研究分野

社会心理

  • O-3-1A
    林 大輔 (日本たばこ産業株式会社)
    白石 祥之 (日本たばこ産業株式会社)
    近藤 涼香 (日本たばこ産業株式会社)
    志方 比呂基 (日本たばこ産業株式会社)
    本研究は,バーチャル空間においてアバターをまとって行われるコミュニケーションと,嗜好品摂取によって得られる心理学的効果との関係について,質的・量的研究の両面から検討した.その結果,一定のプロセスを経てコミュニケーション促進,セルフ・エンパワメント,ポジティブ気分の獲得という3つの効果が得られることが示された.得られた結果と装いや演技との関係を踏まえつつ,バーチャル空間でのアバターをまとったコミュニケーションについて考察する.
  • P-1-7A
    宮野 修平 (セコム株式会社 IS研究所)
    金 慧隣 (北海道大学大学院農学研究院)
    愛甲 哲也 (北海道大学大学院農学研究院)
    群衆制御による誘導効果を予測するためには,群衆中における個人ごとの経路選択傾向の分布を知る必要がある.本研究では,VR実験によって経路ごとの移動時間や混雑度合い,誘導の有無が経路選択に与える影響を測定し,クラスタリングによって経路選択傾向の分布を分析した.さらに,フォーカスグループインタビューによって得られた仮想の混雑緩和施策に対する意見との整合性を分析することで,VR実験結果の妥当性を評価した.
  • P-1-10
    川島 和流 (米子工業高等専門学校)
    林 侑輝 (米子工業高等専門学校)
    対人コミュニケーションにおいて、第一印象はその後の人間関係に大きな影響を及ぼすが、既存の会話練習システムはビジネスシーン向けのものが多い。本研究では、日常会話の場面で第一印象の改善を目的とした会話練習システムを提案する。人間の「話し方」に着目し、「抑揚」、「話す速さ」、「間」、「母音の明瞭性」の4観点から評価を行う。結果はユーザにフィードバックし、繰り返し会話の練習をしてもらうことで、第一印象の改善を図る。
  • P-1-19
    牧野 遼作 (早稲田大学人間科学学術院)
    山本 敦 (早稲田大学人間科学学術院)
    友野 貴之 (札幌学院大学 心理学部)
    古山 宣洋 (早稲田大学人間科学学術院)
    花田 愛 (株式会社オカムラ ワークデザイン研究所)
    オフィスで生起する「事前に予定されていない会話」の開始場面について3つの事例に対して、身体動作と発話開始箇所について定性的検討を行った。分析の結果から、話者は聞き手候補のコミュニケーション意図のない振る舞いから、他者の関与状態を推察し,話しかけ方を調整や話しかける相手の選択をしている可能性が示唆された.
  • P-1-21
    山川 真由 (名古屋大学)
    島田 彩乃 (名古屋大学)
    三輪 和久 (名古屋大学)
    本研究では、道徳基盤理論に着目し、社会問題に対する意見との関連を検討した。5つの社会問題に対し、賛否意見および、道徳基盤の志向を考慮した理由を含んだ項目を作成した。各項目への同意の程度と道徳基盤尺度との関連を検討した結果、自身の道徳的志向と、理由における道徳的志向とが一致する項目に対して、より同意する傾向が見られた。ただし、社会問題によって関連がみられる志向が異なっており、それらについて考察した。
  • P-1-31
    牧之内 洋和 (北九州市立大学)
    高橋 建二 (北九州市立大学)
    松田 憲 (北九州市立大学)
    BtoB企業の「営業活動」を技術として捉え,効果的なセールスモデルを探求することを目的とした.米国で行われた先行研究において卓越した成果を上げるとされた「チャレンジャー」と,成果を残せないとされた「リレーションシップ・ビルダー」について,日本で調査を行い,先行研究との比較を行った.その結果,「成約」に関して「チャレンジャー」に対する顧客側の積極的な意思決定(成約意思)が行われる傾向がみられた.
  • P-1-38
    平山 陽菜 (東京大学大学院人文社会系研究科)
    清河 幸子 (東京大学大学院教育学研究科)
    本研究では,援助要請に対する他者のふるまいが見知らぬ他者への援助行動に及ぼす影響を検討した.通行人289名を,通行人役がアンケートに協力している協力条件,通行人役がアンケートへの協力を拒否し去る非協力条件,通行人役が存在しない統制条件のいずれかに割り当てアンケート協力への承諾率を条件間で比較した.その結果,協力条件と統制条件で,非協力条件よりも承諾率が高かった.よって,他者が援助要請を拒否することで援助行動が抑制されることが示唆された.
  • P-1-42
    成瀬 辰 (明治大学大学院先端数理科学研究科先端メディアサイエンス専攻)
    小松 孝徳 (明治大学総合数理学部)
    本研究では,SNSユーザがSNS利用中に不快に感じる状況についての調査を行った。その結果, XやInstagramの利用頻度が高いユーザは自分の好きなものについてのネガティブなコメントに不快感を覚えることが明らかとなった一方,SNSでの投稿が少ないユーザは根拠のない偏見による投稿に対して不快感を抱くことが明らかとなった。そして多くのユーザが,ある対象を一方的に見下すような表現を含む投稿に不快感を抱いたことがあることが明らかになった。
  • P-1-50A
    大髙 愛 (札幌学院大学心理学部臨床心理学科)
    ティッシュ配りの路上観察から、受け手に複数の行為選択が可能な状況において物の受け渡しがどのように達成されるかを分析し、視線や身体を向けるタイミングの調整が受け渡しの成否に関与していることを明らかにした。受け渡しの達成は第一に受け手候補の特定、第二に差し出し行為と受け取り行為の成立を経て実現するが、これは会話における隣接対の形成に似た形で進行し、二者間でコミュニケーション状況が維持されることが重要であることが示唆された。
  • P-1-57
    山下 真愛 (金沢工業大学大学院)
    加藤 樹里 (金沢工業大学)
    伊丸岡 俊秀 (金沢工業大学情報フロンティア学部心理科学科)
    本研究では,アバターの行為を変えることで社会的望ましさを操作し,空間的視点取得のしやすさに与える影響を調べた.その結果,アバターの行為によって社会的望ましさを下げても空間的視点取得に影響しないことが示唆された.
  • P-1-65A
    山縣 芽生 (同志社大学)
    高橋 英之 (大阪大学/国際電気通信基礎技術研究所)
    宮下 敬宏 (国際電気通信基礎技術研究所)
    本研究では,「他者とわかり合う」上で,従来注目されていた個体間の類似性ではなく,お互いがわかり合おうとするプロセスに注目した新しい実験課題を開発した.この課題は,2名の実験参加者が,表現者と観測者に分かれ,それぞれの相互作用によって,合意を得ることを目指すものである.本稿では,この課題を行ってた1事例を報告し,従来の類似性に注目したアプローチとは異なる「他者とわかり合う」プロセスに注目した新たな実験パラダイムの可能性について議論する.
  • P-2-5A
    Kuangzhe Xu (弘前大学)
    本研究ではTemporal segmentationの手法に基づき、時系列データの眼球運動を複数のタイミングに分割して解析するといった新たな動的眼球運動の分析方法を提案した。提案方法の妥当性を検証するために、顔の印象を評価する実験を実施した。その結果、眼球運動は異なるタイミングで異なる観察傾向を示した。この分析方法は、時系列データと固定値データの関係を解析する際に広範な応用が可能であり、将来的に多くの分野で活用されることが期待できる。
  • P-2-46
    斉藤 有利奈 (成城大学大学院社会イノベーション研究科(修了))
    新垣 紀子 (成城大学)
    遠隔共同作業のパフォーマンス向上を目的とし、ビデオ通話ツールを用いた新しいコミュニケーション方法を検討した。特に、ポジティブな感情が思考に与える影響に着目し、対話者の表情を笑顔に変形させることで創造性や発話量が向上するかを調査した。実験には大学生14名を対象とし、人型3Dアバターを使用して対話実験を実施した。その結果、アバターの表情操作により肯定的感情が高まり、対話課題の成果がわずかに向上することが示唆された。
  • P-2-55
    中村 太戯留 (武蔵野大学)
    情動知能は,情動の性質を理解して賢く活用する力のことで,非認知能力の下位概念であるが,他の下位概念との関係は必ずしも明らかではない.そこで,情動知能,レジリエンス,そして批判的思考の各尺度を用いて検討した.情動知能の因子は,レジリエンスや批判的思考の因子と相関があり,それぞれクラスターを形成しており,そして4つの成分に整理することができた.すなわち,情動知能を高める手掛かりとして,これらの因子を活用できる可能性が示唆された.
  • P-2-60
    城 真範 (産総研)
    浅野 健一郎 (産総研)
    少子化の原因を探るためのシミュレーションモデルを提案する。経済的事情ではなく、より精神的な面に焦点を当てる。年齢による価値の変化をロジスティック分布を使って表現する。対数正規分布を仮定した同性同士および異性中心のコミュニティ、またべき分布を仮定する恋愛対象の集団を仮定し、同性コミュニティにおいて自己の能力を磨き、異性コミュニティにおいて多数の異性を知り、恋愛対象の集団におけるマッチングに影響を与えるモデルを提案した。
  • P-3-15
    高橋 達二 (東京電機大学)
    不確実性の下の環境探索と適切な行動の学習に関し、従来は最も適切な (環境から得られる報酬を最大化) 行動の獲得が評価される。しかし実世界課題では多くの場合、単位を取る (60点以上獲得)、黒字化する (損益を0以上に) などの目標の達成との関係で行動が評価される。そこで、バンディット問題において目標設定理論の予測 (具体的で高い目標がパフォーマンスを向上させる) が正しいかどうかを検証する。結果は、目標設定理論を弱く支持した。
  • P-3-25
    渡邊 咲花 (立命館大学大学院人間科学研究科)
    林  勇吾 (立命館大学総合心理学部)
    下條 志厳 (立命館グローバル・イノベーション研究機構)
    生理的反応以外にも認知機能や行動などに変化が生じることがあり,生理的な反応とされてきた変化が認知的要因であるスキーマの影響を受けている可能性がある.本実験では,継続的なスキーマの活性化のため,連続して摂取可能な刺激として嗅覚刺激を使い,スキーマの活性化が認知機能に影響を与えるのかを検討した.その結果,嗅覚刺激によって刺激への反応時間が減少した.本研究では,嗅覚刺激がスキーマを活性化させ,関連した行動や精神状態が生じる可能性を示唆した.