研究分野

視覚・聴覚・音声

  • O-2-1
    細馬 宏通 (早稲田大学)
    ダイナミック・タッチは従来、個人によるものの形や重さの知覚に関わる動作として研究されてきた。しかし、ものを揺する動作は対面相互行為において視覚情報として相手に伝わり、ものの重さの表出となって立ち現れうる。本発表では、ダイナミック・タッチが発話の随伴動作となって表れ、重さを相互に評定しあう行為に関わる場面を分析した。その上で、個人内の認知に伴う動作は、相互行為に援用され、個人間に開かれうることを示した。
  • O-2-3
    野村 亮太 (早稲田大学 人間科学学術院)
    佐藤 豪 (早稲田大学)
    映像の訴求力は,表現そのものだけで決まるのではなく,視聴者の情報処理も関与するため,直接観察することはできない.本研究では,瞬目情報だけから瞬目同期を引き起こす共通入力としての訴求力の再構成を試みた.再構成にあたって,パラメータの影響は大きくはなかったが,再構成された共通入力のピークは必ずしも印象に残ったシーンとは対応していなかった.今後,訴求力の性質に応じた生理指標データに適用していくことが有益である.
  • O-3-3A
    森本 陽生 (東京電機大学大学院理工学研究科情報学専攻)
    小林 春美 (東京電機大学理工学部理工学科情報システムデザイン学系)
    安田 哲也 (東京大学大学院総合文化研究科)
    本研究は,複数人の視線が人の選択行動に与える影響を明らかにすることを目的とした.実験では,パソコン画面に複数の人の顔と選択肢が左右に1つずつ提示され,参加者は1つを正解として選んだ.実際には正解は無い問題が使われた.結果から,向けられた視線の数が多い選択肢の方が,より多く,またより速く選択されることが示唆された.多くの他者が見ている対象物は「正しい」選択肢であると根拠なく判断する傾向があることが示されたと考える.
  • O-4-2
    粟津 俊二 (実践女子大学)
    小林 茜音 (実践女子大学)
    外国文の黙読時に心的に経験する声(IRV)と,外国語能力について検討した.日本語話者に日本語と英語で,説明文と会話文を黙読させ,その時のIRVについて尋ねた.その結果IRVを経験する者は,英日ともに会話文で多く,英語能力が高いと英語文で経験しやすかった.一方IRVの鮮明さは,英日ともに会話文で高かったが,英語能力による違いはなかった.IRV経験の有無には言語への習熟が影響するが,鮮明さには習熟以外の個人的特性が影響するのだろう.
  • O-5-2A
    小笠原 香苗 (理化学研究所 脳神経科学研究センター)
    小池 耕彦 (理化学研究所 脳神経科学研究センター)
    本研究は、プレッシャー下で能力が低下する現象が知覚意思決定課題でも生じるか、またそのメカニズムを検討した。課題成功時の報酬が低く高頻度で現れる低プレッシャー(LP)条件と比較して、高報酬かつ低頻度な高プレッシャー(HP)条件では正答率が低かった。また、直前のHP条件の成功が次のHP条件の失敗を呼び込むことが明らかになった。この結果は、HP下での行動の記憶が次の行動の予期を惹起し、それが知覚意思決定課題の能力低下の原因である可能性を示す。
  • O-6-1A
    宮本 健史 (名古屋大学大学院情報学研究科)
    小野 誠司 (筑波大学体育系)
    移動物体を追跡する眼球運動(smooth pursuit)と物体運動の知覚との間には,部分的に共通したプロセスが関与することが示唆されている.本研究では,標的速度と独立して網膜像運動を操作可能な視覚刺激により,始動局面のsmooth pursuitと移動物体検出の早さとが,個体間と個体内のいずれにおいても高い相関関係にあることを見出した.これらは,少なくとも網膜像運動処理の段階で,両者に共通したプロセスが存在していることを示唆している.
  • O-6-2
    細川 敦司 (北陸先端科学技術大学院大学)
    日髙 昇平 (北陸先端科学技術大学院大学)
    鳥居 拓馬 (東京電機大学)
    観察者が観察対象に対して生き物らしさを知覚(アニマシー知覚)の先行研究では,生物性のみならず,意図性や自律性に関する評定も併せて検討されることが多い.しかし,これらの概念の関係は明確ではない.本研究では実験において複数物体の動きを系統的に生成し,生物性・意図性・自律性・随伴性の概念の相互関係を検討した.その結果,グレンジャー因果量と自己共分散比との相関関係の組み合わせから,生物性の評定は他の3つの概念の複合概念である可能性が示唆された.
  • O-6-3
    日髙 昇平 (北陸先端科学技術大学院大学)
    人は運動からそれを生成する系の生物性などを知覚できる。しかし、どのような運動がそうした生物性知覚と関連するのか未解明な点が多い。本研究では、生物性や意図性等の運動知覚を検討する枠組みとして、相互作用する2 点運動を生成するベクトル自己回帰(VAR)モデルを提案する。VARモデルの主要な統計量の一つであるグレンジャー因果を統制した時系列を生成する方法を開発するため、本稿では 4 変量 VARモデルの数理を解析した。
  • O-6-5
    小鷹 研理 (名古屋市立大学大学院芸術工学研究科)
    児玉 謙太郎 (東京都立大学)
    阿部 真人 (同志社大学)
    村上 久 (京都工芸繊維大学)
    我々は, 自発行為にかかる背景情報の影響を探る手法として, 前方のスクリーンに呈示された時間表示を含むプログレスバーに向けてカメラのシャッターを自由に押す「フリーシャッター課題」を考案している. 本課題は, 2023年にテレビ番組の企画として実演され, 人を扱う心理実験としては異例のサンプルサイズ(N=23630)のデータを得た. 本稿では, 集団の有無にかかわらずに観測されるシャッターの時系列特性に焦点を当て, 実験結果を報告する.
  • P-1-12A
    山口 星香 (放送大学大学院文化科学研究科)
    小野 貴史 (信州大学学術研究院教育学系)
    大西 仁 (放送大学教養学部)
    音楽を聴いている際の主観的時間と音楽の楽曲構造との関連を探求することを目的とし,2つの楽曲セット(4/4拍子ハ長調,3/4拍子ニ長調)を用いて一対比較法による主観時間測定を行った.オリジナルの楽曲に対し,リズムや音高などを変化させた16の変奏を比較聴取し,より主観的曲長が長く感じる方を選択する課題を実施した.Bradley-Terryモデルによる分析の結果,主観的曲長に伸縮が見られたのは3/4拍子ニ長調の楽曲セットのみであった.
  • P-1-13A
    橋本 拓磨 (大阪公立大学)
    森本 優洸聖 (大阪公立大学)
    牧岡 省吾 (大阪公立大学)
    系列依存性は,ある時点の知覚が直前の知覚に類似する現象である.本研究は,空間的に表現された数(ドット配列)と時間的に表現された数(点滅刺激)の間で数の系列依存性が生じるかを検討した.その結果,ドット配列と点滅刺激の間で双方向に数の系列依存性が確認された.これは,大小判断課題において点滅刺激からドット配列への系列依存性を明らかにした先行研究と一致する結果であるだけでなく,数推定課題において双方向に効果が生じることを示すものである.
  • P-1-16
    村上 久 (京都工芸繊維大学)
    児玉 謙太郎 (東京都立大学)
    阿部 真人 (同志社大学)
    小鷹 研理 (名古屋市立大学大学院芸術工学研究科)
    ヒトの集団では、知らず知らずのうちに個々の行動が他者に伝染し、集団レベルでのバースト現象が生じ得る。こうした現象では、どのような知覚的相互作用が働いでいるのだろうか。本研究では、大規模な集団において空間的位置関係を考慮しつつ、自発的行為が周囲から受ける影響を調べた。結果として空間を共有する者同士による知覚的相互作用による顕著なバースト現象が確認し、またこの相互作用は近距離ではなく遠距離であることが示唆された。
  • P-1-17A
    金子 祐二 (東北大学大学院教育学研究科)
    本研究は,網膜色素変性症患者の視野狭窄をリアルタイムで再現するARシステムを開発し,その有効性を評価するものである.ARヘッドセットとステレオカメラを用いて視野狭窄シミュレーションを実現した.主観的視覚的体験はボトムアップ的な知覚とトップダウン的な予測が統合されたものであると考えられ,主観的視覚的体験の再現には両者の考慮が必要であろう.視覚再現性の精度,処理速度向上,ユーザビリティーなど,今後の改良点について議論する.
  • P-1-34A
    進藤 稜真 (北海道大学 情報科学院)
    飯塚 博幸 (北海道大学 人間知・脳・AI 研究教育センター)
    本研究では,Vision Language Model (VLM)が人間とどの程度類似した音象徴的感性を持つかを分析する. 実験には,人間の評価に沿って画像を進化させるシステムであるCONRADをベースに,新たにVLMの評価も反映可能な進化型画像生成システムを構築して分析を行った. 実験の結果,VLMは新たに作成した疑似単語を対象にした場合も含め,人間と類似した音象徴的感性を示すことが確認された.
  • P-1-35A
    孔 令辰 (東京大学大学院総合文化研究科)
    寺澤 悠理 (慶應義塾大学文学部)
     本研究は呼吸と同期して大きさが変化する視覚刺激を提示し,その同期が呼吸の深さや視覚刺激の大きさに対する推定をどう変容させるかを検討した。同時に,感覚評価の変容の度合いと単感覚の精確性や統合失調型パーソナリティとの関係を調べた。その結果,呼吸を実際よりも小さく反映する視覚刺激によって,大きく息を吸う傾向はみられたが,その反対の影響はみられなかった。結果から,感覚間の相互影響に方向性があることが示唆されている。
  • P-1-37A
    野中 郁子 (早稲田大学大学院人間科学研究科関根ゼミ)
    関根 和生 (早稲田大学人間科学学術院 人間科学部)
    非対面でのコミュニケーションが増え,また個人が携帯する電話の普及により電話応対の機会が多くなっている。電話応対において,お礼やお詫びなどでお辞儀をしながら発話をすると感じの良い応対になると古くから言われ,企業では指導をしている。しかしそれらは経験則と知識の継承であり,明らかにされてはいない。魅力を高めるお辞儀が電話応対ではどのような働きがあるのかを検証するために,電話応対でのお辞儀がどのような影響を音響特性に及ぼすのかを明らかにする。
  • P-1-49
    奥田 祥司 (宝塚医療大学)
    後呂 智成 (紀和病院 リハビリテーション部)
    松㟢​ 由莉 (宝塚医療大学)
     学生は, 対象者が動くなかでどこを視ているのかを客観的に知るすべがなかった. そのため, 指導者から観察するポイントを教授されても実践することが難しくなっていた. そこで, 本研究は, フィードバックの違いによって観察視点の違いを明らかにすることで, 学生の動作観察を効率的に学習する方法を検討することを目的とした.
  • P-1-55A
    畑 美緒 (早稲田大学)
    加藤 麻樹 (早稲田大学)
    三嶋 博之 (早稲田大学)
    対象の移動から生じるLOFが存在する環境下において,観察者の移動から生じるGOFが視覚的探索に与える影響について,GOFの速度の違いによる知覚の変化を検討した.その結果,GOFの速度は,視覚探索の反応時間には干渉しないものの,速いGOFはその外側あるいは周辺への注意を誘導すること,また,視覚探索活動を複雑化させる可能性が示唆された.
  • P-1-58A
    高橋 直寛 (木更津工業高等専門学校)
    能城 沙織 (木更津工業高等専門学校)
     人は自身と共通の特徴を持つものを好むことが先行研究より明らかになっており,声に関してもその傾向が示されている.しかし,先行研究では実験参加者の声そのものを実験に使用しており,そのことが評価に影響を与える可能性が否定できない.そこで本研究では,実験参加者の声から作成した自分類似合成音声を用いて実験を行うことを試みた. 実験の結果,信頼の評価には自身の声との類似性は影響を与えず,声自体の信頼性が影響を与える可能性が示唆された.
  • P-1-66
    高橋 麻衣子 (早稲田大学 人間科学学術院)
    読書感想文の作成にかかわる心的活動を「読む」「思考する」「書く」のフェーズに分解し,各フェーズをICTの機能によって支援するプログラムを小中学生に対して実施した。プログラムの結果,参加者の読書感想文作成の,特に「書く(作文)」活動についての効力感が上昇した。「読む」「書く」を代替,補助するタブレット端末の機能は参加者に取り入れられやすかったのに対し,「思考する」を支援するマインドマップや生成AIの機能の活用は慎重である様子がみられた。
  • P-2-3A
    緒方 思源 (兵庫教育大学)
    田和辻 可昌 (東京大学)
    松居 辰則 (早稲田大学)
    本研究では,絵画のスタイル典型度を計測する実験方法を提案し,ゴッホとゴーギャンの風景画を実験刺激として実験を実施した.また,ドリフト拡散モデル(DDM)を利用することで,この方法の認知科学的妥当性を一定の程度検証できた.具体的には,各絵画に対して,参加者のスタイル分類タスクでの回答と応答時間を用いてDDMのドリフト率を推定した.ドリフト率の絶対値が分類の容易さを意味し,本実験で計測されたスタイル典型度との間に正の相関が認められた.
  • P-2-5A
    Kuangzhe Xu (弘前大学)
    本研究ではTemporal segmentationの手法に基づき、時系列データの眼球運動を複数のタイミングに分割して解析するといった新たな動的眼球運動の分析方法を提案した。提案方法の妥当性を検証するために、顔の印象を評価する実験を実施した。その結果、眼球運動は異なるタイミングで異なる観察傾向を示した。この分析方法は、時系列データと固定値データの関係を解析する際に広範な応用が可能であり、将来的に多くの分野で活用されることが期待できる。
  • P-2-11
    粥川 奨 (名古屋大学大学院 情報学研究科 心理・認知科学専攻)
    平田 貴士 (名古屋大学大学院 情報学研究科 心理・認知科学専攻)
    川合 伸幸 (名古屋大学大学院 情報学研究科 心理・認知科学専攻, 中部大学 創発学術院, 科学技術振興機構 CREST)
    ヒトは外界からの視覚情報に基づいて姿勢を制御している. 本研究ではスパイラルオプティックフローを用いて,視覚情報によって生じる頭部傾斜が無意識でも生じるかについて検討した. その結果,頭部は視覚刺激の回転方向と同方向に傾くということが判明した. 頭部傾斜は視覚刺激の回転を知覚していない場合でも生じており,視覚情報が姿勢応答を無意識のうちに引き起こしていることを示唆している.
  • P-2-17
    藤井 佑実子 (筑波大学)
    森田 ひろみ (筑波大学)
    携帯型情報端末で画像を見る際には画像を動かしながら小さな画面内で断片ごとに見るため、画像内の物体位置を知覚するのが困難になる可能性が考えられる。本研究では心理学実験を用いて、スクロール表示された画像内の物体間の相対位置の符号化特性を明らかにすることを目的とした。実験の結果、スクロール表示による位置の符号化の正確さについて、物体間の方向関係の誤差は全体視に比べて大きいが、距離の誤差は小さいことが示唆された。
  • P-2-23
    平田 貴士 (名古屋大学大学院 情報学研究科 心理・認知科学専攻)
    川合 伸幸 (名古屋大学大学院 情報学研究科 心理・認知科学専攻, 中部大学 創発学術院, 科学技術振興機構 CREST)
    視覚情報により誘発される自己運動感覚「ベクション」の発生はVR酔いの原因の1つとして考えられており,ベクションの発生を検出することでVR酔いを未然に防げることが期待されている.本研究では,ベクションの発生を検出する指標として眼球運動に着目し,VR映像視聴中の眼球運動とベクションを測定した.その結果,ベクション知覚時の眼球運動の追従精度は,未知覚時に比べて悪いことが示され,眼球運動からベクションの発生を検出できる可能性が示唆された.
  • P-2-24A
    齋藤 五大 (東北大学)
    髙橋 純一 (福島大学)
    安永 大地 (金沢大学)
    坂本 修一 (東北大学)
    アファンタジアとは,自発的な視覚イメージを作り出す能力が著しく低い,もしくは能力自体を欠いている個人を指す。本研究では,心的回転課題を用いてアファンタジアの被験者が心的回転に関する能力を保持するかどうかを検討した。実験の結果は,アファンタジア群と統制群の平均反応時間がどちらも刺激の回転角の増加に従って伸長し,両群間の平均反応時間のパターンが類似することを示した。
  • P-2-25
    脇山 拓也 (電気通信大学)
    鍔木 悠里奈 (国立スポーツ科学センター)
    水村 真由美 (お茶の水女子大学)
    阪口 豊 (電気通信大学)
    ダンサーが音楽の拍に対して身体の動きをどのように合わせているかを明らかにするために,クラシックバレエの4種類の基本動作について,ダンサーの身体動作と音楽の拍(メトロノーム音)との時間的な関係性を分析した.その結果,多くのダンサーに共通して拍音と同期した運動特徴点がある一方で必ずしもすべてのダンサーが同じ特徴点と同期していないこと,動作の違いによって拍音と同期させる特徴点が異なることが明らかになった.
  • P-2-28A
    松㟢​ 由莉 (宝塚医療大学)
    後呂 智成 (紀和病院 リハビリテーション部)
    奥田 祥司 (宝塚医療大学)
    作業療法士は対象者を評価する際に観察を用いることが多いが, 動きの中で対象者を観察することは難しい.熟練者の観察場面を見学しても, 熟練者がどこを視ているのかを明確にすることは難しく, 非熟練者にとって観察技術の修得は困難である. 本研究は, 非熟練者と熟練者の着目点の違いを明らかにすることで、熟練した作業療法士の視点をより効率的に修得できる方法を検討することを目的とした.
  • P-2-41
    石川 悟 (北星学園大学)
    本研究では,絵文字を用いたメッセージ伝達において,絵文字の「個数」が持つ効果を検討した.場面想定法を用い,「喜び」,「楽しさ(心地よさ)」,「怒り」,「哀しみ(悲しさ)」の4つの感情を伝える文章末に,それぞれの感情に対応する絵文字を1個,または3個付加した「発言」を提示し,その「発言」から受け取った発言者(送信者)の感情を評価させた.その結果,文章に付加する絵文字の個数が1個のときにより強く感情が伝わる,と考えられる結果が得られた.
  • P-2-44A
    土橋 一斗 (日本大学)
    中島 亮一 (京都大学)
    大澤 正彦 (日本大学文理学部)
    聴覚刺激が毎試行出力されている環境下で視覚刺激を判別するタスクにおいて,稀に新奇音が出力されると視覚刺激への反応が遅延する.本研究では音の出力元の外見を変えることにより,新奇音によるタスク遂行への妨害効果が異なるかを調査した.数字の偶奇判断タスクにおいて,ロボットの外見をしたスピーカーの場合では新奇音による妨害効果が引き起こされなかった.このことから,スピーカーの外見により音への印象が変化し,妨害効果の緩和が引き起こされたと考えられる.
  • P-2-49A
    宮本 真希 (北陸先端科学技術大学院大学)
    日髙 昇平 (北陸先端科学技術大学院大学)
    Decorated characters in comic, which we call “comic ideophone” (or “描き文字” in Japanese) describe a sound, a state, an inner feeling of the object etc. in comic. In this research, we will experimentally investigate the effects of comic ideophones for viewers of the picture including the comic ideophone. We focused on comic ideophones which describe shape, texture and hardness of the object and will create some comic ideophones which have a different shape of the contour and a word sound. In the experiment, we will examine 5 different conditions to find out factors which can be correlated to the impression of ideophones.
  • P-2-50
    川島 大輔 (文教大学大学院 言語文化研究科 言語文化専攻 博士後期課程)
    本研究は, 第二言語としての日本語学習者を対象としたものである. 日本語学習者が日本語漢字単語を視覚的に認知処理する際に, ふりがなが漢字の認知過程に与える影響を検討した. 主な要因はふりがなの有無, ふりがなの位置(上下), ふりがなの表記の種類(ひらがな, カタカナ)であった. その結果, ふりがなを要因とする主効果が認められず, 日本語漢字単語の処理にふりがなは影響がないことが明らかになった.
  • P-2-59A
    初田 響子 (神戸大学人間発達環境学研究科)
    野中 哲士 (神戸大学)
    清水 大地 (神戸大学)
    熟達ダンサーの美しい動作はどのような動作なのだろうか.本研究は動作軌跡が重視されるラテンダンスを対象に,熟達ダンサーの動作特徴の同定を目的として定量的検討を行った.熟達ダンサーと非熟達ダンサーとの動作を比較した結果,前者はHeelと他の部位を左右方向へ巧みに協調させながら,主要動作部であるHipの軌跡を描いていた.一方,Hipの軌跡の対称性については,熟達者の中でも左右対称/著しく非対称の2方向に分岐する可能性が示唆された.
  • P-2-67
    片瀬 菜津子 (北陸先端科学技術大学院大学)
    鳥居 拓馬 (東京電機大学)
    日髙 昇平 (北陸先端科学技術大学院大学)
    錯視の一種であり,複数の解釈ができる多義図形に着目し,無意識下で起きている知覚反転の判断基準の定量評価を試みる.多義図形を定量的に評価可能とするために,数学的に表現可能である多義図形を2種類のサイン波を用いて作製し,どのような基準により見え方の優劣が逆転するかを議論する.
  • P-3-6
    安永 大地 (金沢大学)
    前田 実香 (金沢大学人文学類卒業生)
    齋藤 五大 (東北大学)
    坂本 修一 (東北大学)
    髙橋 純一 (福島大学)
    本研究ではアファンタジアと非アファンタジアの文章読解の過程にどのような異同が観察されるかを整理するための実験が行われた.具体的には文章読解中の場面の転換に対してどのような情報処理を行っているかを群間で比較した.実験の結果,ファンタジアは場面転換の事実の整理だけを行っており,文章への没入の度合いが非アファンタジアよりも浅い読み方をしている可能性があることが示唆された.
  • P-3-8
    林 賢吾 (明治大学)
    小松 孝徳 (明治大学総合数理学部)
    山中 祥太 (LINEヤフー株式会社)
    コンピュータの処理時間におけるユーザの心理的負担を軽減するために、待機画面に表示するUI要素を変化させることで体感時間を操作する研究が行われている。しかし、先行研究の実験ではUI要素が実際に使用される環境における実験は行われていなかった。そこで本研究では、UI要素がページ遷移の間に表示されるウェブサイトを再現し、ユーザの体感時間への影響を調査した。その結果、UI要素を表示させる環境が異なると、体感時間も異なるということを明らかにした。
  • P-3-9A
    相馬 あい (関西学院大学大学院 理工学研究科 人間システム工学専攻)
    工藤 卓 (関西学院大学 工学部 知能・機械工学課程)
    我々が昨年に発表した結果では,自己位置感覚は視点位置と強い関係があることが示唆された.また,体外離脱体験に伴って「自己所有感及び自己主体感がある自己像」と「自己位置感覚がある場所」に意識が分離して感じている可能性が示唆された.また,従来研究で,擬似自己対象との同期が無くなると自己主体感が低下するとの研究結果があった.そのため,本研究では自己所有感と自己主体感を伴う自己像の視覚情報と自己の動作との同期と自己位置感覚との関係性を検証した.
  • P-3-10A
    髙橋 奈里 (名古屋市立大学大学院芸術工学研究科)
    佐藤 優太郎 (名古屋市立大学大学院芸術工学研究科)
    横坂 拓巳 (日本電信電話株式会社 NTT コミュニケーション科学基礎研究所)
    小鷹 研理 (名古屋市立大学大学院芸術工学研究科)
    従来の身体所有感研究では, 自己と他人の身体に対する同期接触を扱うものが多かった. 本研究では,自己の左右の身体に対する同期接触によって,身体が接合したように感じる自己溶接錯覚の基礎的な誘発条件を検討した. また新たに, 主観評価だけでなく, 行動実験の指標においても, 自己溶接錯覚の効果を検証した. その結果, 接合感の生起にあたり, 同期接触が重要であることが明らかになった. また, 行動実験レベルで約4cmのドリフトが生起した.
  • P-3-11A
    佐藤 優太郎 (名古屋市立大学大学院芸術工学研究科)
    小鷹 研理 (名古屋市立大学大学院芸術工学研究科)
    我々は,皮膚変形感を生起する透明スライムハンド錯覚において,実際には存在しない架空の皮膚を伸び縮みさせる動作のみを中止してもなお,錯覚が残る現象を発見した.本稿では,この錯覚残存効果が皮膚領域特有のものか,手全体の領域でも起こるのかを質問紙によって検証した.結果は触覚刺激を継続した状況で視覚刺激をキャンセルした時に限り,双方の部位に錯覚残存効果が作用することが示唆された.
  • P-3-20
    小宮山 晃央 (東海大学)
    中谷 裕教 (東海大学)
    幾何学図形を顔のように認識する現象をシミュラクラ現象,雲や花の模様を顔のように認識する現象を顔パレイドリアという.また顔パレイドリアの発現には被験者の性格特性が影響している可能性がある.従って本研究では,物体が規則的に配置されたシミュラクラ現象に着目し,3つの丸が配置された刺激を用いて実験を行い,シミュラクラ現象と性格特性との関係性を調べた.その結果,性格特性の中でも外向性がシミュラクラ現象の発現に影響を与えている可能性が示唆された.
  • P-3-24
    大井 京 (近畿大学)
    酒井 亮太朗 (近畿大学)
    本研究は,他者存在によって生じる課題遂行量の促進と抑制,つまり社会的促進と抑制に,注意特性の個人差が影響するか否かを検討した.注意の制御を求めるストループ課題を,実験参加者が観察しない統制条件と,観察を実施する観察条件で実施した.また,注意特性を測定するため,日常的注意経験質問紙を用いた.ストループ課題の成績と日常的注意経験質問紙得点間での積率相関係数を算出したが,有意な相関係数は確認されなかった.
  • P-3-31
    別莊 貴信 (龍谷大学大学院理工学研究科修士課程電子情報学専攻)
    小堀 聡 (龍谷大学先端理工学部電子情報通信課程)
    シルエット錯視においては女性ダンサーの回転方向(時計回りまたは反時計回り)が切り替わることがあるが,本研究ではその回転方向の切り替わりの回数に影響を与える要因として視線位置と視線移動に着目して実験を行った.その結果,視線固定よりも視線移動の方が切り替わりが起こりやすく,また,移動の向きも上向きよりも下向きの方が切り替わりが起こりやすいことが示された.
  • P-3-33
    櫻井 佑樹 (金沢工業大学大学院)
    伊丸岡 俊秀 (金沢工業大学情報フロンティア学部心理科学科)
    時間の知覚は,与えられた刺激に向けられる注意の量と課題の難易度に依存することがわかっている.これらの研究は,言語刺激で処理の抽象度を操作した研究が多い.本研究では,刺激の抽象度が異なる絵画を用いて,処理の抽象度が時間知覚に影響するかどうかを調べた.刺激として具象絵画と抽象絵画の両方を用い,絵画の鑑賞条件と解釈条件で実験を行った.その結果,予想に反して,鑑賞条件では再生時間が短くなることが示された.
  • P-3-39A
    鎌田 昂明 (東京電機大学大学院理工学研究科情報学専攻)
    小林 春美 (東京電機大学理工学部理工学科情報システムデザイン学系)
    安田 哲也 (東京大学大学院総合文化研究科)
    本研究では,集中線が球の運動速度の予測に与える影響,加えて,集中線が示唆する方向と球の方向の差による影響の差を調べた.参加者は刺激を見て,絵に描かれた球の運動速度を予測し,球が障害物にぶつかるまでの時間をボタン押しにより答えた.結果として,集中線が付加された場合に運動速度が速く知覚されること,集中線が示唆する方向と物体の運動方向が一致する場合はより速く知覚されることが示唆された.
  • P-3-52
    鳥居 拓馬 (東京電機大学)
    浅井 千弦 (東京電機大学)
    人間が幾何学図形のうごきから意図・計画の変化を検出できるかを心理学実験により明らかにする.被験者はひとつの幾何学図形の平面的なうごきを動画で提示される.主役の図形のうごきの印象に関して「ぎこちなさ」など4項目に7段階評価で回答した.意図変化ありの動画では,意図変化なしの動画に比べて「ぎこちなさ」の評価が有意に高かった.人間がうごきのみからでも意図の変化を検出できることを示唆する.