研究分野

注意

  • O-2-4
    峯 大典 (東京大学)
    中島 亮一 (京都大学)
    浅野 倫子 (東京大学)
    鳴海 拓志 (東京大学)
    本研究では、他者の指差し行動の解釈の困難さについて、視点の違いという従来の研究で示されてきた要因に加えて、運動の主体性という観点から検討した。一人称視点と三人称視点において、自己運動と他者運動の指差し行動から指差し位置を推定する課題を行ったところ、どちらの視点でも自己運動時の推定がより安定しており、視点によって正確性が異なった。つまり、指差しコミュニケーションの困難さが複合的な要因から生じていることが示唆された。
  • O-3-3A
    森本 陽生 (東京電機大学大学院理工学研究科情報学専攻)
    小林 春美 (東京電機大学理工学部理工学科情報システムデザイン学系)
    安田 哲也 (東京大学大学院総合文化研究科)
    本研究は,複数人の視線が人の選択行動に与える影響を明らかにすることを目的とした.実験では,パソコン画面に複数の人の顔と選択肢が左右に1つずつ提示され,参加者は1つを正解として選んだ.実際には正解は無い問題が使われた.結果から,向けられた視線の数が多い選択肢の方が,より多く,またより速く選択されることが示唆された.多くの他者が見ている対象物は「正しい」選択肢であると根拠なく判断する傾向があることが示されたと考える.
  • O-3-4
    生駒 響 (静岡大学大学院総合科学技術研究科)
    竹内 勇剛 (静岡大学創造科学技術大学院)
    遠隔地間において同じ場所を共有しているように感じさせる技術「テレプレゼンスアバターロボット」が注目されている.これらの技術において,遠隔地のロボットを自己の身体であると認知するプロセスには,外部とのインタラクションが深く関わっている可能性がある.これを検証するため本研究では視線追従動作を操作者の意思とは別の自律動作として実装し,この自律動作によってロボット操作者の没入感が向上するか検証した.実験の結果,本仮説を示唆する結果が得られた.
  • O-6-5
    小鷹 研理 (名古屋市立大学大学院芸術工学研究科)
    児玉 謙太郎 (東京都立大学)
    阿部 真人 (同志社大学)
    村上 久 (京都工芸繊維大学)
    我々は, 自発行為にかかる背景情報の影響を探る手法として, 前方のスクリーンに呈示された時間表示を含むプログレスバーに向けてカメラのシャッターを自由に押す「フリーシャッター課題」を考案している. 本課題は, 2023年にテレビ番組の企画として実演され, 人を扱う心理実験としては異例のサンプルサイズ(N=23630)のデータを得た. 本稿では, 集団の有無にかかわらずに観測されるシャッターの時系列特性に焦点を当て, 実験結果を報告する.
  • P-1-55A
    畑 美緒 (早稲田大学)
    加藤 麻樹 (早稲田大学)
    三嶋 博之 (早稲田大学)
    対象の移動から生じるLOFが存在する環境下において,観察者の移動から生じるGOFが視覚的探索に与える影響について,GOFの速度の違いによる知覚の変化を検討した.その結果,GOFの速度は,視覚探索の反応時間には干渉しないものの,速いGOFはその外側あるいは周辺への注意を誘導すること,また,視覚探索活動を複雑化させる可能性が示唆された.
  • P-1-57
    山下 真愛 (金沢工業大学大学院)
    加藤 樹里 (金沢工業大学)
    伊丸岡 俊秀 (金沢工業大学情報フロンティア学部心理科学科)
    本研究では,アバターの行為を変えることで社会的望ましさを操作し,空間的視点取得のしやすさに与える影響を調べた.その結果,アバターの行為によって社会的望ましさを下げても空間的視点取得に影響しないことが示唆された.
  • P-1-60
    有江 風人 (金沢大学人間社会環境研究科地域創造学専攻教育支援開発学コース)
    伊丸岡 俊秀 (金沢工業大学情報フロンティア学部心理科学科)
    本研究は、バレーボール経験者が直面するプレッシャー状況に対する、類推学習の有効性について分析した.実験参加者はバレーボールを3年間以上プレーしており、且つサーブレシーブを苦手としている高校生18名とし、類推学習群と明示的学習群へ振り分け、サーブレシーブ練習を6回行った.その結果、両群共にストレステストでパフォーマンスが低下しなかったため、類推学習の効果により、プレッシャー下でのパフォーマンスが維持できたとは言えない.
  • P-2-42
    小川 昭利 (順天堂大学)
    小佐野 重利 (東京大学)
    松田 哲也 (玉川大学)
    坂上 雅道 (玉川大学)
    亀田 達也 (明治学院大学)
    イタリア・バロックの画家カラヴァッジョの絵画を鑑賞するとき,独特の情動的高揚が生じることを美術史家は指摘してきた.本研究はその神経基盤を,機能的磁気共鳴画像法を用いて調べた.情動に関連する扁桃体の活動は,カラヴァッジョの絵画を見たときの方が他の絵画を見たときよりも大きかった.一方で,扁桃体と他の活性化した領域との機能的結合は,カラヴァッジョの絵画を見たときの方が他の絵画を見たときよりも低かった.
  • P-2-44A
    土橋 一斗 (日本大学)
    中島 亮一 (京都大学)
    大澤 正彦 (日本大学文理学部)
    聴覚刺激が毎試行出力されている環境下で視覚刺激を判別するタスクにおいて,稀に新奇音が出力されると視覚刺激への反応が遅延する.本研究では音の出力元の外見を変えることにより,新奇音によるタスク遂行への妨害効果が異なるかを調査した.数字の偶奇判断タスクにおいて,ロボットの外見をしたスピーカーの場合では新奇音による妨害効果が引き起こされなかった.このことから,スピーカーの外見により音への印象が変化し,妨害効果の緩和が引き起こされたと考えられる.
  • P-2-54
    児玉 謙太郎 (東京都立大学)
    桜井 良太 (東京都健康長寿医療センター研究所)
    友野 貴之 (札幌学院大学 心理学部)
    佐藤 和之 (東京都立大学)
    樋口 貴広 (東京都立大学)
    本研究は,環境の複雑さが歩行に及ぼす影響を検討するため,VR内で人混みを再現し実験を行った.参加者はヘッドマウントディスプレイを装着した状態でトレッドミル上を歩くよう求められ,アバターが少ない単純条件,多い複雑条件が比較された.歩行のステップ間隔データのフラクタル性(スケーリング指数α)を評価した結果,複雑条件でαが有意に低く,歩行時の身体自由度が高くなったと解釈され,VR内の人混みの量が歩行の複雑さや自由度に影響する可能性が示された.
  • P-2-61
    松井 一樹 (東京工業大学 環境・社会理工学院)
    田岡 祐樹 (東京工業大学 環境・社会理工学院)
    齊藤 滋規 (東京工業大学 環境・社会理工学院)
     本研究の目的は,洞察問題解決におけるひらめきや行き詰まりと生体反応の関係を調査することである.実験では,アイトラッカーや腕装着型センサを使用し,18名の被験者の洞察問題解決における瞳孔径および心拍を計測した.結果,それぞれの思考状態が瞳孔径に違いとして現れ,インパスでは縮瞳し,問題の正答に向かい散瞳する様子が確認できた.これは今後の創造的問題解決に関する手法の発展に貢献する知見となり得る.
  • P-3-24
    大井 京 (近畿大学)
    酒井 亮太朗 (近畿大学)
    本研究は,他者存在によって生じる課題遂行量の促進と抑制,つまり社会的促進と抑制に,注意特性の個人差が影響するか否かを検討した.注意の制御を求めるストループ課題を,実験参加者が観察しない統制条件と,観察を実施する観察条件で実施した.また,注意特性を測定するため,日常的注意経験質問紙を用いた.ストループ課題の成績と日常的注意経験質問紙得点間での積率相関係数を算出したが,有意な相関係数は確認されなかった.
  • P-3-31
    別莊 貴信 (龍谷大学大学院理工学研究科修士課程電子情報学専攻)
    小堀 聡 (龍谷大学先端理工学部電子情報通信課程)
    シルエット錯視においては女性ダンサーの回転方向(時計回りまたは反時計回り)が切り替わることがあるが,本研究ではその回転方向の切り替わりの回数に影響を与える要因として視線位置と視線移動に着目して実験を行った.その結果,視線固定よりも視線移動の方が切り替わりが起こりやすく,また,移動の向きも上向きよりも下向きの方が切り替わりが起こりやすいことが示された.
  • P-3-33
    櫻井 佑樹 (金沢工業大学大学院)
    伊丸岡 俊秀 (金沢工業大学情報フロンティア学部心理科学科)
    時間の知覚は,与えられた刺激に向けられる注意の量と課題の難易度に依存することがわかっている.これらの研究は,言語刺激で処理の抽象度を操作した研究が多い.本研究では,刺激の抽象度が異なる絵画を用いて,処理の抽象度が時間知覚に影響するかどうかを調べた.刺激として具象絵画と抽象絵画の両方を用い,絵画の鑑賞条件と解釈条件で実験を行った.その結果,予想に反して,鑑賞条件では再生時間が短くなることが示された.
  • P-3-45A
    瀬島 章仁 (東京電機大学大学院理工学研究科情報学専攻)
    小林 春美 (東京電機大学理工学部理工学科情報システムデザイン学系)
    安田 哲也 (東京大学大学院総合文化研究科)
    本研究は,ニュース映像でアナウンサーを務めるアバターの口の動きと顔の向きが,視聴者に与える印象やニュース内容の認知に及ぼす効果を調べた.異なる4つの条件でアバターが映った刺激動画が提示され,理解度と好感度に関する質問紙調査を行った.結果,アバターの口の動きがある場合,参加者は動画をより理解したと考えやすかった.さらに,アバターの顔方向がニュース映像の方に動くと,参加者はアバターにより注意を向けていた.