研究分野

その他

  • OS05-6
    公募発表
    馬塚 れい子 (理研脳神経研究センター、早稲田大学)
    仲 真紀子 (理化学研究所)
    本稿では,出産や育児に関わる母親達の生きづらさも「当事者」の概念を用いて見える化することで理解を深めることができ, 父親も「当事者」視点から見直してみることで父親としての役割りや, 母親との関係についても理解が深めることができる.又 父親も「妊娠・出産・育児」当事者であるという認識が社会に広まり, 少子化対策の政策や企業の経営方針に反映されるようになれば, 子育てもしやすいインクルーシブな社会につながるのではないかと提案する.
  • O1-002
    菊地 浩平 (筑波技術大学)
    須永 将史 (小樽商科大学)
    七田 麻美子 (埼玉大学)
    本論文では,企業研修での質疑応答場面を対象とした相互行為を分析する.とくに,質疑応答場面において,参加者からの質問に回答した講師側が,自分がおこなった回答に対して「答えになっていたか」と言及する発言に注目する.このような発言はしばしば,「認識可能な反応の不在」に続けて産出される.この発言によって参与者が何を達成し,質疑応答という場面が成立しているのかを考察する.
  • O2-001
    阿部 慶賀 (和光大学)
    本研究では、過去に接触した人物の属性が物品に伝染する、魔術的伝染についての減衰パターンを検討した。解釈レベル理論によれば、私たちの判断や思考の姿勢は物理的、概念的な距離に依存して変わることが報告されている。このことから、人の手を仲介した回数や仲介した人間の関係性が魔術的伝染にも影響が及ぶと仮説を立て、調査を行った。その結果、魔術的伝染においても解釈レベル理論が一部適用でき、仲介した人数や時間経過に従って効果が減衰していくことが示された。
  • O3-004A
    鈴木 友美子 (名古屋大学)
    大平 英樹 (名古屋大学 大学院情報学研究科)
    月経前症候群 (PMS) は、ストレスにより増悪し、月経前特異的に、不快な精神諸症状や身体症状を呈するが、末梢血液中性ホルモン濃度等の臨床研究で、明らかな異常所見は見出されていない。一方、PMSと自律神経系の関連が示唆されており、心拍や内臓状態などのあらゆる内的状態の情報処理に問題が生じていると考えた。本研究では、PMSを有する女性とPMSでない女性を比較し、ストレスによる自律神経系への影響と感情への作用を検証した。
  • P1-009
    小島 隆次 (滋賀医科大学)
    緒方 彩七 (関西学院大学理工学研究科)
    角所 考 (関西学院大学理工学研究科)
    本研究の目的は、俯瞰地図等を併用したアバターによる道案内システムのユーザビリティ向上のための条件を検討することであった。実験結果から、地図は出発地点が下で目的地が上に配置された状態で提示されており、道案内で使用する空間表現には指示語をあまり使用せず、アバターは背面(ユーザーとアバターの前方向が一致)で表示するというのが、ユーザーにとって主観的にわかりやすく、目的地を誤認しにくい条件となることが示唆された。
  • P1-013
    小松 孝徳 (明治大学総合数理学部)
    杉田 莉子 (明治大学総合数理学部)
    中村 聡史 (明治大学総合数理学部)
    擬音語,擬態語,擬声語などの総称であるオノマトペは,一般的な語彙と比較すると臨場感にあふれ,繊細な表現を可能としており,コミック作品においても頻繁に使用されている.本研究では,そのようなコミック作品においてオノマトペが使用されていないコマに着目し,その意味とその効果について考察を行った.その結果,コミック作品における重要な場面では,むしろオノマトペが使用されていないという傾向を把握することができた.
  • P1-014
    宮尻 琴実 (公立はこだて未来大学)
    坂井田 瑠衣 (公立はこだて未来大学)
    本稿では,LGBT活動に連帯しないと発言している男性同性愛者1名を対象に,「LGBT活動に連帯しない当事者」としての自身の位置づけ方とそのような位置づけをする理由を明らかにした.連帯しない当事者は,自身がLGBT活動の支援を必要とする存在ではなく,むしろそうした活動が自身の生きやすさに影響を与えることから,自らをLGBT活動で使用を避けられているカテゴリーである「ホモ」として位置付けていた.
  • P1-030A
    池田 由紀 (聖心女子大学大学院 博士後期課程)
    益川 弘如 (聖心女子大学)
    本研究では,学校現場での構成主義に基づく学習環境の実現に向けて,教員候補者の学習観変容を意図した教員養成研修をデザイン・実施し, 研修受講者の研修前後,そして赴任後の変化を追うことを試みた.結果からは,研修前後で学習観が変容した一方, 一部の受講者においては現場赴任後に観が引き戻された可能性があることが示唆された.今後,現場赴任後の状況を調べ,養成のみならず現場赴任後に必要だと考えられる教師の学習環境を明らかにしていくことが課題である.
  • P1-041A
    岩淵 汐音 (千葉大学)
    松香 敏彦 (千葉大学)
    自閉スペクトラム症で見られる細部へのこだわりは,カテゴリー学習に対する自閉スペクトラム症の影響を説明しうる.本研究ではドットランダム図形とAQを用いて自閉スペクトラム特性,細部へのこだわりそれぞれとプロトタイプ推論が有効なカテゴリー学習課題における正答率の関係を検討した.自閉スペクトラム特性全体の強さよりも細部へのこだわりの強さのほうが,自閉スペクトラム特性によるカテゴリー学習への影響を説明しうる可能性があることが示唆された.
  • P1-058A
    Wenlian Huang (北陸先端科学技術大学院大学 橋本研究室)
    Takashi Hashimoto (北陸先端科学技術大学院大学)
    本研究は人間の身体的な体験が言語表現に反映されるという認知言語学の考え方を基盤として,日中多義語「上がる」「上(shàng)」について,イメージスキーマ・ネットワークの類似点・相違点を明らかにし,その比較から日中言語話者の認知の違いを探求することを試みる.本稿ではそれぞれの意味カテゴリを分析し,「上がる」は9種類,「上(shàng)」は8種類に分類した.そして,その分析を元にイメージスキーマ・ネットワークの一部を描いた.
  • P2-005
    赤間 啓之 (東京工業大学)
    永嶋 大稔 (東京工業大学)
    大門 優介 (東京工業大学)
    菅原 壱成 (東京工業大学)
    中谷 太河 (東京工業大学大学院 生命理工学院 生命理工学系 ライフエンジニアリングコース)
    四辻 嵩直 (東京工業大学)
    Researches utilizing meta-analytic brain image analysis data as a target for machine learning aim to extract brain image information from the statistical analysis of numerous brain science studies. These approaches allow for encoding brain responses based on extensive psychological experimental data and natural language processing models. Furthermore, such application is expected to advance into functional network-based research. It is crucial to develop intuitive tools that facilitate a better understanding of the relationships among brain regions associated with this information. In our study, we will develop a prototype of an interactive 3D brain viewer and provide an example of its application in meta-analytic data machine learning.
  • P2-006
    清河 幸子 (東京大学)
    西中 美和 (香川大学大学院地域マネジメント研究科)
    難波 優輝 (newQ/立命館大学)
    宮本 道人 (東京大学)
    峯岸 朋弥 (筑波大学)
    宮田 龍 ((株)アラヤ)
    大澤 博隆 (慶応義塾大学/筑波大学)
    本稿では,SFプロトタイピング (SFP) で作られたSF作品が読後の未来社会に対する意識に及ぼす影響を検討した.参加者にはSFPで作られた作品 (SFP作品) と同じ作家が別の方法で作った作品 (非SFP作品) を1篇ずつ読み,社会的影響力に関する質問に答えるよう求めた.その結果,推奨・社会的影響力・実現欲求・発想喚起のいずれの得点もSFP作品が高く,読後の未来社会に対する意識への促進効果が確認された.
  • P2-009A
    多田 由彦 (中央大学)
    本稿は同時手番のgames with unawareness における discovery process について検討する. 本稿は各プレイヤーが他のプレイヤーたちの直前のプレイに対して最適応答を取るような myopic discovery process を定式化し, プレイヤーたちのプレイがある特定のCURB集合の中に収まることを示した.
  • P2-035
    山田 雅敏 (常葉大学)
    本研究は,一人称なる自我の「わたし」を超越する<わたし>,すなわち無人称の自己に関する認知の解明を目的とする.方法として,呼吸を意識している時と,観念的虚構を想起している場合のそれぞれの脳活動と言語報告を検証した.その結果,呼吸を意識している時に前頭前野の脳活動の低下が示されたことから,呼吸により自我の働きが弱まる可能性が示唆された.また呼吸への意識と観念的虚構との切り替わりの際に,体感に関するクオリアの現出が認められた.
  • P2-042A
    笠野 純基 (国立大学法人 北陸先端科学技術大学院大学 知識科学系 先端科学技術研究科 博士前期課程 先端科学技術専攻 共創インテリジェンス研究領域 橋本研究室)
    橋本 敬 (北陸先端科学技術大学院大学)
    言語表現,他者推論,あるいは道具などの多様に生み出される様々な生成物は階層的な構造をしていることが多く,階層的な構造は要素を再帰的に組み合わせていくことで作ることができる.では,要素の再帰的な組み合わせが生成物の多様さに寄与し得る効果があるのだろうか.本研究は,言語表現についてこの効果を確認することを目的とする.具体的には再帰的結合が他者の意図に関する多様な言語表現(意図に関する仮説)を生み出す効果があるかどうかを実験で検証する.
  • P2-043
    月田 諒弥 (北陸先端科学技術大学院大学)
    日髙 昇平 (北陸先端科学技術大学院大学)
    本研究では,ネッカーキューブをはじめとする平面線画でありながら三次元構造に知覚されやすい図形の立体知覚を調べるために視線追跡型VRを用いた知覚心理学実験をUnityで開発し,実験を実施した.実験中の参加者の眼球運動を計測し視線の奥行方向の推定距離を算出することで,平面線画に対する立体知覚と眼球運動の関係を分析した.その結果,図形に対する主観的な立体評価と図形を観察中の視線から算出されたGaze Depthの中央値の間に相関が確認された.
  • P2-046
    内川 乃天 (関西大学)
    佐々木 恭志郎 (関西大学)
    本研究は自律感覚絶頂反応(ASMR)を喚起する刺激がもたらす感情印象がヒトのどのような内的特性と関連するかについて検討した.結果,高い嫌悪感受性や社会不安傾向を持つ人ほどASMR喚起刺激を不快に評価する傾向が示された.これらの結果,他者からの接触に対する回避反応がASMR喚起刺激のもたらす不快感の背景にあるという仮説を生成した.ただし調査方法の限界や刺激の種類による影響も考慮する必要があり,確証的研究に移る前に慎重な議論が必要とされる.
  • P2-052A
    服部 エリーン彩矢 (名古屋大学大学院情報学研究科)
    山川 真由 (名古屋大学)
    三輪 和久 (名古屋大学)
    創造的な製品の拒否は,創造性の評価観点の 1 つで ある実用性が過小評価されるために生じるとされる. 本研究は,新奇な製品の実用性過小評価を緩和する要 因として,専門性に着目し,検討を行った.調査の結果, プロダクトデザイナーである専門家は,非専門家であ るノービスに比べ,新奇性が低い製品の実用性評価に 厳しいために,新奇性が高いほど実用性が過小評価さ れる傾向が緩和されることが示された.
  • P2-059
    Gabriel Rusk (中京大学工学部)
    宮田 義郎 (中京大学工学部)
    淺川 仁都 (中京大学工学部)
    In collaborative efforts with a Bangkok school to make compost with food waste from our respective schools' cafeteria, we found that people seem to cross social boundaries and connect with each other while making compost. From these observations, we suppose that social boundaries make it difficult to see the natural flow of energies in the ecosystem, resulting in social issues like food waste in the food supply against our environmental and economic desire not to waste food. We'd like to suggest that creative collaboration working with biological processes of microbes making compost can help blur these boundaries, see potentials that we don't normally see, and reorganize ourselves more in line within the natural flow of the ecosystem we’re part of.
  • P3-007
    藤田 華奈 (公立はこだて未来大学大学院システム情報科学研究科)
    南部 美砂子 (公立はこだて未来大学)
    Twitter上にイラストを投稿する「Twitter絵師」は,仲間と交流しながら創作活動を行うことが多い.しかし,これまでの創造プロセスに関する研究では,こうした技術やコミュニティとの関わりについてはほとんど検討されてきていない.そこで本研究では,特にギブと呼ばれるソーシャルメディア特有の互恵的なやりとりに注目しながら,インデプス・インタビューとツイート分析の2つの方法により,Twitter絵師の創作活動について分析を行った.
  • P3-052A
    石黒 千晶 (聖心女子大学)
    松本 一樹 (獨協大学)
    縣 拓充 (千葉大学)
    蓬田 息吹 (東京大学大学院教育学研究科)
    岡田 猛 (東京大学大学院教育学研究科)
    近年、創造的自己は創造的行動や成果を生み出すための重要な要因として学校などの教育場面で注目されている。本研究は創造的自己と創造的行動の間の経時的相互関係を検討した。中高生546名のデータを用いて、半年ごとの2年間にわたる縦断調査の結果を自己回帰クロスラグモデルで検討した。その結果、1時点目の創造的自己は半年後の創造的行動を予測し、2時点目の創造的行動は半年後の創造的自己を予測するという双方向の経時的因果関係が示唆された。
  • P3-062
    奥山 凌伍 (公立はこだて未来大学)
    村井 源 (はこだて未来大学)
    物語の感情状態及び遷移を推定する研究は国内外で積極的に行われている.しかし物語中のどのようなシーンで,読者の感情状態や遷移どのようであるかは,従来の研究において十分に明らかになっていない.そのため本研究では小説の映像化資料である映画が存在する5作品を対象として,物語シーンの機能と読者の感情状態に関する基礎的なデータセット構築を目的とした.本研究は対象作品の各シーンに対し,物語機能と感情のタグを付与することで関係性の抽出を行った.
  • P3-063
    縣 拓充 (千葉大学)
    本研究では,文理混合・多分野横断による課題解決型のカリキュラムにおいて,学生たちがどのように卒業研究を進めているかを,特に問題発見や課題設定の段階に着目して検討を行った.質問紙調査,並びにインタビューによる検証の結果,多くの学生たちが,自らがもともと有していた興味・関心をもとに課題を探索・設定していた一方で,特定領域のアプローチに依拠した研究になりがちであることも示唆された.