンセプトマップを用いた協同学習場面において,事前知識の高低に着目した.本実験では,ACT-Rを用いた認知モデルを搭載したシステムによって適応的に実例を提示した.その結果, EWoEの提示が描画パフォーマンスを高め,EWoEの提示効果が事前知識の多い場合と少ない場合にもあることが示唆された.
  • P3-005
    南部 美砂子 (公立はこだて未来大学)
    渡部 太基 (公立はこだて未来大学)
    本研究は,TRPGと呼ばれる即興演劇的な対話ゲームにおいて,プレイヤー自身とは異なるジェンダーのふるまいがどのように表現され,プレイヤー間でどのような相互行為が生じるのかを,探索的に検討したものである.ゲームの序盤ではステレオタイプ的なジェンダー像が表出されていたが,互いのキャラクターを精緻化していく相互行為のなかで,ペアに固有のジェンダー表現が立ち現れ,男女二元論を超越した新たなジェンダーのあり方や表現が共創されていたと考えられる.
  • P3-007
    藤田 華奈 (公立はこだて未来大学大学院システム情報科学研究科)
    南部 美砂子 (公立はこだて未来大学)
    Twitter上にイラストを投稿する「Twitter絵師」は,仲間と交流しながら創作活動を行うことが多い.しかし,これまでの創造プロセスに関する研究では,こうした技術やコミュニティとの関わりについてはほとんど検討されてきていない.そこで本研究では,特にギブと呼ばれるソーシャルメディア特有の互恵的なやりとりに注目しながら,インデプス・インタビューとツイート分析の2つの方法により,Twitter絵師の創作活動について分析を行った.
  • P3-010A
    細川 敦司 (北陸先端科学技術大学院大学)
    日髙 昇平 (北陸先端科学技術大学院大学)
    鳥居 拓馬 (東京電機大学)
    観察者が観察対象に対して生き物らしさを知覚することをアニマシー知覚という.本研究では実験において複数物体の動きにおける相関を統制し,アニマシー知覚を特徴づける要因として時間的随伴性および他の統計量を検討した.その結果,時間的随伴性とともにそれよりアニマシー知覚と高い相関を持つ統計量として自己共分散比があることが示唆された.
  • P3-016
    松中 玲子 (東京大学)
    宮内 英里 (筑波大学)
    谷沢 智史 (東京大学)
    岩沢 透 (東京大学)
    開 一夫 (東京大学)
    社会的相互作用場面において協働が成立している際は、お互いの脳活動も同期しやすくなることが近年報告されている。一方で、集団としての創造的思考が求められるような状況下において、互いの脳活動がどのような様相を見せるかについては、まだ明らかでない。そこで本研究は、創造的思考を要する課題をグループで行っている際の脳活動をNIRS(近赤外分光法)で計測し、グループ内の脳活動の同期度合いとグループにおける創造的思考力との関係性について検討した。
  • P3-021
    小鷹 研理 (名古屋市立大学芸術工学研究科)
    佐藤 優太郎 (名古屋市立大学芸術工学研究科)
    今井 健人 (名古屋市立大学芸術工学研究科)
    The paper introduces the "Buddha's Ear Illusion," a novel skin-deformation illusion inspired by the previously discovered "Slime Hand Illusion." This illusion is induced by swiftly lowering the fingers in a pinching motion from below the earlobe down to the waist area, as if pulling an elongated, transparent earlobe, while actually pulling down the earlobe. Our experiment demonstrated that both the tactile pulling operation and the visually miming operation significantly contribute to enhancing the illusory sensation of earlobe stretch.
  • P3-028A
    澤田 知恭 (筑波大学大学院 人間総合科学学術院 心理学学位プログラム)
    原田 悦子 (筑波大学)
    話者交替の際,次話者は自らの発話を,十分な情報が手に入った時点で計画し始めるとする早期仮説が提案されている。この場合,次話者にとって現話者の発話の聴取理解と,自らの発話計画による二重課題状況が頻繁に発生する。先行研究では若年成人を対象に,特定の言語構造に依存した操作を用いて仮説が検討されているため,本研究では,若年成人と高齢者を対象に,発話に含まれる情報の十分性を実験的に操作することで,次話者が発話を計画するタイミングについて検討した。
  • P3-031
    臼田 泰如 (静岡理工科大学情報学部情報デザイン学科)
    本研究では,日常会話において,それについて話すことに社会的・認知的負担がある困難な話題に対し,会話参加者はどのように対処しているのかということの一端を明らかにする.本研究では,そのひとつの事例として,家族の感染症の予防ということがらが話題にされている場面を取り上げる.当該事例では,当該の困難さが参与者の成員カテゴリーに関連する形で生じている一方,その困難さへの相互行為的対処も,その成員カテゴリーをさらに利用することでなされている.
  • P3-035
    南 保輔 (成城大学文芸学部)
    岡田 光弘 (成城大学)
    西澤 弘行 (武蔵野美術大学)
    坂井田 瑠衣 (公立はこだて未来大学)
    Garfinkelの用いたワーク概念は2つに区別することができる.視覚障害者が足裏でスロープを感知するといった日常的で自然に組織されているワークが基本形で,これとは別に歩行訓練士が指導する専門職のワークがある.ある視覚障害者が反響定位を活用していることを観察して,それに応じたコース紹介をしているのは,この両方の複合的な事例である.映像とトランスクリプトでこれらのデモンストレーションを行う.
  • P3-041
    今井 康智 (静岡大学総合科学技術研究科)
    大本 義正 (静岡大学)
    人間と空間を共有するエージェントの存在は,私たちに緊張感や不安感を与えることがある.そこで我々は,友人同士のような情動的な信頼関係を人間とエージェントとの間に築くことを目指す.本研究ではその一要素として,人間がエージェントのモデルを理解できるように,情報の収集と共有という欲求モデルを提案する.この欲求下の振る舞いによって人間は社会的存在感を知覚・蓄積し,更にエージェントに対する信頼感獲得にまで繋がると示唆された.
  • P3-043
    椎久 翔太 (静岡大学)
    竹内 勇剛 (静岡大学)
    本研究は,小集団内の意思決定プロセスにおける複雑で創発的な相互作用をモデリングすることに焦点を当てている.従来の意思決定を取り扱うマルチエージェントシステムでは,このような創造的な側面が十分に反映されていなかった.そこで,成員間の相互作用と満足度を変数として強化学習モデルに組み込み,小集団の意思決定後の成員の態度予測する.結果として,集団が得た結論を各成員がポジティブに受け入れ,意思決定に至るまでの時間が短縮されることを明らかにした.
  • P3-045
    大森 隆司 (玉川大学)
    宮田 真宏 (武蔵野大学)
    山田 徹次 (玉川大学)
    倉見 昇一 (玉川大学)
    教室での授業の映像から生徒と教員の顔情報を抽出し,生徒の関心集中を導く教員の働き掛けや授業の質の評価手法を開発する.そのため,AIにて顔情報を抽出し,機械学習で個々の生徒の授業参加を推定した.この結果を踏まえ,今後の教室での授業の在り方を検討する.
  • P3-064
    齋藤 巴菜 (公立はこだて未来大学)
    坂井田 瑠衣 (公立はこだて未来大学)
    本研究では,人が共在している状況で,笑いうる(laughable)出来事が起きた時に,どのようにして笑いの連鎖によってその出来事に対する理解が共有されるのかについて分析する.第一筆者である齋藤が同期学生と大学の校舎内で過ごす様子を収録したビデオを映像分析した結果,共同注意が達成され,互いに笑いうる出来事を笑いうる出来事として認識できたときに,笑いが連鎖されることが明らかになった.
  • P3-065
    石川 悟 (北星学園大学)
    「怪談」の持つどのような話し方の特徴が「怖さ」を生むのか,怪談師はその特徴をどのように使い分けているのか,オンライン上で公開されている怪談を評価した.その結果,声が大きく高くなる,あるいは声が小さく低くなると,怖さのレベルが大きく評価される傾向が現れた.ただし,声の大きさを小さくしない怪談師も現れた.また,話す速度が速くなり間が長くなるときにも怪談の怖さのレベルが大きく評価される傾向が現れた.